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ベトナムの現地調達網拡大へ ビングループ、国内サプライヤーに最大50%の賃料優遇

ベトナムのEVメーカービンファストの製造工場内部
(C)THANH NIEN

ベトナムの大手ビングループ(Vingroup)は10月16日、国内外の約1,000社が参加する「現地調達の強化とサプライヤー網の発展に関する会議」を開催した。同社は、傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)などの事業拡大を背景に、ベトナム国内の部品メーカーや関連企業への支援を強化する方針を示した。

工場賃料の優遇や物流インフラの共有に加え、長期的な発注の確保、品質管理や研究開発(R&D)の支援などを通じて、国内サプライヤーの生産能力を高める。ベトナム企業を自社グループの調達先として育成するとともに、海外工場への供給や国際的なサプライチェーンへの参入も促す考えである。

工場賃料を最大50%優遇、物流インフラも共有

ビングループ傘下のビンファストなどに部品を供給するベトナム企業は、グループの事業拡大を新たな成長機会と捉えている。

CNCハノイ技術設備株式会社のグエン・ビン・ミン会長は、日本企業への供給で25年以上の経験を持つ。同氏によると、外資系企業では外国企業や合弁企業がサプライヤーの中心となるケースが多い一方、ビンファストではベトナム企業が自動車や電動バイク向け部品の主要供給元となっている。

ビンファストはベトナム国内で事業を拡大するとともに、インドネシアやインドにも生産拠点を展開しており、同氏はこうした動きが国内サプライヤーにとって大きな商機になると指摘した。

アルミ部品を製造するキムセン工業株式会社も、ビンファスト向けに国内で部品を供給するだけでなく、インドネシアとインドの工場向けにも輸出している。同社は多国籍企業向けの部品供給も拡大しており、輸出が生産量の約50%を占めるという。

こうした企業の投資を後押しするため、ビングループは具体的な優遇策を打ち出した。

ビングループの副会長兼ビンファストグローバル副会長のタイ・ティ・タイン・ハイ氏によると、ビンホームズおよびビンファストの工業団地に工場を設置するパートナー企業に対し、工場用地の賃料を最初の3年間は50%、その後の5年間は30%優遇する。また、物流インフラや深水港湾の利用環境も共有する。

長期発注と調達集約でサプライヤーの成長を後押し

ビングループは、国内調達の拡大に向けて、サプライチェーン戦略を4つの方向性に整理している。現地調達率の引き上げ、ベトナム国内サプライヤーの育成、戦略的パートナーの開拓、そして長期的な協力関係の構築である。

同社が目指すのは、単発の売買契約を積み重ねる取引関係ではなく、パートナー企業と長期的に成長する仕組みだ。ベトナム国内の工場向けに供給するだけでなく、インドやインドネシア、北米などの生産拠点への供給も視野に入れ、取引先企業の事業規模と生産能力の拡大を支援する。

そのため、サプライヤーの数を増やすことだけに重点を置くのではなく、取引先を段階的に育成し、発注量を集約することで、各社の生産規模や供給能力を高める方針だ。

また、グループ内の多様な事業で製品規格や業務プロセスを標準化し、品質と競争力を備えた製品の生産に経営資源を集中させる。

調達面では、テクノロジー・工業、建設・インフラ関連のプロジェクト、その他の商品・サービスという3つの集中調達センターを活用する。調達や取引の窓口を集約することで、サプライヤーがグループ各社と効率的に取引できる環境を整える。

1年間で国内サプライヤー55社、108の部品群を現地化

ビングループの調達責任者であるファン・クオック・ホアン氏によると、同社が約1年前にサプライヤー育成プログラムを開始して以降、新たに55社のベトナム国内サプライヤーと協力関係を構築した。また、108の主要部品群で現地化を実現したという。

現地化された部品には、車体、車軸、エンジン、配線、車体制御ユニット、エアコン、シート、ランプ、樹脂部品、内装・外装部品などが含まれる。

一方、ホアン氏は、ベトナム企業の参入は依然として限定的だと指摘する。主な課題として、企業が生産能力の拡大や設備投資に慎重であること、研究開発やサプライチェーン管理の能力が十分でないこと、重要部品の技術や加工を海外に依存していることなどを挙げた。

さらに、自動車産業や高精度加工分野で求められる品質管理体制の整備、意思決定や事業展開の迅速化も課題となっている。

ビングループは、こうした問題に対応するため、サプライヤーの製品を継続的に購入する仕組みや生産数量の確約、定期的な需要予測を通じて、企業が安心して設備投資や生産拡大に取り組める環境を整える方針である。

加えて、技術情報の共有、研究開発やサプライチェーン管理の能力向上、品質管理に関する専門チームによる助言なども実施する。サプライヤーの能力を継続的に評価し、改善を促す仕組みも構築する。

ビンファストやビンメタルの大型投資が国内産業の需要を創出

ベトナムの産業高度化に向けては、国内の大手企業がサプライチェーンの中核となり、周辺企業を育成する役割が期待されている。

元中央政策・戦略委員会副委員長のグエン・ホン・ソン氏は、韓国の現代自動車や日本のトヨタ自動車などの事例を挙げ、ベトナムにもサプライチェーンを主導する中核企業が必要だと指摘する。ビングループは、その役割を担う有力な企業グループの一つと位置付けられる。

同グループの傘下企業は、自動車だけでなく、鉄鋼や鉄道など幅広い分野で大型事業を進めている。

ビンファストはベトナム、インド、インドネシアで4つの自動車工場を運営しており、合計の最大生産能力は年間100万台を超えるとしている。自動車1台には約3万点の部品・構成部品が必要とされ、多層的なサプライヤー網と高度な調整能力が欠かせない。

鉄鋼分野では、ビンメタルが計画する高付加価値の産業用鉄鋼生産拠点について、第1期の2027年に年間600万トン、将来的には年間2,000万トン超の生産能力を目指している。

鉄道分野では、ビンスピードがハノイ―クアンニン間やベンタイン―カンゾー間の高速鉄道計画、ハノイ市内の5路線の都市鉄道計画などに関わっており、これらのプロジェクトでは2029~2030年の完成が想定されている。

こうした大型事業が計画どおりに進めば、金属加工、機械、電気・電子部品、建設資材、物流など、幅広い分野で国内企業に新たな供給機会が生まれる可能性がある。

ソン氏は、ベトナムの持続可能な産業エコシステムを構築し、2045年に向けた国家発展目標を実現するうえで、民間企業を含む中核企業の育成が重要だと強調した。

ビングループの今回の施策は、グループ自身の調達基盤を強化するだけでなく、ベトナム国内企業の生産能力や技術力を引き上げ、国内で生み出す付加価値を高める取り組みでもある。今後は、優遇策を通じて実際にどれだけの企業が設備投資や技術開発を進め、国内調達の拡大につなげられるかが焦点となる。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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