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ベトナム鉄道市場に数百億USDの商機 国産化率10%から脱却し産業育成へ

ベトナム南北高速鉄道のイメージ図
(C)THANH NIEN

ベトナム政府は、南北高速鉄道やラオカイ~ハノイ~ハイフォン鉄道などの大型プロジェクトを、国内製造業の高度化につなげる方針である。ファム・ザー・トゥック副首相は、数百億USD規模に上る鉄道市場を国内産業の成長機会と位置づけ、技術移転や国産化率の向上、人材育成を急ぐ必要性を強調した。一方、既存鉄道の輸送シェアは極めて低く、インフラ投資の不足や技術面の遅れなど、解決すべき課題も多い。

鉄道の歴史145年、国家インフラの担い手へ

ベトナム鉄道総公社(VNR)は10月16日、ベトナム鉄道の開業145周年(1881~2026年)と鉄道業界の伝統の日80周年を記念する式典を開催し、第三等労働勲章を受章した。

式典に寄せた祝辞で、トー・ラム書記長兼国家主席は、ベトナム鉄道が145年にわたり国家の歩みとともに発展してきたと強調した。戦争中には、鉄道の維持と輸送路の確保に尽力し、多くの犠牲を払いながら前線への補給を支えた。新型コロナウイルス感染症の流行や自然災害への対応でも、鉄道は信頼できる輸送手段として役割を果たしてきた。

2026年は、鉄道業界にとって歴史的な節目であると同時に、組織面でも転換期となる。VNRは従来の総公社からベトナム国家鉄道グループへと移行し、今後は経営や組織運営、事業の実行能力を大きく変革することが求められている。

鉄道の輸送シェアは旅客0.12%、貨物0.18%

トゥック副首相は、鉄道業界の歴史的な貢献を評価する一方、発展を阻む構造的な課題にも正面から向き合うよう求めた。

南北を結ぶ既存鉄道は、約1世紀前から続く単線・軌間1,000ミリの規格が基本となっている。道路や航空など他の輸送手段に比べ、鉄道の競争力は低下しており、国内輸送に占めるシェアは旅客で0.12%、貨物で0.18%にとどまる。

物流コストも課題である。ベトナムの物流コストは国内総生産(GDP)の14~16%に相当し、世界平均を大きく上回るとされる。鉄道は長距離輸送や大量輸送に適した交通インフラであるにもかかわらず、その利点を十分に活用できていない。

投資面でも制約が大きい。鉄道は国家の戦略的インフラと位置づけられているが、交通インフラ投資全体に占める鉄道向けの割合は、長年にわたり3~5%程度にとどまってきた。資金の多くは維持管理に充てられ、新たな路線の整備や抜本的な近代化に必要な投資が不足している。

行政手続き上の制約、サービス品質、デジタル接続の遅れ、技術面の課題も残る。機関車や車両の国産化率は約10%にすぎず、労働者の71%超が依然として手作業を中心とする業務に従事しているという。

南北高速鉄道など大型プロジェクトが相次ぐ

一方、今後の鉄道業界には大規模な投資機会が広がっている。

主な計画には、全長1,541キロメートルの南北高速鉄道や、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン鉄道がある。このほか、ハノイ~ドンダン、ホーチミン市~カントーを結ぶ路線、ラオスや東南アジア諸国との鉄道接続構想も進められている。中国、中央アジア、ロシアとの国際鉄道輸送の強化も視野に入る。

政府が目指すのは、鉄道を単なる輸送手段から、国家の発展空間を生み出す戦略的インフラへと転換することである。

トゥック副首相は、国家鉄道グループについても、予算に依存する受動的な運営主体から、自ら投資資金を生み出し、関連産業の発展を主導する主体へと変わるよう求めた。

「プロジェクトを買うのではなく、能力を買う」

政府が重視するのは、鉄道の建設そのものにとどまらず、国内に技術と生産能力を蓄積することである。

トゥック副首相は「プロジェクトを買うのではなく、能力を買う」との考えを示し、国家鉄道グループが国内の国有企業、民間企業、研究機関、大学を結びつける中核となるよう求めた。

具体的には、基幹技術の習得、技術移転の受け入れ、国産化率の引き上げを進め、ベトナム企業が鉄道産業のバリューチェーンに段階的に参入できる体制を整える方針である。

鉄道関連市場は数百億USD規模に達すると見込まれている。大型プロジェクトの受注や設備導入だけで終わらせず、国内企業の製造能力や技術力を高める機会にできるかが問われる。

また、新路線の運行開始に向けた人材育成も急務となる。鉄道関連プロジェクトで必要となる人材は多く、政府は訓練を少なくとも2~3年前から始める必要があると指摘した。新路線の開業後、遅くとも3年以内に、ベトナム人の人材が運行と保守を全面的に担える体制を目指す。

312駅を活用し、都市開発と物流を一体化

既存インフラの活用も重要な課題である。トゥック副首相は、現在ある312の駅施設を適切に管理し、公共交通指向型開発(TOD)を通じて収益力を高めるよう求めた。

TODは、駅を中心に住宅、商業施設、オフィスなどを集積させ、公共交通と都市開発を一体的に進める手法である。政府は駅構内、駅上部、駅周辺という3つの空間を活用し、鉄道施設の価値を高める考えだ。

さらに、駅と海港、内陸コンテナ港、工業団地を結び、アジア・欧州の鉄道ネットワークとの連携を強化することで、物流網全体の効率化を目指す。

鉄道投資を国内産業の競争力向上につなげられるか

ベトナムの鉄道整備は、交通インフラの近代化に加え、国内製造業の技術力を高める機会となる可能性がある。ただし、大型プロジェクトの実施や外国技術の導入だけで、国内企業の競争力が自動的に向上するわけではない。

国産化率を高めるには、部品の製造能力だけでなく、品質管理、設計・開発、人材育成、長期的な保守体制も必要となる。政府や国家鉄道グループが、国内企業や研究機関との連携をどこまで実効性のあるものにできるかが重要である。

鉄道市場の拡大を一時的な建設需要に終わらせず、ベトナム国内に持続的な技術と産業基盤を築けるか。今後の鉄道政策は、インフラ整備の進展だけでなく、その経済波及効果によっても評価されることになる。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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