ベトナム・ハノイ中心部で、低排出ゾーン(LEZ)の導入に向けた実証実験が進められている。ホアンキエム街区の中心部では週末夜間を中心に自動車やバイクなどの進入を規制しており、開始から1カ月余りで市民の移動手段にも変化が表れ始めている。
単なる交通規制にとどまらず、大気汚染や騒音の抑制と歩行者中心の都市空間づくりを目指す取り組みであり、今後のハノイの都市交通政策を占う試金石となっている。
週末夜間、ホアンキエム中心部への車両進入を規制
ハノイでは、低排出ゾーン(Low Emission Zone=LEZ)の実証実験が行われている。
対象となっているホアンキエム街区中心部では、金曜日から日曜日までの19時から24時にかけて、低排出ゾーンへの車両進入を規制している。対象区域の入口には柵や規制標識が設置され、車両の流入を抑えている。
現場では当局が交通整理を行い、LEZの周辺に設けられた駐車場へ車両を誘導している。
こうした措置の目的は、中心市街地を走行する自家用車などの交通量を減らし、排気ガスによる大気汚染や交通騒音を段階的に抑制することである。
区域内の住民にも「降車・エンジン停止」
規制区域内に住む住民についても、通常とは異なる対応が求められている。
LEZの入口に設置された検問所では、区域内に居住する住民に対しても車両から降り、エンジンを停止したうえで自宅まで車両を押して移動するよう案内している。
規制は夜間に限定されているものの、市民の移動方法に対する意識は昼間にも徐々に変化しているという。
これまでバイクや自動車を中心としていた移動から、徒歩、自転車、バスなどを組み合わせる動きが広がりつつある。
公共交通やシェアサイクルへの期待
ホーチミン市からハノイを訪れている33歳の観光客、チャン・ゴック・キエンさんは、公共自転車を利用しながら、LEZの取り組みについて「世界的な流れに沿った取り組み」と評価した。
ハノイではバスがすでに比較的利用しやすくなっているとしながらも、今後は公共自転車のステーションをさらに増やし、レンタサイクルのアプリの使い方についても積極的に案内する必要があるとの考えを示した。
LEZを定着させるためには、単に自動車やバイクの利用を制限するだけではなく、代替となる交通手段をどれだけ整備できるかが重要になる。
車の少ない中心部、歩行空間が広がる
LEZの中心部では、車両が少なくなったことで歩行者が利用できる空間が広がっている。
特に夜間は自動車やバイクの姿が減り、中心市街地が従来とは異なる雰囲気を見せている。ハノイが目指す歩行者中心の都市空間への転換に向け、今回の実証実験は長期的な都市交通政策の第一歩と位置付けられている。
ハノイでは今後、実証実験で得られた課題や市民の反応などを踏まえながら、低排出ゾーンの対象地域や規制内容を段階的に拡大していく方針である。
2028~2029年には排ガス基準を満たさない車両を規制へ
今回の実証実験は、より厳格な規制に向けた準備段階でもある。
計画によると、2028~2029年の段階では、低排出ゾーン内で排ガス基準を満たさないバイクや自動車の走行を全面的に禁止する方針だ。
ハノイでは、交通渋滞だけでなく、大気汚染や騒音も都市が抱える大きな課題となっている。LEZの導入は、こうした問題に対して車両そのものを規制することで対応する政策である。
今後は、公共交通網やシェアサイクルなどの代替交通手段をどこまで充実させられるかが、LEZを市民生活に定着させるうえで重要なポイントとなる。
ハノイ中心部で始まった今回の取り組みは、単なる週末夜間の交通規制から、将来的には市民の移動そのものを変える都市政策へと発展する可能性がある。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



















