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ベトナムの鶏卵価格が過去数年で最安値、生産コスト割れで養鶏業界に深刻な打撃

価格が急落しているベトナムの鶏卵
(C)THANH NIEN

ベトナムの鶏卵市場が、ここ数年で最も深刻な価格下落局面を迎えている。2025年には利益を確保できる水準で推移していたものの、2026年に入ってからは農場での買い取り価格が急落。現在では生産コストを大きく下回る水準となり、多くの養鶏農家や企業が長期的な赤字経営を強いられている。

養鶏業者は日々巨額の赤字を計上

ここ数か月、採卵養鶏を手掛ける企業や農場では鶏卵価格の下落が続き、経営環境が急速に悪化している。

南部ドンタップ省の養鶏企業「ナムフーン社」のレ・バン・ホア社長によると、現在の農場出荷価格は1個当たり1,100~1,500VNDにとどまる。一方で、生産コストは飼育規模や条件によって異なるものの1,600~1,800VND程度かかるという。

同社は約100万羽の採卵鶏を飼育しており、現在の価格水準では1日当たり約6億VNDの損失が発生している。ホア氏は「これ以上赤字を抱え続けることは難しい」と厳しい状況を訴えた。

旧ドンナイ省、旧ビンズン省(現ホーチミン市)、旧ロンアン省(現タイニン省)、ドンタップ省など主要な養鶏地域でも同様の状況が続いている。養鶏業者は卵1個を販売するたびに数百VNDの損失を被っており、大規模農場では月間数千万~数億VND規模の赤字に達するケースもある。

あるドンナイ省の養鶏場経営者は、「価格が下がるほど生産停止が難しくなる。鶏は飼い続けなければならず、餌も必要だ。売れば赤字だが、在庫として抱えても消費先がない」と語った。

卵価格はピーク時から約60%下落

養鶏大手CPベトナムのレ・スアン・フイ上級副社長も、現在の価格水準では業界全体が赤字に陥っていると認める。

過去1年間の価格サイクルでは、2025年8~10月頃に農場価格が1個当たり2,800~3,000VNDまで上昇した。しかしその後は下落が続き、2026年6月には約1,100VNDまで低下した。

これはピーク時と比べて約60%の下落であり、2025年半ばに記録した底値の1,300~1,400VNDをも下回る水準である。

多くの農場では生産コストが1個当たり1,700~2,000VNDを超えており、現在は卵1個ごとに500~900VNDの赤字が発生している。

ドンナイ省畜産協会によると、2025年8月の高値約2,850VNDと比較すると、卵価格は1年足らずで約1,750VND下落した。これは、新型コロナウイルス流行下の2021~2022年に発生した価格危機以降で最大級の下落局面とされる。

農場価格と小売価格の大きな価格差

注目されるのは、農場での卵価格が大幅に下落している一方で、消費者が購入する価格は依然として高い点である。

2026年6月9日に主要小売チェーンで調査したところ、一般的な鶏卵は10個入りで24,000~30,000VND、1個当たりでは2,400~3,000VNDで販売されていた。栄養強化卵や高級卵は10個入り35,000~45,000VNDに達している。

農場での平均買い取り価格が1個当たり約1,500VNDであることを考えると、生産者価格と小売価格の間には大きな開きが存在している。この構造の中で、最も大きな負担を負っているのは養鶏業者だと指摘されている。

供給過剰が価格暴落の主因

業界団体や専門家は、今回の価格急落の最大の原因を供給過剰とみている。

2025年は卵価格と採卵鶏価格が高水準で推移し、多くの農家や企業が利益を上げた。そのため各地で採卵鶏の増羽が進められたが、その鶏群が2026年に一斉に産卵期を迎えたことで卵の供給量が急増した。

フイ氏によれば、採卵鶏は産卵開始から約1年間にわたって卵を産み続けるため、価格が下落しても直ちに供給量を減らすことは難しいという。

ただし現在は赤字が深刻化しており、小規模農家を中心に採卵鶏を予定より早く処分する動きも出始めている。

同氏は「これは典型的な周期的供給過剰だ。価格が上昇すると増羽が進み、その後供給が急増して価格が暴落する。そして今度は減羽が進み、再び価格が回復する」と分析する。

カンボジア向け輸出減少も影響

食品企業ビン・タイン・ダット社も、供給過剰が価格下落の主要因との見方を示している。

特にドンナイ省では、立ち退きの影響を受けた養豚農家の一部が採卵鶏の飼育へ転換したことで、供給量が急増したという。

さらに、これまでベトナム産卵の重要な販売先だったカンボジア市場の需要減少も影響している。

同社によると、以前はカンボジア向け輸出が国内市場の需給緩和に寄与していたが、現在は同国の生産体制が整い、自給できるようになったため、ベトナム産卵の輸出が大きく減少している。

年後半にかけて回復期待も

国内需要も期待されたほど回復していない。テト(旧正月)後、学校給食や社員食堂、レストラン、食品加工業界からの需要増加が鈍く、市場在庫が積み上がっている状況だ。

もっとも、現在の価格水準が長期間続くとの見方は少ない。赤字が継続すれば養鶏業者による減羽や再導入の抑制が進み、数か月後には供給量が減少する可能性が高い。

また、例年は第3四半期以降に消費需要が回復し、中秋節、年末商戦、テトに向けて需要が拡大する傾向がある。

業界関係者の多くは、2026年9月頃から市場の需給バランスが徐々に改善し、卵価格も回復へ向かうと予想している。ただし、2025年に見られたような高値水準まで戻る可能性は低いとの見方が主流である。

短期的には、養鶏業界は依然として需給の新たな均衡点を模索する厳しい局面が続きそうだ。

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