ベトナム初の格安航空会社(LCC)として航空市場の発展をけん引した「Jetstar Pacific」が、その歴史に幕を下ろした。Pacific Airlinesは、Jetstar Pacificブランドを冠した最後の機体を提携先へ返還したと発表。2008年の誕生以来、多くの人々に航空旅行を身近なものとした「オレンジ色の星」のブランドは、ベトナム市場から完全に姿を消した。
ベトナムにLCC時代をもたらしたJetstar Pacific
Jetstar Pacificは2008年、ベトナムのPacific Airlinesとオーストラリアの航空大手カンタス・グループの提携によって誕生した。
当時のベトナムでは航空機の利用はまだ高額で、一部の人に限られた移動手段だった。しかし、「格安航空会社(LCC)」という新しいビジネスモデルの登場により、手頃な運賃で飛行機を利用できるようになり、航空旅行は一般市民にも広く普及していった。
Jetstar Pacificの登場は、ベトナム航空業界における大きな転換点の一つと評価されている。
カンタス撤退後はPacific Airlinesへ
2020年にはカンタスが資本提携を解消し、航空会社は旧名称の「Pacific Airlines」へ戻った。
今回、Jetstar Pacific時代を象徴する最後の機体が返還されたことで、旧ブランドに関わる資産整理が完了。会社は財務上の課題への対応や保有機材の再編を終え、一つの節目を迎えたとしている。
現在はVietnam Airlinesと連携強化
現在のPacific Airlinesは、エアバスA321型機による運航体制へ移行し、経営再建を進めている。
従来のLCC専業モデルではなく、親会社であるVietnam Airlinesとの連携を強化し、サービス品質や運航スケジュール、予約システムを共通化。ハノイ、ホーチミン市、ダナン、フーコックなど主要都市・観光地を結ぶ路線を中心に運航している。
利便性と一定のサービス水準を維持しながら、効率的な運航によるコスト最適化を目指す方針である。
ベトナム航空市場の一時代が終わる
Jetstar Pacificは、現在のVietjet AirやBamboo AirwaysなどLCC市場が拡大する以前から、ベトナムで「格安航空」という概念を広めた先駆的な存在だった。
ブランドは市場から姿を消したものの、その果たした役割は大きく、ベトナム航空市場の大衆化と競争促進に大きく貢献した航空会社として記憶されることになりそうだ。



















