「提案06」を軸にデジタル転換を加速
ホーチミン市は2026年、国家デジタル転換計画「提案06」を基盤として、「デジタル市民」モデルの構築を本格化させる。共通住民データベースを活用し、行政サービスの処理時間を5分以内に短縮することを目指す。
「提案06」は、2030年を見据えた国家デジタル転換政策であり、住民データ、電子認証、電子本人確認を行政改革とスマートシティ構築の中核に据えるものだ。ホーチミン市では2025年を通じ、同計画を「行政改革の背骨」と位置付けて推進してきた。
「ワンストップデジタル窓口」を実現
2025年、ホーチミン市は38の重点任務を完了し、全国で先駆けて市独自の公共サービスサイトを閉鎖。2025年6月19日から国家公共サービス・ポータルへ完全統合し、「単一デジタル窓口」を実現した。
また、専門分野データと国家住民データベースとの連携も大規模に進められた。これまでに4500万件超のデータが統合され、
- 戸籍データ:約1530万件
- 社会保険データ:約1160万件
- 土地関連データ:約570万件
がデジタル化された。
医療や治安分野でも実用化進む
デジタル化は市民生活にも浸透し始めている。
医療分野では、従来必要だった紙書類の代わりに、VNeIDアプリ上のQRコード提示で受診可能となった。電子健康手帳も統合され、医師が診療履歴を迅速に確認できる仕組みが整備されている。
現在、市内すべての医療機関でVNeID上の電子健康手帳が導入され、340万件超が有効化されたほか、約10万件の紹介状データも統合済みである。
治安分野では、ホーチミン市公安の「SOS治安アプリ」が注目を集めている。市民は犯罪やトラブル発生時、現場写真や動画を即座に共有でき、警察との直接・安全な連絡手段として機能している。
通信環境や制度面には課題も
一方、市当局は課題も率直に認めている。
通信回線の速度低下により、運転免許データやオンライン罰金支払い情報の更新に支障が出るケースがあるほか、税務アプリ「eTax Mobile」の利便性が市民に十分浸透していない点も問題視されている。
さらに、行政区再編による人員・運営面の混乱も生じている。
制度面では、オンライン提出時の電子書類の扱いが法令上不明確なケースが残っており、職員が電子・紙の両方で処理せざるを得ない状況も続いている。
2026年は「デジタル市民モデル」構築へ
こうした課題を踏まえ、ホーチミン市公安は2026年を「デジタル市民モデル」構築の本格始動年と位置付ける。
ホーチミン市は、
- 行政手続き処理時間を5分以内へ短縮
- 市民・企業の情報入力を一度限りに統一
- 行政結果を全面電子化
- デジタル化済み書類の再提出廃止
を重点目標として掲げた。
また、市公安が主導する「デジタル市民アプリ」も拡充される予定で、医療、教育、交通、建設など12分野の機能を統合する。
2026年には市内100か所の公共施設に「デジタル市民ステーション」を設置し、ベンタイン―スオイティエン・メトロでは生体認証システムの導入も計画されている。
「透明性向上と行政効率化」目指す
ホーチミン市公安局のター・バン・デップ少将は、デジタル技術導入によって行政処理時間短縮、業務負担軽減、市民コスト削減が可能になると強調した。
すべての行政手続きがデジタル環境上で記録・管理されることで、透明性向上や不正防止にもつながるとの考えを示している。
さらに、国家データベースの活用によって、公安当局の情報検索や犯罪対策能力も向上しており、治安維持と行政サービスの両立を進めていく方針だ。
ター・バン・デップ少将は、「デジタル時代において、ホーチミン市公安はオンライン公共サービスの全面展開を進め、市民に対してより公開性・透明性・現代性の高い行政サービスを提供していく」と述べた。




















