ホーチミン市とロンタイン国際空港を結ぶ「トゥーティエム-ロンタイン鉄道計画」が、着工に向けて一歩前進した。ホーチミン市建設局は、中国とベトナムの企業による共同企業体に対し、同プロジェクトの実現可能性調査報告書とFEED設計の審査を行うための建設活動許可を発行した。
総延長約47.7km、18駅を整備する大型鉄道計画であり、完成すればホーチミン市中心部とロンタイン国際空港を直接結ぶ新たな交通軸となる。
中国・ベトナム企業が計画を審査
今回、審査業務を担当するのは、中国の中国鉄路柳州局集団有限公司(China Railway Liuyuan Group)とベトナムのフンギエップ建設コンサルティングの共同企業体である。
同企業体は8月17日、事業主体であるダイクアンミン社から、実現可能性調査報告書とFEED設計の審査業務を受注した。
トゥーティエム-ロンタイン鉄道は、ダイクアンミン社が実現可能性調査報告書とFEED設計を作成しており、官民連携(PPP)方式のうち、BT(建設・移転)方式による整備が提案されている。
今回の審査は、作成された事業計画について第三者的な立場から内容を確認するものである。技術方式や採用する技術、総事業費などを精査したうえで、関係当局による審査・承認へと進むことになる。
つまり、まだ鉄道の建設が始まったわけではないが、着工に向けた事業準備が具体的な段階に入ったといえる。
47.7km、18駅を整備
トゥーティエム-ロンタイン鉄道は、全長約47.7km。ホーチミン市とドンナイ省にまたがる7つの区・社を通過し、18駅を設置する計画である。
18駅のうち2駅が地下駅、16駅が高架駅となる。
最大の特徴は、ホーチミン市中心部とロンタイン国際空港を直接結ぶ交通手段となる点だ。
現在、ホーチミン市とドンナイ省の間では道路交通への依存度が高く、特に空港周辺では今後の旅客需要増加に伴う交通混雑が課題となる。
鉄道が整備されれば、ベンタイン-トゥーティエム地区からロンタイン空港までを結ぶ高速輸送ネットワークの形成が可能になる。
さらに、タンソンニャット国際空港とロンタイン国際空港を鉄道で結ぶ構想にもつながり、両空港間の移動時間を約30分まで短縮できる可能性がある。
9月2日の着工に向け手続き加速
このプロジェクトは、ホーチミン市が9月2日の国慶節に合わせて着工・完成を目指す16の重点プロジェクトの一つにも位置付けられている。
今回、実現可能性調査とFEED設計の審査を担当する企業が決まったことは、事業計画を正式な承認段階へ進めるための重要な手続きとなる。
ただし、審査が始まったことと、鉄道建設が直ちに始まることは同じではない。今後、審査、行政手続き、事業承認、資金調達など、着工までにはなお複数の段階が残されている。
沿線開発にも大きな影響
この鉄道計画が注目される理由は、空港アクセスだけではない。
沿線では、鉄道駅を中心に住宅、商業施設、オフィスなどを集積させるTOD(公共交通指向型開発)の展開が想定されている。
ロンタイン国際空港の開業と鉄道整備が連動すれば、ホーチミン市東部からドンナイ省にかけて、新たな都市開発や物流、サービス産業の集積を促す可能性がある。
特にホーチミン市、トゥーティエム、ロンタイン空港を結ぶ交通軸が形成されれば、これまで道路を中心としていた南部経済圏の人やモノの流れにも変化が生じる可能性がある。
今回の審査開始は、約47.7kmに及ぶ大型鉄道プロジェクトが構想段階から、実現に向けた具体的な準備段階へ移りつつあることを示す動きといえる。


















