ベトナムでは2026年7月1日から電子労働契約制度が本格的に運用される。電子契約を締結した後は、国の電子労働契約プラットフォームへの登録が義務付けられ、契約ごとに固有の識別番号(ID)が発行される仕組みとなる。
労働者と企業は、国家電子本人確認システムであるVNeIDを利用して認証を行い、契約情報へアクセスすることになる。
契約ごとに固有IDを付与
ベトナム内務省は、電子労働契約に関する政令337号の施行細則を定めた通達第08号を公布した。同通達は2026年7月1日に発効している。
新制度では、電子労働契約が電子労働契約プラットフォームへ送信され、必要条件を満たした場合、契約ごとに重複しない固有IDが付与される。
このIDは契約期間中を通じて変更されず、
- 契約内容の修正
- 契約の補足
- 一時停止
- 契約終了
が行われた場合でも維持される。
また、契約の付属文書や関連通知も同じIDに紐づけられる。
内務省によれば、このIDは電子労働契約のデジタル管理に活用されるものであり、IDが付与されたことで契約締結時点や契約内容、法的効力が変更されることはないとしている。
IDは24時間以内に自動発行
通達では、2026年7月1日以降に締結されたすべての電子労働契約について、電子労働契約プラットフォームへの登録を義務付けている。
システムは有効な契約データを受領してから24時間以内に自動的にIDを発行する。
一方、
- 本人確認が未完了
- 電子署名が無効
- タイムスタンプがない
- 電子データ認証要件を満たしていない
といった場合には、システムが自動的に登録を拒否し、理由を通知する仕組みとなっている。
VNeIDによる認証が必須に
電子労働契約プラットフォームへのアクセスには、国家電子認証システムVNeIDを利用する。
労働者は個人向け電子IDを使用し、企業は法人向け電子IDアカウントを利用する。
法人アカウントを取得していない企業については、内務省へ申請することでプラットフォーム利用アカウントの発行を受けることが可能である。
ベトナムでは行政サービスのデジタル化が急速に進められており、VNeIDは納税、行政手続き、医療、金融サービスなど幅広い分野への活用が進んでいる。
今回の電子労働契約制度への導入によって、労働分野におけるデジタル化もさらに加速する見通しだ。
契約データは最低10年間保存
通達ではデータ保護に関する要件も明確化された。
電子労働契約の情報は、契約終了日から最低10年間保存しなければならない。
同一の労働者と企業が連続して複数回契約を締結した場合は、最後の契約が終了した日を起点として保存期間が計算される。
さらに、データの利用や共有については、
- データ保護法
- 個人情報保護規定
- サイバーセキュリティ法
- 公文書保存規定
を遵守する必要がある。
すべてのアクセス履歴やデータ共有記録は保存され、追跡可能な状態にしなければならないとしている。
労働分野のデジタル化を推進
新制度では、ベトナム労働総連盟や各地方の内務局、工業団地・経済区管理委員会などがシステムの運営・管理に関与する。
ベトナム政府は今回の通達について、労働管理の効率化、データ連携の強化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目的としていると説明する。
電子労働契約の全国展開に向けた法的枠組みが整備されたことで、企業の人事・労務管理のデジタル化は今後さらに進展しそうだ。





























