ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

SNSインフルエンサーの商品販売に落とし穴 「広告する側」から「作る側」への責任

SNS上でのインフルエンサーの商品販売の様子
(C)THANH NIEN

ベトナムでは、SNSで多くのフォロワーを持つKOLやKOC、コンテンツクリエーターが、自らの商品を製造・販売する動きが広がっている。

大きな影響力とフォロワーからの信頼を持つことは、商品を売るうえで大きな武器となる。一方で、他社の商品を紹介する「広告する側」から、自ら商品を製造・販売する「事業者」へと立場が変われば、品質や安全性、税務などに対する責任も大きく変わる。

ベトナムでは実際に、著名人が関与した商品の品質問題などをめぐり、法的責任を問われるケースも相次いでいる。

有名人の「ブランド力」が商品販売の武器に

SNS上で知名度を高めた人物にとって、自らの商品を販売することは自然なビジネス展開の一つである。

これまでにも、トゥイ・ティエンやクアン・リン Vlogsなど、著名なインフルエンサーがコンテンツ制作から商品ビジネスへと事業を広げた例がある。

しかし、商品に関する説明と実際の品質が一致しないなどの問題が発生すれば、単なる「広告上の問題」では済まなくなる。著名人自身が商品の販売や事業に関与している場合、消費者からの信頼を失うだけでなく、法的責任を問われる可能性もある。

最近ではフアン・ホア・ホン、フー・レー、コーザオ・フーンなどの名前も、商品販売をめぐる問題で当局の捜査対象となっている。

こうした著名人のケースは氷山の一角にすぎない。一定のフォロワーを獲得したコンテンツクリエーターが、自身のブランドの商品を製造したり、OEM(相手先ブランドによる生産)で商品を調達したりするケースは少なくない。

問題は、知名度があっても、必ずしも製造や品質管理、関連法規に関する知識を持っているとは限らないことである。

「売れる」ことと「作れる」ことは別問題

ホーチミン市在住のYouTubeチャンネル運営者L.M.H氏も、かつて自身で製造したジャーキーやソーセージなどを視聴者に販売していたという。

しかし、SNSメディアの運営から食品の製造・販売へと事業を広げるには、製造設備の整備に加え、食品衛生・安全に関する基準を満たす必要がある。

同氏は最終的に、メーカーとして必要な条件を満たすことが難しいと判断し、商品販売から撤退してコンテンツ制作に戻った。

別のYouTubeチャンネル運営者P.T.P氏も、チャンネルの人気を背景に、自身のブランドによるハーブ製品や化粧品を販売した。

当初は販売を伸ばしたものの、その後チャンネルの視聴者数が減少すると商品も売れなくなった。さらに商品の悪い評価は売上だけでなく、自身のチャンネルやブランドの信用にも影響するため、最終的に販売を中止したという。

この事例が示すのは、「フォロワーが多い=商品を作って販売できる」ということではないという現実である。

広告と製造・販売では責任が大きく異なる

ホーチミン市広告協会のグエン・タイン・ダオ会長は、KOLやKOCにはすでにフォロワーとの信頼関係が形成されているという大きな強みがあると指摘する。

しかし、他社の商品を紹介する立場から、自ら商品を製造・販売する立場に移れば、事業の性質そのものが変わる。

広告だけであれば主に情報発信の責任が問題となるが、自ら商品を販売する場合には、商品の品質、原産地、安全性、消費者の権利、税務など、幅広い責任を負うことになる

同氏は、KOLやKOCが商品を販売すること自体に問題があるのではなく、事業者になる以上、「影響力で売る」のではなく、「商品、品質、信用によって売る」という考え方への転換が必要だと指摘している。

特にベトナムでは、2026年1月1日から2025年改正広告法が施行され、広告を伝達する者についても消費者保護法令を順守し、商品の機能や品質に関する情報を適切に提供することなどが求められている。

つまり、SNS上で影響力を持つことは、ビジネスを始めるうえでの強力な資産である一方、その影響力を商品販売に利用するほど、責任も重くなるということである。

税務もSNSビジネスの新たな課題に

問題は商品の製造や品質管理だけではない。

税務分野でも、SNSを利用して事業を行うコンテンツクリエーターの中には、必要な手続きを十分に理解していないケースがあるという。

具体的には、税務登録や事業登録を行っていない、売上を正確に申告していない、個人用と事業用の銀行口座を共用している、取引記録や証憑を十分に保管していない、税務申告や納税が遅れる、といった問題が指摘されている。

こうしたミスは、後から税金を追徴されるだけでなく、行政処分や延滞金の発生につながる可能性がある。さらに、個人の信用や長期的な事業運営にも影響を及ぼしかねない。

SNSを通じたビジネスが拡大する中で、これまで「個人の発信活動」と考えられていたものが、実際には一つの事業として扱われる場面も増えている。

「影響力」だけでは事業は続かない

SNSの普及によって、個人が大企業と同じように自らの商品を消費者へ直接届けられる時代になった。

これは新しいビジネスチャンスである。しかし、フォロワー数や知名度は、あくまで販売を始めるための「入口」にすぎない。

商品を継続的に販売するためには、品質管理、製造体制、法令順守、税務、顧客対応など、従来の企業と同じような事業運営能力が必要となる。

「有名だから売れる」から「良い商品だから売れ続ける」へ

SNS時代のインフルエンサーにとって、広告から商品ビジネスへ進出する際に求められるのは、影響力を事業に転換するだけではなく、その影響力に見合った責任と経営能力を身につけることである。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN

【ACCESS 独自取材】
ベトナムビジネスの深掘り特集

現場の一次情報から、市場の核心に迫る。
週刊ACCESSが厳選した独自コンテンツ。

最新の特集記事一覧を見る >