ベトナム政府は2026年の輸出額5500億USDの達成に向け、2026年下半期の輸出拡大に総力を挙げる方針である。上半期の輸出額は約2,943億USDとなり目標達成ペースを維持しているものの、年間目標の達成には下半期だけで約2557億USDの積み上げが必要となる。
農水産品や電子機器、木材製品など主力輸出産業の好調に加え、新たなFTA(自由貿易協定)の活用や市場開拓が後半戦の鍵となる。
農業分野が引き続き輸出を牽引
ベトナム農業は依然として輸出超過(輸出額が輸入額を上回る)を維持しており、上半期の貿易黒字は90億USDを超えた。
果物・野菜分野では、6月単月の輸出額が約10億USDに達し、上半期全体では37億USD超を記録。中国向けを中心に市場開拓が進むほか、加工食品の割合が前年同期の29.3%から35.8%へ上昇し、高付加価値化も進展している。
業界団体は、2026年の果物・野菜輸出が年間100億USDに達する可能性があるとの見方を示している。
エビ・木材・カシューナッツも堅調
水産業では、中国・香港市場が引き続き成長を牽引している。
上半期のエビ輸出は約23億USD規模となり、中国・香港向けは前年同期比44%増を記録。日本、韓国、オーストラリア向けも堅調に推移している。
一方、木材製品の輸出は85億USDに達した。これまでに米国産木材の輸入が83%増加しており、今後、米国向け家具輸出の拡大につながるとの期待が高まっている。
カシューナッツについても、最大市場である米国向け輸出が大幅に伸びており、年間輸出額50億USDの達成に自信を示している。
輸入超過は「輸出拡大への先行投資」
上半期の貿易総額(輸出入合計)は約5500億USDとなり、前年同期比27.1%増加した。
一方で、輸出は2665億USD、輸入は2832億USDとなり、約166億ドルの輸入超過(貿易赤字)となった。
しかし政府や専門家は、この輸入超過を悲観的には捉えていない。
輸入が増えた主な品目は、
- 電子部品・半導体
- コンピューター関連機器
- 生産設備・機械
- 鉄鋼や化学製品などの工業原材料
であり、いずれも製造業向けの投資・生産資材が中心となっている。
輸出入局の担当者は、「現在の輸入は将来の生産・輸出拡大に向けた準備であり、年後半の輸出成長を支える重要な原動力になる」との見方を示した。
電子機器が最大の輸出産業に
輸出構造も着実に高度化している。
電子機器・コンピューター・電子部品の輸出額は上半期だけで710億USDを超え、ベトナム最大の輸出品目となった。
従来の労働集約型産業だけでなく、高付加価値製品の輸出比率が高まっていることが特徴である。
FTA活用と市場多角化で目標達成を目指す
政府は後半に向け、
- 自由貿易協定(FTA)の積極活用
- 新市場の開拓
- 物流コストの削減
- 行政手続きの簡素化
- 輸出企業への金融支援
などを重点施策として掲げている。
また、欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTA交渉が妥結しており、正式発効すればベトナムにとって18本目のFTAとなる見込みである。
企業側も、中国や中東、ロシアなど新市場への販路拡大を進めており、市場の分散によるリスク低減を図っている。
2026年は輸出入総額1兆USD到達の可能性も
専門家は、上半期の貿易総額がすでに約5500億ドルに達したことから、2026年通年では輸出入総額1兆ドルという歴史的な節目に到達する可能性もあると指摘する。
世界経済や地政学リスクなど不確実性は残るものの、農水産品、高付加価値製造業、FTAの活用が順調に進めば、ベトナムは世界有数の輸出国としての地位をさらに強固なものにする可能性がある。



















