ベトナムの2026年7~9月期の実質GDP(国内総生産)は、前年同期比9.95%増となった。4~6月期の8.81%増、1~3月期の8.15%増から伸びが加速し、1~9月累計でも9.01%増を記録した。
ベトナム財務省傘下の統計局は、公共投資、製造業・輸出、国内消費の3つが相互に作用し、経済成長を支えていると分析している。一方、2026年通年で10%以上の成長を実現するには、10~12月期に約12.5%の成長が必要となる。
公共投資が成長をけん引
統計局の国民経済計算システム部門を率いるグエン・ティ・マイ・ハイン部長によると、7~9月期の成長を支えた主要な原動力は3つある。
第一が公共投資である。
7~9月期は前年同期と比べて公共投資の資金執行が改善し、特に波及効果の大きい大規模インフラ事業で進展がみられた。
公共投資の加速は、建設業や関連産業の生産を直接押し上げるだけではない。インフラ整備によって民間投資を誘発し、中長期的な生産能力や物流・交通網の改善につながる効果も期待される。
製造業と輸出が国内生産を支える
第二の柱は製造業と輸出である。
製造・加工業は2026年1~3月期以降、堅調な成長を維持しており、国内の生産活動と供給能力が回復していることを示している。
輸出も活発に推移し、国内生産を支える重要な需要となった。
一方、ベトナムは輸出依存度の高い経済構造を持つため、主要市場の需要動向や貿易政策、サプライチェーンの変化が国内の製造業に波及しやすい。10~12月期も、輸出を維持するだけでなく、国内で生み出す付加価値をどこまで高められるかが課題となる。
国内消費も回復傾向
第三の柱が国内消費である。
家計の最終消費は改善傾向にあり、総需要を安定させ、海外の変動に対する経済の耐性を高める役割を果たしている。
特に観光、宿泊、娯楽などのサービス分野では需要が増加しており、国内消費を押し上げる要因となっている。
さらに、科学技術、イノベーション、デジタル経済といった新たな成長分野も、製造業や高付加価値サービスへの浸透が進んでいる。
ただし、統計局は現時点では、これらの分野は成長を支える「補助的な役割」が中心であり、経済成長を直接けん引する主要な力にはまだなっていないとみている。
年間10%成長には第4四半期12.5%増が必要
ベトナム国会は2026年のGDPについて、10%以上の成長を目標としている。
1~9月の成長率が9.01%となったことを踏まえ、統計局のハイン部長は、年間で10%以上を達成するためには10~12月期のGDPを前年同期比約12.5%増とする必要があると説明した。
これは2025年10~12月期の成長率を約4.1ポイント上回る水準であり、達成には大きなハードルがある。
為替・エネルギー価格などがリスクに
10~12月期には、為替レートやエネルギー、原材料価格の変動が輸入コストを押し上げ、国内物価に影響する可能性がある。
公共投資についても、予算を確保するだけではGDPへの効果は十分に現れない。年末に向けて資金執行が加速したとしても、実際の工事や生産活動へ迅速に転換されなければ、7~9月期までのような成長効果を期待することは難しい。
用地取得や事業手続きの変更、建設資材の確保、施工業者の能力などに問題が生じれば、計上された投資資金が実際の建設工事や関連産業の生産量に転換されるまでに時間がかかる。
第4四半期は「資金を生産に変える力」が焦点
製造業と輸出も、年末にかけて不確実性を抱えている。
主要市場の需要、貿易政策、サプライチェーンの変化は、製造業の受注に迅速に影響する。また、エネルギーや原材料価格の変動は、生産・輸送コストの上昇要因となる。
ハイン氏は、10~12月期の課題は輸出額を維持することだけではなく、国内で生み出される付加価値を高めながら、生産の勢いを維持することにあると指摘する。
公共投資については「投資資金を実際の工事量に変える」、輸出については「受注を実際の製品生産につなげる」、国内消費については「年末需要を実際のサービス需要に変える」ことが重要となる。
2026年のベトナム経済が年間10%以上の成長を達成できるかは、10~12月期にこうした資金、受注、需要をどれだけ実際の生産活動へ転換できるかにかかっている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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