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【社会】火災現場から11人を救出

(C) VNEXPRESS

ケーキ屋の店内で火災が発生し、唯一の出入口であるシャッターは開かないという状況で、28歳のカー・ティンさんは、助けを求めて叫びながら、最悪の事態が頭をよぎった。

6月11日の午後、ケーキ屋の店員だったカー・ティンさんは、トゥードゥック市内の総合病院のベッドで、手足にやけどを負い有毒ガスを吸い込んでしまった同僚のグエン・ティ・ロアンさん(62歳)の世話をしていた。ティンさんとロアンさんは、その日の朝に発生したトゥードック市内の火災で九死に一生を得た11人のうちの2人だ。

11日の午前5時ごろ、オーナーの部屋の近くから大きな爆発音が聞こえて二人は目を覚ました。その時、ケーキ屋にはオーナー夫妻と2か月と6歳の子供に加え、7人の従業員が寝泊まりしていた。店舗は240㎡の広さがあり、1階には陳列棚、オーブンなどが置かれ、中2階にはレンガで仕切られた6つの寝室があった。

火はソファーを置いていた辺りから発生し、階段の方へ広がった。店の中に置かれていたものが燃え、黒い煙が住人の住む部屋を覆った。何人かがミニ消火器を使って火を消そうとしたがあまり効果が無かった。その時、ティンさんと他の3人の従業員が階下に降りて外へ逃げ出そうとしたが、シャッターを開閉させるリモコンが見当たらなかった。パニックに陥ったティンさんたちは、シャッターを叩いて助けを呼んだ。

向かいの店で喫茶店を経営しているグエン・フー・タムさん(62歳)は、「火事です!助けてください!」という叫び声を聞いて救出のために現場に向かった。近くで体操をしていた人たちも協力して入口のシャッターをこじ開けようとしたが、うまくいかなかった。
「火が燃え広がって壁が赤くなっており、どこを触ってもとても熱くなっていました。私たちはオーブンに入れられたパンみたいなもので、もう死ぬのを待つだけだと思いました。」とティンさんは話す。

助けを求める声が大きくなる一方の中、タムさんは、店に戻って長さ1.7mのバールを持ってきた。シャッターにバールをこじ入れて、近くにいた10人以上が力を合わせてシャッタを持ち上げ、間に木製のイスを挟んでスペースを確保すると、ティンさんと3人の従業員がそこから這い出して外に脱出した。1階にいた店のオーナーと従業員も近所の住民の助けを借りて何とか外に出てこれた。
「皆手足に火傷を負い、服は焦げていました。」とタムさんは話す。

これで8人が外に救出されたが、まだロアンさんとオーナーの妻、そして23歳の男性従業員の3人が中に取り残されていた。彼らはぼろきれと毛布を使ってドアの隙間をふさいで有毒ガスの侵入を防ぎ、火傷を防ぐために顔と体にタオルを巻いた。その時、トゥードゥック消防部隊が現場に到着し、チューン・バン・ソン大尉を中心とした4人の消防隊員がガスマスクを装着して、救出のために火災現場の中に入っていった。

消防隊が外から放水活動を続ける中、ソン大尉は、黒い煙の中で懐中電灯を照らし、手探りで閉じ込められた人々を探した。火が燃えている部屋のドアを壊すと、中でオーナーの妻がベッドに座っているのが見えた。

ソン大尉は、ガスマスクを渡してオーナーの妻に呼吸させ、必ず助けると話して安心させた。ロアンさんと男性従業員も、同様の状態で別の救助隊員に発見された。「あと1~2分遅れたら、彼らは助からなかったでしょう。」とソン大尉は話す。家に入ってから救出までの時間は約15分だった。

この火事によってオーナー夫妻と2人の子供、そして3人の従業員が重度の火傷を負った。体全体に火傷が広がっており救急搬送されたが、命に別条はないとのことだ。

警察によると、火災が発生したとき、シャッターのリモコンはオーナーの寝室に置かれていた。しかし、火災によるパニックのためオーナーはリモコンを見つけることが出来なかった。また、廊下にはソファ、祭壇、パンを入れるケースなどが置かれていたために、階段への道がふさがれ避難が難しくなったとみられている。

出典:12/06/2022 VNEXPRESS
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作