ホーチミン市で、学校や企業、工業団地などに提供される産業給食(工場給食・社員食堂向けの給食)を巡り、価格と栄養、食品安全のバランスが課題となっている。
食材価格が上昇する一方、一部の顧客が1食当たり2万~2.2万VNDの価格維持を求めているためである。給食事業者からは、栄養と食品安全を確保するため、最低2.5万VNDの価格設定を検討すべきとの提案が出ている。
1日5万食を提供、価格維持に限界
ホーチミン市人民評議会(HĐND)の監視団は6日、トゥーアイン工業給食有限会社を訪問し、同市における食品安全管理の状況を調査した。
同社は26年間にわたり工業給食や飲食サービスを手掛けており、現在17支店を展開している。ホーチミン市および南部の一部地域で、学校や企業、工業団地などに1日約5万食を提供している。
同社では現在、調理済みの弁当を配送する方式から、現地に調理場を設置する方式への移行を進めている。調理済みの食事を配送する場合も、調理終了から提供までの時間を2時間以内に管理しているという。
食材から提供まで食品安全を管理
調理場では、食材の受け入れから下処理、調理、盛り付け、提供までを一方向に管理し、生鮮食品と調理済み食品を分離している。
また、提供した食事のサンプルを2~8℃で少なくとも24時間保存し、問題が発生した場合の確認に備えている。
食材についても、仕入先を共通の基準で管理。各ロットについて、外観や保存温度、賞味期限、トレーサビリティーに関する書類などを確認している。野菜、肉、魚介類などリスクの高い食材については、受け入れ時に一部の項目を迅速検査している。
さらに、各食材ロットにQRコードを付与し、仕入先、納品日、製造ロット、検査担当者などを追跡できる仕組みも導入している。
「2万~2.2万VNDでは栄養と安全の両立が難しい」
一方、事業者にとって大きな問題となっているのが食材価格の上昇である。
同社によると、食材価格が上昇しているにもかかわらず、一部の顧客は1食2万~2.2万VNDの価格維持を求めている。このため、コストを抑えながら十分な栄養価と食品安全の双方を確保することが難しくなっている。
こうした状況を踏まえ、同社は1食当たり最低2.5万VND(税別)の価格設定を検討するよう提案した。
併せて、学校給食に対する税制面での支援や、企業によるデジタル化、食材のトレーサビリティー導入への支援も求めている。
ただし、ホーチミン市人民評議会のフイン・タイン・ニャン副議長は、現在のところ給食価格を一律に定める規定はなく、価格は食材費などのコストと、提供事業者と顧客との合意によって決まると説明した。
その上で、価格だけでなく、原材料の選定から調理、配送までの食品安全と、対象者に応じた栄養確保が重要との認識を示した。
課題は工場や学校の給食だけではない
今回の調査では、集団給食だけでなく、路上販売や学校周辺の食品販売にも注意が向けられた。
ホーチミン市食品安全局によると、調査対象地域には工場労働者や学校が多く存在する。管理された社員食堂や学校の食堂がある一方、勤務終了後には利便性や価格の安さから、労働者が自然発生的な市場や屋台、小規模な飲食店を利用するケースも多い。
こうした販売場所では、食材の出所などが十分に管理されていない場合があり、食品安全上のリスクとなっている。
例えばビンチードン地区では、食品安全管理の対象となる施設が782カ所あり、そのうち飲食サービスが258カ所、路上食品販売が407カ所、学校の食堂が15カ所、集団給食施設が102カ所を占める。
これまでに80施設を検査し、7施設を再検査した結果、1件の違反が確認されたという。
小規模・移動型店舗の管理が難題に
地方当局は、食品安全管理における大きな課題として、小規模事業者が多数存在し、分散していることを挙げている。
さらに、路上販売や移動販売、オンラインによる食品販売では、営業場所や販売方法が頻繁に変わるため、行政による継続的な管理が難しい。
ホーチミン市人民評議会のフイン・タイン・ニャン副議長は、行政区再編後は各地域の人口規模が大きくなっており、現場レベルでの食品安全管理への負担も増していると指摘。人員の増強や検査設備の充実、担当者への研修に加え、食品を製造・販売する事業者自身の責任を高めることが重要との考えを示した。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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