ベトナム・ホーチミン市で、フランスから到着した航空会社の客室乗務員4人の手荷物から大量の麻薬が発見されたことを端緒とする大規模な麻薬関連事件で、ホーチミン市人民法院は9月3日、被告227人に対する判決を言い渡した。
裁判所は事件の主犯格など11人に死刑を言い渡したほか、歌手のチー・ザン(Chi Dân)ことグエン・チュン・ヒウ被告には、違法薬物使用を組織した罪で懲役7年を言い渡した。
客室乗務員4人の手荷物から麻薬を発見
事件の発端は2023年3月16日である。
フランスからベトナムに到着したVN10便について、タンソンニャット国際空港の税関当局が4人の女性客室乗務員の手荷物を検査したところ、歯磨き粉327本が見つかった。
このうち157本には麻薬が隠されており、ケタミン約2.9kg、MDMA約8.3kgが押収された。
客室乗務員4人は、自ら麻薬密輸を企図したのではなく、事件をめぐる捜査の中で、麻薬を運ばされていたことが判明した。
これを受け、ホーチミン市警察は「VN10」と呼ばれる特別捜査を開始。捜査は国内外にまたがる大規模な麻薬ネットワークへと拡大した。
取引総額は約29兆VND、2,700人超を起訴
捜査当局によると、この麻薬ネットワークは複数の階層に分かれて組織され、上位の指示者を隠す構造になっていた。
関連する資金取引は約29兆VNDに上ったとされる。
これまでに477件の事件で2,700人以上が起訴されており、今回の裁判ではそのうち227人が審理の対象となった。
捜査の過程では、歌手チー・ザンやモデルのアン・タイ、慈善活動で知られ「チャリティの妖精」と呼ばれていたチュック・フーンらに麻薬を提供した人物についても捜査が行われた。
歌手チー・ザンに懲役7年
チー・ザンことグエン・チュン・ヒウ被告について、検察側は「違法薬物使用の組織」の罪に問うていた。
裁判記録によると、2024年11月、被告らはホーチミン市内の部屋に集まり、麻薬を使用した。
チー・ザン被告は集まった人たちに麻薬を使用するよう誘い、参加者らと費用を負担して麻薬を購入したほか、使用する場所などを準備したと認定された。
裁判所は、検察側の起訴内容に基づき同被告の刑事責任を認定し、「違法薬物使用の組織」の罪で懲役7年を言い渡した。
同被告の兄であるグエン・チュン・ティン被告にも、同じ罪で懲役7年が言い渡された。
モデルのアン・タイは懲役8年
スペイン国籍のモデル、アン・タイ被告には、麻薬の違法所持について懲役1年、違法薬物使用の組織について懲役7年が言い渡され、合わせて懲役8年となった。
裁判所は、同被告についてケタミンなどの違法所持に加え、麻薬使用のための場所を提供し、使用を組織した行為について刑事責任を認定した。
「チャリティの妖精」チュック・フーンは懲役6年
慈善活動で知られるグエン・ドー・チュック・フーン被告には、違法薬物使用の組織の罪で懲役6年が言い渡された。
交際相手のブー・ハイ・アイン被告には懲役7年が言い渡された。
裁判所は、チュック・フーン被告が麻薬や使用場所を提供したほか、共犯者による麻薬使用を手助けしたと認定。ブー・ハイ・アイン被告についても、麻薬使用に必要な準備を行ったとして共犯関係を認めた。
11人に死刑、18人に終身刑
今回の判決では、227人の被告のうち、11人に死刑が言い渡された。
死刑判決を受けたのは、ハー・ザイン・ナム被告ら11人である。主犯格とされたハー・ザイン・ナム被告は国外に逃亡しており、欠席のまま審理された。
また、ホアン・シー・タン、ブイ・バン・アイン両被告ら18人には終身刑が言い渡された。
その他の被告には、執行猶予付きの懲役1年6カ月から懲役27年まで、それぞれの関与の程度に応じた刑が言い渡された。
大規模な麻薬ネットワークの実態を解明
今回の事件は、航空会社の客室乗務員が意図せず麻薬の運搬に利用されたことをきっかけに、国内外に広がる大規模な麻薬ネットワークの存在が明らかになったものである。
捜査はその後も拡大し、関連事件は数百件、起訴された人物は2,700人以上に及んだ。
ホーチミン市人民法院による今回の判決は、ベトナムで近年摘発された大規模な麻薬犯罪ネットワークに対する司法判断の一つとなる。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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