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【社会】テトが近づくと仕事が手につかない

(C) VNEXPRESS

ファン・アンさんは、もうすぐやって来るテト休暇に全ての意識と時間を吸い取られ、この2週間ほど会社に行っているにもかかわらず仕事が手につかない。

ホーチミン市タンフー区で働くハティン省出身の会社員であるファン・アンさん(25歳)は、会社で過ごす8時間はオンラインで注文した品物を受け取ったり、アオザイの記念撮影の計画を立てたり忘年会に着ていく服を選んだり、航空チケットを調べたりする時間になっていると話す。仕事は溜まっているがアンさんは帰宅してから仕事を片付けるつもりだ。

「同郷の友人、同級生、親しい同僚達との忘年会で1週間の殆どが埋まってます。家に帰ると深夜になっており、寝てしまいました」とアンさんは話す。このような状況では仕事は溜まる一方だ。

同じようなことはハノイ市ハードン区に住むミン・フエンさん(38歳)にも言える。テトの数週間前、フエンさんは夫が出張中の間、2人の子供の面倒を見て、テトのお供え物を準備し、親戚や政府関係者への贈り物を買いに行かなければならなかった。

フエンさんは、仕事時間を使ってテト用のお菓子を注文した。お昼になるとフエンさんはテトのギフトを何十個も購入し、家族のために新しい服を注文した。夜遅くに子供たちが寝てから、フエンさんは春巻きを巻いたり、ハムの下拵えをしてテトの5日間の食事を準備する。週末になれば、夫と二人で上司や親せきの家を回ってテトのあいさつをする。

二人の子供の母親であるフエンさんは、テトまでの日々を会社の仕事が多忙な中での疲労困憊のマラソンレースに例える。

フエンさんの夫であるクオック・ハーさん(40歳)も年末の顧客への挨拶回りで疲れ果て、仕事が手につかない状態だ。1日に3軒回ることもざらにあり、妻のためにテトの買い物にも行かなければならない。

ベトナム文化発展協会のドー・ミン・クーン副部長はファン・アンさんやミン・フエン夫妻は、休日が近づくと興奮して落ち着かなくなるというホリデイ・クリック・オフ症候群に陥っていると指摘する。

ベトナムではこの症候群に関する研究結果は存在しないが、この症候群自体は世界的に広がっている。アメリカのPeakonがアメリカ、イギリス、ドイツの企業で働く会社員1万200人を対象に管理者と従業員の交流に関する調査を実施した結果、半数以上の従業員が大型連休の何日も前から仕事が手に着かない状態になっていることが分かった。注目すべき点は、若い世代、特にZ世代の方が年配の従業員よりも早く休暇モードに入る傾向にあることだ。

クーン副部長は、ベトナム人が大切な休暇に備えて全てを大切にしようとするために、テト前に無気力になるのは、今に始まったことではないと指摘する。テトが近づくと従業員は仕事を新年に持ち越さないようにテト前に終わらせようとする傾向がある。

その一方で、ベトナム人は、テトが近づくと常に新しい家財道具や衣服を購入したいと考えている。また、日頃の感謝の気持ちを込めて、親戚、教師、上司にきちんとしたテトの贈り物をしたいと考える人も多い。友人や同僚、取引先との忘年会もおこなう必要がある。挙句の果てにはオンラインでの購入はまだ問題が多いため、テトの帰省に向けて列車、バス、飛行機のチケット争奪戦にも参戦しなければならない。

「同時に3~4つのタスクを処理しなければならなくなると、多くの労働者は心理的疲労を感じ、仕事に集中できなくなります」とクーン副部長は話す。

クーン副部長はさらに、ホリデイ・クリック・オフ症候群に陥りやすいのは、時間の管理経験に乏しい若者世代だと指摘する。次いで仕事と社会や家族とのバランスをとらなければならない40代以上もこの症候群に陥りやすいとされている。

ホーチミン市のヴァンラン大学PR-コミュニケーション学部のレ・アイン・トゥー講師は、これに加えて長期にわたる過度なストレスによる感情的、精神的、肉体的な疲労によって燃え尽き症候群に陥っている労働者もホリデイ・クリック・オフ症候群に陥りやすいと指摘する。

トゥー講師によれば、経済的に困難な状況において失業率が増加してくると、これまでと同等の収入を維持するために、労働者は、通常より2~3倍高い生産性を求められる。そのため、労働者は心理的に疲れ果て、テト休みを指折り数えて待つようになる。

ハノイ市コーザイ区に住むタイン・トゥーさん(28歳)も同じような状況にある。IT分野で働くトゥーさんは、解雇されないようにするため、2023年初頭に解雇された同僚の分まで含めた仕事を引き受けざるを得なくなった。トゥーさんは、1500万VNDの月収を維持するために、仕事の後も内装家具販売サイトの管理作業をしなければならない。

毎日必死に働いて1日の睡眠時間は4~5時間しかないので、トゥーさんは上司や顧客の要求から離れて、ゆっくりと休める休暇をひたすら待ち望んでいる。

レ・アン・トゥー講師は、ホリデイ・クリック・オフ症候群は特殊な心理状態ではないとしながらも、長期間放置しておくと労働者の仕事と健康に直接的な悪影響が出てくる可能性があると警告する。

ホリデイクリックオフ症候群の一般的な症状は、休暇が近づくにつれ仕事が終わらないことへの焦りから精神的に追い込まれ、落ち着きがなくなるというものだ。このような状況に陥ると積極的に仕事に取り組めず同僚に後れを取りがちで、仕事の進捗や品質が低下し、上司からの信頼を失い、昇進にも響く。

ファン・アンさんの場合も、テトのために常に買い物に行き、忘年会には全て参加しようとするために、常に準備に追われて、何をやるのもぶっつけ本番状態になっている。アンさんは、上司からの指示や顧客からの注文に対応するため、夜中の1時、2時から仕事を始めることがよくある。このような状況が長期間続いたために、アンさんは常に疲労感を感じるようになってしまった。

テトの準備に追われていたため、ミン・フエンさんは仕事に支障が出ておりグループ全体の仕事の進捗に影響を与えているとして、上司から頻繁に叱責された。家族のためのテトの準備に追われていることもあり、フインさんは、イライラして夫や子供たちに当たり散らすようになってしまった。

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従業員の士気とパフォーマンスを向上させるため、ドー・ミン・クーン副部長は、企業は短い時間でも従業員と話し合う時間を設け、客観的に時間を管理し、調整する方法を共有するようにアドバイスする。

年末最後の月には、従業員が年末の努力を認められたと感じられるように現金や品物による報酬を用意した方が良い。さらに、企業はテトマーケット、スポーツ大会、忘年会などを開催し、活気に満ちた雰囲気を作り出し、従業員が個別に集まるよりもコストパフォーマンスの高い全員参加の機会を提供したほうがよい。また、企業経営者は、部下がやる気を出せるように率先して仕事に取り組む必要がある。

「結局のところ、ベトナム人にとってテトは家族全員が集まり団結する機会であり、特別な思いを持っているため、仕事に集中できなくなるのは当然のことなんです。しかし、労働者と企業は、お互いの調和をはかり、労働者の健康状態や仕事に悪影響を与えるようなネガティブな感情を避けるようにすべきでしょう」とクーン副部長は話す。

出典:31/01/2024 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載