2019年の国際連合人口基金のデータによると、ベトナムは世界で最も運動しない10ヶ国のうち1位である。世界の一日平均歩数5000歩に対し、ベトナム人の一日平均歩数は3600歩、会社員は平均600歩だ。ベトナム成人の32%が日常的に運動しておらず、その結果、循環器疾患、がん、糖尿病のリスクが高まっている。仕事や家族・友人との団らんに費やす時間が多く、運動に時間を取れていないのが現状だ。
ベトナムの都市部では、子供の頃から親がバイクで学校の送迎を担当。放課後も日本のような部活動はほとんどない。大人も歩ける距離ですらバイクで移動する習慣がついているので、意識しないと簡単に運動不足になってしまう環境である。
そんなベトナムであるが、最近は運動やスポーツを定期的に行う人が増えている。2021年の文化スポーツ観光省の報告によると、運動やスポーツを定期的に行う人の割合は、2010年23%から2020年34%に上昇。以前より一番人気のスポーツはサッカーで、2018年に開催されたサッカーU23代表戦はベトナム最高視聴率77%を記録。会社でサッカーチームを作ったり、近年では子供向けのサッカースクールも盛んになりつつある。
もともと健康意識が高かったベトナムであるが、経済成長の伸びにより金銭的に余裕ができて「お金払って」運動する層が増え、公園ではなくフィットネスクラブでジョギングをする、通勤をバイクから自転車に変える、運動靴をサッカー専用シューズに買い替えるなどベトナム人の消費傾向にも変化が見られる。
ベトナムの運動・スポーツ関連市場は今後益々育っていくであろう。