―― 弊社では、小さい子どもを育てている女性の従業員のみに育児手当を支給していますが、最近は、男性も育児手当を受け取ることができると聞きました。それは本当でしょうか?
フィンチー 旧労働法では「女性の労働者が子どもを保育園または幼稚園に預けるための費用の一部を援助・補助する」旨が定められていましたので、育児手当は女性のみへの支給とされていました。
しかし、2021年1月1日に施行された現行労働法では、育児手当に関する条項から「女性」という文言が削除されたため、女性の従業員のみならず、男性の従業員も育児手当を受け取ることができると解釈できます。
―― 男性の従業員に育児手当を支給しない場合、何か罰則を科される可能性はありますか?
フィンチー ベトナムの法令では、男性の従業員に育児手当を支給しない行為を直接の対象とする罰則は見当たりません。
しかし、労働法上、男性も育児手当を受け取ることができると解釈される中で、女性のみに育児手当を支給することは、職場における男女平等に反する行為と解釈される余地があります。その場合、2000万VND(約11万円)の罰金を科される可能性があります。
―― なるほど。育児手当制度を見直したいと思います。ところで、育児手当はいくら支給すれば良いのでしょうか。
フィンチー 労働法上、育児手当の金額を算出する基準は規定されていません。その金額や期間等については、各使用者が会社の実情等を踏まえて計画を立て、従業員と対話したうえで決定するものとされています。