ベトナム最大級の国際美容展示会「Vietbeauty & Cosmobeauté Vietnam 2025」が、ホーチミン市7区のSECCで7月24~26日に開催された。24の国と地域から約600社が出展し、3000以上のブランドが展開された。
外資コスメがベトナム攻勢
A、Bの両ホールを使った会場には、化粧品、スキンケア、ヘアスタイリング製品、美容機器、健康食品から原材料、パッケージ、OEMサービスなど、美容業界の商品がこれでもかと並ぶ。
Aホールには台湾、韓国、中国など社数の多い国が広めのブースで出展。目立っていたのは韓国で、統一カラーの明るいピンクはベトナム女子の心を引き付けそうだ。Bホールにも数多く出展していた中国は合計300社以上と、出展の半数を占める多さだ。ベトナム企業は約50社で、コスメ業界の外資系攻勢はまだ続きそうだ。
一方のBホールは10社が集まったポーランドの共同ブースが目立つ他、主にその他の外国勢が集まっていた。日本のブースもこちら側で、20社以上が出展していた。

関西発ビューティチーム
前回に続いて合同ブースを主催したのがアジア美容研究所(BRIA)。化粧品のOEM生産をしている別会社のアレーズヴェルチュを含めて、関西の企業6社が横並びで出展した。他社はベトナム初出展だ。
整体師という男性たちが対応していたのが兵庫県からのシャダップで、美容液やダメージケアシャンプーを積み上げて展示していた。「若い世代が多くて経済も成長しているベトナム」に、日本の製品を広げていきたいそうだ。
「昨日が初日でした。ベトナムは日本よりも繁盛しているイメージで、お客さんの反応が良かったです。美白への関心が高く、ホワイトニング系の商品が人気でした」
香りに関しては、日本ではどちらかといえば無香料が好まれるが、ベトナム人は何らかの匂いが喜ばれそうとか。商品のアピールと同時に代理店探しが今回の目的だ。

オッペン化粧品、社長が来越
著名な化粧品メーカーのオッペン化粧品もここに参加し、社長自らが対応していた。自社ブランドを当地のサロンを中心に販売することと、OEM事業も展開したいと話す。価格帯は少々高めなので、対象者はある程度絞られるようだ。
「色々な商品を使い続けてきたけれど、自分に合うものが中々見つからない。そんな方にカウンセリングでしっかりと合った商品をご提案していきたいです」
ブランドの単品での販売も大切だが、顧客にマッチした商品を考えて選んでいく。そのようなトータルで販売できるパートナーを探しているそうだ。

ホーチミン市にサロン開店
関西でスパを運営するエイチ・ツー・オー。高級ホテル内に茶室を伴ったハイクラスサロンもあり、世界から顧客が集まるという。
「一般市場には出ていない、会員様向けの高級オーガニックコスメなども開発しています」
実はホーチミン市のホテル内で、サロンをオープンする準備をしている。そのためにはまずは商品から知ってもらったほうが良いのではないか。BRIAからそう声をかけられて出展を決めた。
展示台には主力商品をずらりと並べ、ベトナム語の商品紹介チラシを封筒に入れて手渡すなど、上手なアピールを感じた。

エビデンス重視の商品開発
「ハッピーの達人」という垣内社長が率いるアモール。樹木から作った安眠効果の高い芳香剤や、天然由来成分で洗浄力やホワイトニング効果が高い歯磨き粉などを展示した。
「私が一から勉強するとたくさんの学術論文が見つかって製品化できました。エビデンスもきちんと取れています」
歯周病が原因で糖尿病や認知症になるケースもあり、上記の製品でこれらを抑止できるという。ベトナムは医療費が高額なので予防としても広めたいそうだ。
日本では美容サロンへの専売品としている。ベトナムでもあえてクローズドなマーケットに留めて、十分な説明をしながら販売できる代理店を探している。

ベトナム企業との商談が進む
前回の出展から1年経ったBRIAに聞くと、ベトナム企業との商談が進んでいるという。
「昨年の展示会でお会いしたベトナムの大きな会社さんと、確定ではないですが商談が進んでいます」
共同出展企業の商品の準備から展示台のデザインまで担当し、「体一つ」で来越してもらった。参加したのは「分野を特化したこだわりのある商品を持つ企業」で、展示会終了後のフォローアップも担当する予定だ。
彼ら6社の裏側には別の日本企業が主催した同様の共同ブースがあり、10社程度の日本企業が存在感を放っていた。

東南アジア戦略の第1弾
「Spa」と大きく描かれたデザインセンスの良いブースで出展したのはヒューマンリソースコミュニケーションズ。京都でヘッドスパなどのスパを運営すると共に、自社で企画したクレンジングブランドなども持つ。
「クレンジングジェルは世界15ヶ国で販売しています。中国で特に売れていて、認知度も高いです」
ただ、中国経済の失速もあって東南アジアに目を向けた。ベトナムはスパが多いので、そこで働くプロたちに商品を提供できないかと初めて出展した。
「将来はベトナムで作った日本ブランドを、ベトナムで販売する可能性を探りたいと思いました」
ベトナムに現地法人を持つことはまだ考えていない。まずは当地のスパやサロン、コスメショップで販売できる代理店と連携することが第一歩だ。

抹茶のニーズが大爆発
毎回出展しているコスモビューティーのブースの一角に抹茶が並ぶ。同社が抹茶の成分を使った新商品を展示しており、「抹茶つながり」で茶創人が出展した。
生産農家から茶の原材料を仕入れて製品化して、茶の卸をしている。取引は日本より海外に多く、ホーチミン市の抹茶ラテ店などにも輸出している。
「SNSで仲良くなったベトナム人を営業職として育てて、ベトナムの市場開拓をしてもらいました」
日本で日本茶を嗜好品として飲む人が減る一方で、世界的に抹茶のニーズが高まって奪い合いになっている。需要に供給が追い付かず、海外ではトン単位の高値で買い取る業者も多いため、日本市場に出回らなくなっているそうだ。

健康食品をOEM生産
こちらも共同ブースで、化粧品OEM開発のコスメ・ニストと一緒にリベト商事が出展。両社は共に群馬県に本社があり、親交があるそうだ。
リベト商事はハノイに支社があり、ベトナムではライセンス契約した「業務スーパー」を十数店舗展開。ただ、今回展示したのは日本で販売している自社ブランドの健康食品だ。
「このような製品をOEMで製造できることをご提案しています。いくつかの実績もあります」
現在の商品のパッケージを変えて日本から輸出する、あるいは新しい商品の開発をサポートするなど、顧客に合わせて対応できるという。

ベトナム人はお金持ち?
化粧品メーカーのプレジェルは、自社ブランド品の販売代理店と、化粧品OEMの顧客を探すために出展した。
「数多い商品の中で最も売れているのがスキンケアを兼ね備えたフェイスパウダーです。日本ではサロン専売品ですが、ベトナムでは多方向に考えています」
来場者の反応は「滅茶苦茶良い」。OEMではベトナム企業と商談アポが取れ、自社ブランドでは上記のフェイスパウダーに興味津々という。初出展ながら驚いたことがあるという。
「想定していた『値段が高い』とは言われず、気にするのは効果や結果。OEMではロット5000個からと伝えていますが、こちらもウェルカムなのです」

売れ筋は子ども用サプリ
健康食品やサプリメントなどの総合卸であるユニマットリケンは、ベトナムで3回目の出展。海外販売はしていたが、問合せが来るようになってベトナムでの可能性を探しに展示会に出展。そこで知り合ったバイヤーなどが代理店となり、4~5年前からベトナムで販売している。
「グミタイプなどの子ども用サプリメントが特に売れています。大人用ではナットウキナーゼなどでしょうか」
多くの種類の商品が展示される中で、子ども向け商品は広くスペースを取っていた。

ベビーフードの可能性
ベビー・キッズ事業のケイジェイシーは、可愛らしいパッケージのベビーフードを展示。今年からベトナムで代理店販売をしており、「もっと知名度を高めて」という代理店の声で出展を決めた。コスメとの接点はないが、ユニマットリケンとの接点から共同ブースとなった。
「業界が違う方は興味を引かないようですが、ドラッグストア関連の方が訪ねられてこれから商談の予定です」
ベビーフードというジャンルが珍しいのか、商品の写真を撮っていく人もいるとか。「何もやらないより成果は出ています」と力強く語った。

