ベトナム・ホーチミン市は、2028年から市中心部とトゥーティエム新都市区で低排出区域(LEZ)を試験導入し、排ガス基準を満たさないガソリン車・ディーゼル車などの通行を段階的に制限する計画である。ホーチミン市人民委員会が策定したグリーン交通への転換に関する決議案は、現在、関係機関や市民から意見を募っている段階だ。
計画では、2030年に規制区域を第2環状道路の内側まで拡大するほか、車両の排ガス基準や通行可能時間を設定する。電気自動車などのクリーンエネルギー車への転換を促すため、購入費用や車両登録関連費用の一部を公的資金で支援する案も盛り込まれている。
2028年から中心部とトゥーティエムでLEZを試験導入
低排出区域(Low Emission Zone、LEZ)は、排ガスによる大気汚染を抑えるため、一定の環境基準を満たさない車両の進入などを制限する区域である。
ホーチミン市の計画案では、LEZを2段階で導入する。
第1段階は2028年1月1日から2029年12月31日までで、既存の中心市街地約930ヘクタールと、サイゴン川東岸のトゥーティエム新都市区を対象とする。区域の総面積は約15.6平方キロメートルとなる。
対象区域の境界は、サイゴン橋からグエンフーカイン通り、ホアンサー通り、ボーティサウ通り、カックマンタンタム通り、グエンタイホック通り、ボーバンキエット通りなどを経てトゥーティエム側を含み、サイゴン橋に戻るルートを基準に設定する計画である。
第2段階は2030年1月からで、規制対象を第2環状道路の内側全域に拡大する方針だ。同環状道路にはドームオイ通り、レドゥックアイン通り、レカーフィエウ通り、グエンバンリン通りのほか、フーミー橋の接続道路やボーチーコン通りなどが含まれる。
また、コンダオ特区とタインアン村では2028年から、より厳格な排出規制を設ける保護区域の設置を計画する。ビンカイン村、アントイドン村、カンゾー地区では2030年から排出規制区域を導入する案となっている。
2028年から車種別に排ガス基準を設定
LEZ内の通行条件は、ベトナムの国家排ガス技術基準に基づき、車種ごとに設定する計画である。基準のレベルが高いほど、より厳しい排ガス要件を満たす必要がある。
2028年からの主な規制案は次の通りである。
- タクシー、9人乗り未満の契約車両、積載量1トン以下の貨物車: 排ガス基準レベル5を満たすこと。
- 9人乗り以上の契約車両、旅客バス: 排ガス基準レベル4を満たすこと。
- ごみ収集用の三輪車: クリーンエネルギーへの転換を義務付けること。
- 積載量1トン超の貨物車: 市街地中心部への通行を午前6時から午後10時まで禁止すること。
貨物車の通行規制については、排ガス基準とは別に、車両の積載量と時間帯による制限を設ける案である。
さらに2032年からは、LEZ内で個人所有の乗用車にレベル5、個人所有の二輪車および運送事業を営まない組織の車両にレベル4の排ガス基準を適用する計画だ。
基準を満たさない車両については、午後10時から翌朝午前6時までの時間帯に限って通行を認める案となっている。
ただし、これらは決議案に盛り込まれた内容であり、正式な採択後の適用条件や運用方法については、今後の決定を確認する必要がある。
公用車やタクシーも段階的にクリーンエネルギーへ転換
ホーチミン市は、LEZの導入に加え、市内を走る車両そのものをクリーンエネルギーへ転換する方針である。
計画案では、2027年までに市内バスの全車両をクリーンエネルギーで走行する車両とする。また、行政機関や公立の公共サービス機関が新たに購入する車両、または更新時期を迎える自動車・二輪車についても、クリーンエネルギー車への切り替えを義務付ける。
2030年からは、タクシーおよび二輪車による旅客・貨物の配車サービスにも同様の要件を適用する計画だ。
長期目標として、2040年までにLEZ内のすべての車両をクリーンエネルギー車とし、2045年には特殊用途車両を含め、市全域へ転換を広げることを目指している。
車両購入費用などを支援、低所得世帯や事業利用者を優先
ホーチミン市は、ガソリン車などからクリーンエネルギー車への転換に伴う家計や企業の負担を軽減するため、財政支援策も検討している。
決議案では、電気やグリーン燃料を利用する車両の購入費用と、車両登録に関連する一部費用について、市予算から補助する方針を示している。
優先的な支援対象として挙げられているのは、貧困世帯、貧困に近い世帯、貧困状態から脱したばかりの世帯に加え、車両を主な生計手段として利用する人々、早期に転換の影響を受ける区域の住民などである。
また、新たな制度に基づいて二輪車の排ガス検査を受ける際、初回の検査費用を支援する案も盛り込まれた。
車両の買い替えを求めるだけでなく、負担の大きい世帯や事業者への支援を組み合わせ、環境規制への移行を進める狙いである。
ナンバー自動認識カメラを導入、違反監視体制を整備
規制の実施に向けて、ホーチミン市は道路標識の整備に加え、車両ナンバーを自動認識するカメラを設置し、車両データベースと連携させる計画だ。
これにより、対象区域に進入する車両を把握し、規制内容の周知や警告、違反の監視に活用する。排ガス基準による通行制限を実効性のあるものにするには、車両情報の管理と現場の監視体制を整えることが重要となる。
ホーチミン市のLEZ構想は、交通由来の大気汚染を抑えるとともに、公共交通やクリーンエネルギー車の普及を促す取り組みである。一方、規制の対象区域や適用時期によっては、通勤や営業、物流などの日常的な車両利用にも影響する可能性がある。
今後、決議案が正式に採択されるかどうかに加え、車種別の適用基準、通行規制の具体的な運用、車両転換への補助条件などが注目される。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN




























