アルミフレームの「からくり」を提供
無動力の知恵で生産現場を変える
産業用アルミフレームを提供するSUS VietNamは2011年に進出。ベトナムでは主に自動機用の「SFシリーズ」、作業者周りの生産設備に使われ、話題の「からくり」にも対応する「GFシリーズ」を提供している。若槻智社長がそのビジネスを語る。

ベトナム市場はGFとからくり
―― ベトナム進出の経緯を聞かせてください。
若槻 SUSは生産設備に用いられる産業用アルミフレームの開発、設計、製造、販売を主力事業とするメーカーです。主に工場で使用される自動化設備の骨組みには高剛性のSF(スタンダード・フレーム)、作業者周りの設備にはGF(グリーン・フレーム)を使って、幅広い生産設備に対応しています。
主にSFはモーターなどの動力を使った自動機、GFは作業台、棚、台車、シューターや今話題のからくり設備などです。それぞれ部品販売も行いますが、ユーザー様のご希望に沿って提案、設計、組み立て納入も可能です。
もうひとつの大きな特長は、アルミフレームそのものと、それらをつなぐコネクタなどの部品を自社で設計、開発、製造しており、1000種類を超えるアイテムをカタログに掲載しています。設計の自由度が非常に高く、用途や現場に応じて生産設備を作れます。
SUSの海外展開は2001年のタイに始まります。タイの事業が成功し、チャイナプラスワンの流れもあって、次の有望市場として注目されたのがベトナムでした。投資額や経済成長も後押しする形で2011年6月にSUS Vietnamを設立しました。

―― SUS Vietnamの事業内容を教えてください。
若槻 弊社の事業の中心はSUSと同じく、自社製品のアルミフレームとIAI製品の販売です。他国の拠点と同様に、進出国であるベトナムの国内市場が対象です。材料のアルミフレームなどは日本とタイのマザー工場から輸入しています。
ベトナムは労働集約型の手作業による生産が多いですから、顧客数でいいますと、GFを使った作業者周りの改善活動に使用されるお客様数が一番多いです。お客様は当地で開拓した日系の企業がほとんどで、その理由は「カイゼンのベストツール」という点だと感じています。
例えば作業台を作る際には作業者に合わせた高さ、製品のサイズや作業の内容、部品の投入や完成品の排出などから構想を固めていき、豊富な品揃えから最適なアイテムを選択して、レンチ一本で組立が可能です。また、使用している中でさらなる改善を行いたい場合は、またレンチ一本で変更できるため、お客様が現場で改善するのも非常に容易です。
このような特徴から、改善意識が高く、継続改善を根付けたい企業様がお客様としては多いです。改善意識は一朝一夕で根付くものではないため、賃金が上昇する中、今から始めている工場様が多く、幸いに顧客数も伸ばせています。

―― 無動力、すなわち「からくり」を利用した設備もあるそうですね。
若槻 感覚的にですが、GFの使用目的は作業台や棚など一般的な生産設備が約5割、残り5割はベトナム市場でも存在感が高まっている、動きを追加した「からくり」です。
これは部品の重さを利用して製品を搬送し、作業を効率化する仕組みで、代表例としては先入れ先出しを実現するFIFOシューターや、部品箱の高さを一定に保つレベルリフターがあります。
これらは構造こそシンプルですが作業者の「1分1秒1歩」の削減を実現して、生産効率を上げると同時に日々の負担を軽減します。また、電気制御が入った自動化設備に比べて初期投資が安価なので、導入しやすいメリットもあります。
ただ、からくりは物の重さを利用するので、下から上への動きはできません。そのため最近では、アクチュエータを追加してカラクリではできない部分をカバーする、「ハイブリッド型」が増えています。

今後は「継続改善」をサポート
―― 競合他社は多いのでしょうか?
若槻 決して少なくなく、鉄製のものです。材料費が比較的安価な鉄製なら溶接設備のある町工場で製作できますし、東南アジアでは似たコンセプトで組立て式の中国製品も流通しています。
鉄と安価な労働力で製作した物には価格的に負けてしまいます。GFに比べて半値というケースもあり、「良いのはわかっているが、価格的に手が出ない」という声も聞きます。
ですので、ベトナムのように物価が安い国で価値を認めていただけるのは、主に先進国から進出した工場様が多くなります。実際、日系以外のお客様は欧米系企業などですし、先進国の工場がGFのコンセプトを受け入れやすいのは、先ほど伝えた改善意識が高いからです。
GFの一番の目的は継続改善で、お客様が改善を続けていくコツは「自分たち作って、自分たち使う」です。与えられたものだと使い勝手が良くても悪くても評価しませんが、自分たちで作る、使うと生産設備に情が入って、自然と「こうしたらどうか」と次のステップにつながるのです。
SUSではそのための様々な改善のハードルを下げるサービスがあり、訪問営業、デモ機、無料作図サービス、SUS製3DCADソフトウェアです。

―― 今後の計画を教えてください。
若槻 お客様自身が改善を進めやすい環境をさらに作っていきます。現在のサービスに加えて、改善のためのライブラリ作成とその3DCADデータの提供、作業のムダを見える化する分析サービスを追加していきます。
これらを通じて改善意識を高めて、「自分たちで作り、自分たち使う」を習慣化し、継続改善をお客様の工場に根付けたいです。
また、弊社はSUS製品の販売だけでなく、IAIという日本の産業用ロボットメーカーの、ベトナムでの総代理店をしています。モーターを電気制御した短軸ロボットなど自動化に使う製品で、自動化の波が来ているベトナムで毎年売上が伸びています。
加えて、2024年からカメラを使った検査ができる画像処理を自社開発して、2025年に販売実績を作ることができました。高い需要を感じており、複数の案件をいただいています。
SUS製品もIAI製品も工場内の生産設備に使いますから将来は営業を統合して、作業台や棚、からくり、ロボット、カメラ検査を含んだ自動化設備までをワンストップで提供できる存在になりたいです。





















取材・執筆:高橋正志(ACCESS編集長)
ベトナム在住11年。日本とベトナムで約25年の編集者とライターの経験を持つ。
専門はビジネス全般。