ベトナム・ホーチミン市は、公共交通の利用促進に向けた新たな取り組みとして、バス停とメトロ駅を結ぶ屋根付き通路(シェルター)の整備を進めている。
市内では2025年7月1日からバス運賃を100%無料化する政策が開始されており、今回のインフラ整備は、バス利用者の増加を見据えた公共交通サービス全体の改善策の一環である。
無料バス政策の効果を踏まえ交通インフラを強化
ホーチミン市公共交通管理センターによると、バス無料化の試験運用段階ですでに一定の成果が確認されたことから、市は利用者がより快適に公共交通を利用できる環境づくりを進めている。
具体的には、メトロ1号線の駅周辺を中心に、
- 歩道の改修
- 歩行ルートの整備
- バス停施設の改善
- 屋根付き通路の設置
などを一体的に進めている。
また、工事などによって見えにくくなったバス停表示については、1,572カ所の路面表示を修復。交通計画の変更に伴い、不要となったバス停設備78カ所を撤去するなど、市内交通環境の整理も進めている。
メトロ1号線駅周辺で屋根付き接続を整備
今回の主要な取り組みとなる屋根付き通路の整備は、バスからメトロへの乗り換え利便性を高めることが目的である。
すでにタオディエン駅周辺で設置が始まっており、今後は以下の駅周辺でも整備が進められる予定である。
- ベンタイン駅
- ヴァンタイン公園周辺
- アンフー駅
- ラックチエック駅
- トゥードゥック駅
- 国家大学駅
工事は2026年7月中の完成を予定している。ただし、ベンタイン駅と国家大学駅周辺については、状況に応じて段階的に進められる。
熱帯気候に対応した「歩いて使える公共交通」へ
ホーチミン市公共交通管理センターは、屋根付き通路の整備について、短期間で実施可能かつ効果の高い対策であり、年間を通じて高温や雨の多いホーチミン市の気候条件にも適していると説明している。
設置場所の選定では、以下の点を重視している。
- バス停とメトロ駅を直接結ぶこと
- 住宅地、学校、病院、オフィス地区へのアクセス向上
- 途切れない歩行ルートの確保
- 歩道幅が十分にあること
- 周辺住宅への影響を避けること
さらに、サイゴンバスターミナルでは、現代的な公共トイレを整備する「5つ星基準」の改善計画も進めているほか、バス停の視認性を高めるため、特徴的な青色の停車スペース表示も導入する。
徒歩・バス・メトロをつなぐ公共交通網を目指す
今回の整備の最終的な目的は、「徒歩―バス―メトロ」という一連の移動経路を快適につなげることである。
公共交通では、利用者の体験は車両に乗車した瞬間から始まるのではなく、自宅から駅やバス停へ向かう段階から始まる。
ホーチミン市当局は、
「日差しや雨を避けられ、安全で快適な歩行環境が整えば、市民がバスやメトロを選択しやすくなり、自家用車への依存低減や持続可能な公共交通の発展につながる」
としている。
市民との協力で持続可能な交通環境へ
ホーチミン市は今後、整備した施設を長期的に維持するため、市民や地方自治体にも協力を求めている。
具体的には、
- 清潔な環境維持
- 歩道の不法占有防止
- 屋根付き通路での無許可販売や目的外利用の防止
などを呼びかけ、より快適で近代的な公共交通環境の実現を目指す。



















