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ベトナムビジネス情報Vol112|
最新機種が揃う、製造業の大展示会

MTA VIETNAM 2019

ベトナム最大級の工作機械、精密機械、金属加工の総合展示会「MTA VIETNAM 2019」が、7月2日~5日にホーチミン市7区のSECCで開催された。22の国と地域から508社が出展し、4日間で約1万2000人が来場した。


中華系企業の出展が増加

 

ベトナムで最大級となる製造業の展示会、MTA VIETNAMは今年で17回目だ。SECCのホールAとA3をフルに使った展示場にはテーマカラーを統一した各国のパビリオンが目立ち、特に多いのは台湾系、そして中国企業のブースだ。これら中華系で全体の4割程度を占めているように感じた。

他にも常連である韓国系やシンガポール系のパビリオン、ホールA入口前はドイツ系企業のメインスエリアで、A3のタイパビリオンは出展企業が減ったようだ。そしてJETROによるジャパンパビリオンはホールAを入ってすぐの好位置にあり、24社の日本企業が出展していた。

2日目に訪れたが、雨天にもかかわらず来場者は数多い。ベトナム人以外では中国人や韓国人が多く、4~5人以上のグループ参加も目立った。また、ユニフォーム姿のコンパニオンの姿が増えてきたが、まだ慣れない様子のベトナム人女性もちらほら。

日系企業の出展内容を紹介しよう。 MTA VIETNAM に連続出展するYAMAZAKI MAZAC VIETNAMはVRで人目を引く。ブース内に入ると、ゴーグルを装着した来場者が装置の付いた手を動かしていた。同社がインド企業と開発したVRソフトで、マザックのマシンに工具をセットアップする疑似体験をしているのだ。

「ベトナム人はシャイな方が多いので、ブースの中まで中々入ってくれません。何か面白いことをやってると親近感を持ってもらい、1人でも多くを呼び込むために用意しました」

展示の目玉はロボットメーカーと共同で開発したロボット付き旋盤「QUICK TURN 150M SG」。自動化の問合せが増えているが、高価なマシンでは導入が難しいため、シンプルなエントリーモデルを展示した。同機に見入る来場者は絶えず、ベトナム人スタッフの説明を熱心に聞いていた。

また、いつものように顧客企業が制作した部品等をサンプルとして展示。実際に完成した製品を見てもらえると同時に、同社のマシンがベトナム市場で使われていることをPRできるという。

ジャパンパビリオンが盛況

YAMAZAKI MAZAC VIETNAMを囲むように並ぶのがジャパンパビリオンだ。初出展の日油技研工業は幅広い技術分野を扱うが、出品したのは温度で色が変わる示温材のサーモラベル。小さなシール状で、自動車や鉄道などの輸送系企業で多く使われている。車軸のベアリングなどに貼り、一定以上の発熱を異常として検知するためなどに使っているそうだ。

仕組みは単純だが、電気的なセンサーでは取付け場所が限られ、電気の供給も必要となる。化学反応を使うサーモラベルは電源が要らず、誰もがどこにでも簡単に貼れる。このシンプルさと物珍しさからか、ブースを覗き込む来場者が途絶えず、周囲からも「いつも人がいるね」と言われるとか。

「内容がわかりやすく、誰でもすぐに使えるので、ご紹介しやすいと考えました。アフリカと南米以外の多くの国に納品していますが、特にベトナムとタイを伸ばしたいと思っています」

ヤマダコーポレーションも初出展。圧縮空気で駆動するダイアフラムポンプを、構造がわかるデモ機でアピール。電気を使わないので、引火性のある石油や塗料、化学物質の原料などを送るために使用されており、顧客が容易にメンテナンスできることと長寿命が特徴という。

既に代理店を通じてベトナムでも販売しているが、新規顧客を獲得したくて出展を決めた。他国では水処理系の展示会に出ているが、製造業全般が対象のMTA VIETNAMは期待以上に来場者の反応が良いという。

「皆さん熱心に話を聞いてくれますし、『こんなものはあるか?』と、ポンプを必要としている方が訪ねてくるのがうれしいですね」

競合他社の中国企業は、同社製品の約3分の1という値段で販売しているという。価格では勝負できないので、高品質と長寿命で顧客を開拓する。

初出展にかける企業の思い

2002年に進出したFUTABA(VIETNAM)は、何と今回が初出展。しかもMTAだけでなく、「大昔にハノイの展示会に出たがホーチミン市では初めて」とのこと。出展の理由は、プラスチック射出成形の市場成長に合わせたモールドベースの拡販だ。

展示品はそのモールドベースと、金型内計測システムの 「MOLD MARSHALLING SYSTEM」。後者は今年から販売しており、同じく成形の伸びを見越してのことだ。日本では一般的でもアジアではこれからの商品だという。

「今まで展示会に出ていなかったので、『FUTABAが出ている!』」と声をかけられます(笑)。来場者には、MOLD MARSHALLING SYSTEMに興味を持つベトナム企業が多いですね」

こうした企業は成形メーカーではないかという。特に日系や他の外資系など高い品質を要求する企業の仕事を請け負う地場企業だ。商談も見積りも好調とのこと。

シオガイアジアトレーディングも初出展。シオガイ精機と台湾のメーカーとのコラボで、株式会社シューマンのオイルミストダストコレクター「OLMIDA-P」を展示。色を付けたデモ機を展示し、来場者の興味を引いていた。切削で油がミスト状になるのを水と油に分離させ、フィルターで有害物質を取るといい、代理店として販売をしている。

「お客さんは来てくれますが、他国に比べるとベトナム人はまだ物珍しさが先行している感じです。連絡がほしい、見積りがほしいなどの依頼は外国人が多いです」

その他、シューマンの製品である脱臭機も展示しており、プラスチックやゴムの成形メーカーなどに、OLMIDA-Pとのセット販売を考えていた。

目標50人に100人が来訪

日本からの初出展となる黒田精工は、精密金型を作るために研磨する、精密成形平面研削盤「GS-30Vs」を展示。操作パネルのコントローラーをベトナム語表示にして、使いやすさをアピールした。代理店販売をしてきたが、ベトナム市場により注力する。

「初出展かつブースが隅の方なので不安でしたが、お客さんは予想以上です。1日50人が目標でしたが、初日で約100人、2日目は午前中で既に100人ほどが来てくれました」

来訪者は在越ではなく中国からの中国人が多く、米中貿易摩擦でベトナムが注目されているためと見ている。また、ベトナムでは価格差から台湾メーカーのマシンが選ばれていたが、利益を出した企業がより付加価値の高い仕事を得るために、同社の製品を購入し始めていると読む。

「中国でもタイでも同じことが起こりました。ベトナムでもそうなりつつあるのではないでしょうか」

ベトナムに現地法人を持たないニコンは、代理店と組んでデモ機を展示。中でもアピールしていたのは、CNC画層測定システムNEXIVシリーズの最新機種「VMZ-R3020」。人の操作で測定するのではなく自動測定で、、スマホ系の基盤測定などに使われるという。ベトナムでは韓国系メーカーに多く納入しているが、もちろんそれ以外もターゲットだ。

「MTA VIETNAMでも中国や台湾の企業が多く出展していますが、彼らにもアプローチしていきたいですね」

もうひとつのメインは産業用CTスキャナー「XT H 225」で、来場者が興味を持ってくれるという。主に電子部品向けでの3次元測定器で、展示しているのは大出力タイプだが、ベトナムでは低出力タイプが売れているそうだ。

既にベトナムに定着したMTA VIETNAM。10月16~18日にはMTA HANOI 2019が、ハノイのI.C.E展示会場で開催される。MTAに限らないが出展企業の多くは最新機器を展示して、技術力や開発力をアピールする。最上位機種でなくてもベトナム市場に合わせたコンパクトモデルを選ぶなどで、以前のような「型落ち」は展示しない。

一方で、来場者の「場馴れ」も見受けられる。年に数回足を運ぶようになれば、いつもの展示、いつもの企業と、次第に新味を感じなくなる。だからこそ、ちょっと変わった展示品やアクティビティに足が向く。今後は来場者を呼び込む一工夫が必要になると感じた。