ベトナム空港公社(ACV)は、ホーチミン市のタンソンニャット国際空港にある国内線T1ターミナルを全面的に建て替える構想を明らかにした。新ターミナルでは地下通路を整備し、駐車場や新設されたT3ターミナルと直結させることで、利用者の利便性向上と空港機能の強化を図る。
築60年以上のT1ターミナルを全面刷新
ACVによると、T1ターミナルは1963~1964年に建設され、60年以上にわたり使用されてきた。
長年の利用により施設の老朽化が進み、過去には火災も発生したほか、設備や配管の劣化による衛生面の問題も指摘されている。特にトイレなどの設備は修繕だけでは抜本的な改善が難しい状況となっている。
こうした背景から、部分的な改修ではなく、既存ターミナルを取り壊して新築することが最適な選択と判断した。
地下通路でT3・駐車場と直結
再開発では、ターミナルと駐車場を結ぶ地下通路を整備する。
現在は利用者が道路を横断して駐車場へ移動しているため、交通渋滞や安全面が課題となっているが、地下通路の整備により歩行者と車両の動線を完全に分離し、安全性と交通効率を高める計画である。
さらに、T1と新しいT3ターミナルを地下通路で直接接続し、国内線ターミナル間をスムーズに移動できるようにする。
これにより、国内線ターミナルを一体的に運用する大規模なターミナル群の形成を目指す。
新T1は国際線にも対応
新たなT1ターミナルは、従来の国内線専用ではなく、一部国際線にも対応する予定である。
国際線専用のT2ターミナルは利用者増加により慢性的な混雑が続いており、新T1にも国際線機能を持たせることで処理能力を分散させる考えだ。
ロンタイン空港開港後もタンソンニャット空港は年間5,000万人体制を維持
ACVは、ロンタイン国際空港の開港後もタンソンニャット空港の役割は縮小しないと強調している。
今後も年間5,000万人規模の旅客処理能力を維持し、両空港は「ツインエアポート」として相互補完する体制を構築する方針である。
現在検討されている運用案では、タンソンニャット空港、ロンタイン空港の双方が国際線を運航し、ベトナム南部経済圏全体の航空需要に対応する計画となっている。
国内線需要の拡大に対応してきたT1
T1ターミナルは、2007年に国際線T2ターミナルが開業するまで、タンソンニャット空港唯一の旅客ターミナルとして運用されてきた。
フランス統治時代に建設された当初の面積は約1,800㎡だったが、航空需要の増加に伴い複数回の増築を実施。1972年には年間150万人の利用に対応する規模へ拡張された。
その後も改修を重ね、2023年時点では年間約1,500万人の処理能力まで拡大されている。現在はベトジェットエアの国内線を中心に利用されている。
ホーチミン市の航空インフラ整備は新たな段階へ
今回の再開発計画は、単なる老朽化対策にとどまらず、ホーチミン市の航空インフラを次の時代に対応させるための大規模な刷新と言える。T3ターミナルの開業に続き、T1の建て替えや地下動線の整備、さらにロンタイン国際空港との役割分担が進めば、南部ベトナムの航空ネットワークは大きく進化する可能性がある。今後の具体的な事業スケジュールや運用計画の発表が注目される。



















