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ベトナムビジネス情報Vol.139
定着する?製造業オンライン展示会
VME 2021

9月15日から17日の3日間、「Vietnam Manufacturing Expo (VME) 2021」と「Vietnam-Japan Supporting Industry Exhibition (SIE) 2021」がオンラインで開催された。製造業系で恒例の展示会と商談会であり、早速参加してみた。

まず出展者リストを確認

 Webサイトから登録して、すぐに展示会のトップ画面へ。展示会場は2つに分かれ、VME 2021とSIE(第9回ハノイ部品調達展示商談会) 2021だ。

 左サイドには企業を絞り込むフィルターが設定され、VMEでは主催者と出展者、SIEは買手(日本企業)と売手(ベトナム企業)に分かれている。製品からも絞り込みができるので、探す対象が決まっている場合は便利だ。

 上部のタブからも入場できて、「Webinar」でウェビナーの内容、「Speakers」で講演者から講演が選択できる。「International Portal」からはVMEとSIEの出展企業リストが入手できるので、最初に目を通しておくと動きやすい。

 この企業リストを読むと、VMEには49社が出展しており、半数以上が外国企業だ。中でも韓国企業が12社と最多で、次がタイの5社、ほかは中国、台湾、シンガポールなど。ただ、その国の企業という意味なので、日系などの外資系企業も含まれている。SIEのリストには、日本企業が20社、ベトナム企業が35社あった。

一般的なブース構成

 会場でのVMEの出展企業を見ていく。イラスト化されたブースの作りは、中央に動画、上部に社名、左側に製品、右上にチャット、ビデオ電話、メールなどの連絡機能が見える。ブースの下には企業情報、製品資料、連絡先などがまとめられている。

 全社をチェックしたわけではないが、どの企業にも動画が揃っていたのがうれしい。そのクオリティは様々でも、製造業の展示会なので、動く製品を見せるのは最重要視されて良いと思う。

 ただ、社名や製品イラストをクリックしても、出展企業のサイトに飛ぶ場合とそうでない場合があった。その理由は取材の内容から察せられた。

 来場者からのコンタクトで最も使われたのはチャットだろう。今回の取材もチャットでメッセージを送り、日本人の方からご返事をいただいて、ビデオ電話で話すというプロセスだった。やりとりがシンプルなので、商談などもスムースに進められると感じた。

思わぬ企業との接点も

 取材した1社は、中国LKMグループのLUNG KEE METAL JAPAN (HCMC OFFICE)だ。VMEには2018年から出展しており、初のオンライン開催となった今回で4回目となる。

 中国のモールド(金型)の部品メーカーで、ベトナム進出が加速する日系製造業に販路を広げたいと、2019年にはホーチミン市に営業所を設立。業界誌や顧客の紹介などから新規ユーザーをリサーチしていたが、ロックダウンで営業活動が制限され、製品のアピールと知名度のアップを求めて出展を決めた。

 本社の顧客は大型工場のある地元中国の企業がメイン。ただ、台湾にも工場があること、北部に中国系金型メーカーの進出が増えていることから、ベトナムでの中国系、台湾系、そして日系企業にアプローチしている。

「金型に使われるホルダーなど、複雑な加工製品の製造と販売をしています。中国国内では既に始まっていますが、最近は3次元の複雑な金型設計が増えており、今後のベトナムでも需要が高まると感じています」

 VMEで問合せが多かったのはベトナム企業で、リアルの展示会ほどは集客できていないという。ただ、これまでは北部と南部を対象としてきたが、中部の企業から連絡があったのはオンラインならではと実感。また、類似した業種の出展企業が多いと感じたそうだ。

「こんな会社もあったのかと、出展企業同士で連絡することも多いです。オンラインでの集客は難しくても、スピーディに簡易的なアプローチができます。新型コロナで企業訪問ができない中、メリットとデメリットは納得するしかないです」

 チャットルームでは、自分だけでなくほかの人の書込みも読める。それが出展者であれば「Exhibitor」と表記されるのでそれとわかるのだ。最終日の午後3時頃に見ると、やり取りの総数が多い企業と少ない企業とがあり、企業により差が付いていた。

 オンラインでの出展は初めてのこと。そのため、準備に何をしていいのかわからず、「ぶっつけ本番」で臨んだそうだ。今後のオンライン展示会については、出展企業を見ながら検討したいという。

「ベトナム市場の開拓はグループ内での優先順位が高いので、自社の宣伝に使える媒体は検討するつもりです」

ブースの設計に一工夫

 CKD Vietnamは空圧式シリンダーなどのアクチュエータを取り扱っており、特に新商品のアピールがしたいと出展した。日本、中国、タイで生産した製品を販売する販社であり、昨年のVMEに出展予定だったが新型コロナで中止となり、今回のオンライン出展となった。

「自動装置に使われる部品ですので、自動車、電子部品、食品、プラントなどお客様の業種は様々です。日系とベトナム系の企業が多く、最近は韓国系も増えてきました」

 営業は主にベトナム人スタッフが担当しており、外出できないためにビデオ会議やメール、SNSを使った方法に変えている。今回もまさにそうしたやりとりになるが、来場者は思っていたよりも多いそうだ。しかし、需要があっての訪問か通りすがりかを識別できないので、「打率」は下がっているという。

「名前からわかるので、来場者はベトナム人がほとんどです。日本人は1割程度で、外国人が数人でしょうか。製品についての質問はまだ数件です」

 オンラインでの出展は初めてだったので、事前に試行錯誤を繰り返した。それはブースのイラストにも表れており、同社はほかの一般的なブースに比べてスマートな印象を受ける。また、ロゴをクリックすると企業HP、製品のイラストのクリックでは製品サイトが開くなども、実は多くの企業ができていないことだった。

「一見してわかりやすいデザインにしましたし、自社サイトにリンクさせたのは来場者を取りこぼさないようにしたかったからです。初めてなのでかなり苦労はしましたけど(笑)」

 リアルの展示会では来場者の態度や目線で興味の深さがわかるが、オンラインでは変化が感じられない。しかし、手段が限られていればそれを使うしかなく、在宅で対応できるなどメリットもあるという。

タイから出展した日系企業

 自動車などに使われる各種端子などプレス部品を製造している、MORITA SEISAKUSHO (THAILAND)。オンライン展示会では昨年の「FBCバンコクWEB商談会」に出展し、VMEは初めてだ。

 目的はベトナムでのニーズ調査と新規顧客の開拓。特に同社が得意とする多彩な端子、特にベトナム国内で対応ができていないと言われるメッキを使用した端子のアピールを考えた。

「展示会中、チャットでの問合せは1日に数回あり、商談は数回程度となりました。商談の相手がベトナム人だったため、弊社営業のタイ人がMicrosoft Teamsを通して、英語で話しました」

 まずはチャットで自社紹介をし、日時を決めてサイト上で商談の申込みをし、先方が承認すると商談用リンクが届く。指定した日時にそのリンクをクリックしてTeamsを開くという流れだった。

「商談では主に弊社がどのような部品を生産できるかを説明して、商談後にお見積りのご依頼をいただきました。お問合せは日系企業様からがほとんどでした」

 オンライン展示会のメリットとして、現地に行く必要や移動時間がなく、出展費用が安価であることを挙げる。特に国内外の移動が非常に難しい現在、海外の企業にはチャンスと言える。一方、リアルの展示会には、将来的な商談の期待も含まれていたという。

「来場者の方が、弊社の製品を目的にされていない状態で会場を回られていることも多くありました。そのような方の目に留まって、コミュニケーションが生まれ、1年後などにお話をいただくこともあったのです。オンライン展示会ではそこまで発展しにくいかと思います」

 それでも今回、これまで付き合いのなかった企業と接する機会が持てたのは非常に良い経験になったと語る。次回の出展を検討しているそうだ。

 今回の展示会を通して感じたのは、企業も来場者もリアルの展示会を意識しているためか、オンラインでのやりとりに慣れていないということ。とはいえ、製品の動画と資料は企業のHPにもありそうなので、展示会ならではの仕掛けがほしいと思った。

 例えば、展示会仕様に作り込んだ特別な動画や、企業を集めたフォーラムを作って各社が30秒程度アピールしたり、外出規制解除後なら工場からの生中継もできる。展示会ならではのワクワク感をオンラインでも期待したい。