火炎瓶を投げ込んだり、銃で脅したり、家族を脅迫したり・・・これは、不法に漁場を占拠しようとするマフィアが漁民に対しておこなっている行為だ。
カマウ省ウーミン県の海域で漁船が火炎瓶によって沈没させられてから10日以上が経過したが、沈められた船の船長だったチューン・ホアイ・フォンさん（46歳）は未だに漁場に戻る勇気が持てない。1月2日の昼頃、フォンさん何日間もの漁に出て、船上のハンモックで寝ていたところ、突然船が近づいてくる音が聞こえた。フォンさんが船室のドアをあけて様子をうかがうと、船に大量の火炎瓶が投げつけられて火の手が上がっているのが見えた。とても消火できないと判断したフォンさんは、船の後部に走り寝ていた船員を叩き起こして別の船に移って避難するよう指示した。
「アンカーロープを切り落とした後は、船が沈むのをなすすべもなく見ていました」とフォンさんは話し、幸いにも怪我人は出なかったと付け加えた。1分も経たないうちに船は炎に包まれ、イカ釣り漁の設備と共に海に沈んだ。この火災によって船主は約27億VNDの財産を失った。
フォンさんによれば、見知らぬ船から攻撃されたのは今回が初めてのことではなかった。昨年11月にフォンさんの船がキンホイ港（ウーミン県カインホイ村）から20㎞ほど沖合で漁をしていたところ、大小10隻ほどの船が周囲を取り囲み、フォンさんたちの船にこの場所から立ち退くよう求めた。
フォンさんはこの海域で20年以上漁をしてきたので、その要求を断った。そのとき既にイカ釣り用の餌のつけられた3万本以上の針が海に放たれていた。フォンさんが懸命に説明しても、相手は聞く耳を持たずに脅迫を続けてきた。その約1か月後、またしてもフォンさんの船は攻撃され、船体に深刻なダメージを受けた。
「相手グループには見覚えのある顔もいましたが、あまりにも攻撃的だったのでどうすることも出来ませんでした」とフォンさんは話し、その後、マフィアが家まで来て「これ以上漁を続けるなら殺すぞ」と脅してきたと付け加えた。
キエンザン省のファン・バン・ドンさん（31歳）の船もカマウの海域で船を放火された。2023年末、ドンさんたちの率いる3隻の船がソンドック河口から50㎞ほど沖合で漁をしていたところ、火炎瓶や銃で武装した集団に襲撃された。
襲撃された3隻の船のうちの別の船の船長だったグエン・チョン・フーさん（36歳）によると、その日の夜12時30分ごろに漁をしていたところ2隻の漁船と1隻のイカ釣り船が近寄ってきた。船の漁師たちは量の作業中だったので、突然の攻撃に対処できず火炎瓶による攻撃を受けた。
「火の手が上がり銃声が聞こえたので、急いで船に乗っていた3人に船室へ逃げるように呼びかけました。彼らが攻撃の手を休める気が無いように見えたので、アンカーロープを切断して、その場から逃げざるを得ませんでした」とフーさんは話す。
フーさんたちはその場から逃げ出したが、攻撃集団が追跡してきたため、付近の漁船に応援を頼んだ。近くにいた2隻の漁船が助けにやってきたところ、それらの船も攻撃を受けた。約1時間後、多くの漁船が助けにやってきて攻撃してくる船に圧力をかけたため、攻撃集団はようやく逃げ去った。
暗がりとパニックのため、漁師たちは攻撃してきた集団を特定することはできなかった。攻撃集団が去った後、船の乗組員たちは急いで消火活動をおこない、足や顔を銃撃された3人の被害者の応急手当をした。「攻撃してきたのは漁師ではなく、漁場を縄張り化して漁師にみかじめ料を要求してくるマフィアです」とフーさんは話してくれた。
カマウ省は長さ254㎞の海岸線を持ち、近海には様々な水産資源に恵まれた10万㎢以上の漁場が広がっている。これによって、地元の漁師たちは収益性の高い漁船団を発展させることができた。しかし、最近ではみかじめ料を目的としてマフィアが漁場を占拠するようになってきている
カマウ省人民委員会によれば、最近、漁場をめぐる紛争が増加傾向にある。現在、イカ釣り船の集団が漁場で漁をするためにマフィアへみかじめ料を払う状況が発生しており、マフィアたちは、武器を使用して漁場を奪いとっている。
2023年11月8日から2024年1月8日までの統計によれば、チャンバントイ県とウーミン県の漁場を巡る争いが13件発生している。全ての事件で犯行グループが特定されており、警察は5人を逮捕した。
カマウ省人民委員会のレー・バン・スー副主席は、地元警察に対して国境警備隊や地元地域と協力してこれらの事件を早急に捜査し、処分するよう指示した。カマウ省はまた、国防省、農業農村開発省に対して海上警備隊にカマウ省で暴力行為が発生している海域のパトロールと鎮圧を指示するように要請している。
出典：15/01/2024 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載
