ベトナム自動車運輸協会(VATA)はこのほど、建設省、交通警察局、ベトナム商工会議所(VCCI)に対し、全国的な運転手不足の解消に向けた制度見直しを求める要望書を提出した。大型トラックや長距離バスの運転手不足が深刻化しており、物流や旅客輸送への影響が拡大しているという。
大型トラックの約3割が稼働できない状況
同協会によると、2025年1月以降、大型トラクターヘッド(セミトレーラー牽引車)の約25~30%が運転手不足を理由に駐車場で待機したままとなり、稼働できない状態が続いている。
また、30人以上乗りの大型バスや寝台バスでも運転手不足が深刻化しており、人材募集を行っても採用が極めて難しい状況にあるという。
新たな免許制度が人材育成の障壁に
背景には、運転免許の教育・試験・交付制度の変更がある。
大型車(CE)や大型バス(D)への上位免許取得者が大幅に減少したほか、教習所や試験場に求められる施設基準が厳格化されたことで、多くの教習機関が大型車教習を継続できなくなった。
その結果、大型車(CE)の養成機関は急減し、ハノイ市では現在、CE免許を取得できる教習所がゼロとなった。ホーチミン市でも1施設のみとなっている。
年齢要件も人材不足を招く要因
協会は、上位免許取得までに長い期間を要する現行制度も問題視している。
例えば18歳でC1免許を取得した場合でも、大型車(CE)を運転できるようになるには、段階的な昇格制度により最短でも24歳まで待たなければならない。
大型バス(D)についても、取得できる年齢が高く設定されているうえ、男性57歳、女性55歳で運転業務を終了しなければならず、定年退職年齢とのずれも生じている。
同協会は、現在の健康状態や平均寿命を考慮すれば、経験豊富な運転手を早期に現場から離脱させる制度は人材の有効活用という観点からも課題があるとしている。
高齢化も進行、物流への影響を懸念
運送会社によると、運転手不足の影響で長距離輸送では従来2人体制だった車両を1人で運行するケースが増えている。その結果、輸送時間が長くなり、物流コストの上昇や車両稼働率の低下につながっている。
さらに、交通違反に対する厳しい罰則や免許点数制度も、職業ドライバーへの心理的負担を高める要因になっているという。
現在、多くの運送会社では運転手の平均年齢が45~50歳に達しており、高齢化が急速に進んでいる。協会は「後継人材が確保できなければ、3~5年以内にCE・D免許保有者は危機的な水準まで減少し、物流や旅客輸送、さらには全国のサプライチェーンにも深刻な影響を及ぼす恐れがある」と警鐘を鳴らした。
制度見直しと人材育成を政府に要望
こうした状況を受け、同協会は政府に対し、大型車・大型バス免許の教育・試験・交付制度の見直しを求めるとともに、交通標識や交通規制の実態に即した改善も要望した。
また、2035年までの運輸サービス発展戦略および2050年を見据えた長期計画において、大型車運転手の人材育成を重点政策として位置付けることや、運送事業者との対話を通じた制度改善を進めるよう提言している。



















