2月25日と26日の2日間、ホーチミン市の9月23日公園Bエリアで、第8回目となるJapan Vietnam Festival(JVF)が開催された。ベトナム最大級の日越交流イベントに約48万5000万人が来場、過去最⼤の250ブース、これは祭りだ!
常連組から初出展まで
JVFの会場である9月23日公園の北側にあるのが「カンパニーPRエリア」。食品や日用品を中心に多数の日系企業が出展した。
すぐに目に留まるのがエースコックベトナムだ。今回は熱に入れ方が違う。カップラーメンの無料提供にはいつものように長蛇の列、向かいには同社の歴史を描いた小ステージがあり、巨大などんぶりラーメンのオブジェには一緒に撮影する人も。加えて後述する「ラーメン広場」も出展している。
先に進むとハウスフーズのカレーキッチンカー、すき家の牛丼とこちらも常連組。今回はPizza 4Pʻsが小さな窯を設置したキッチンカーを出展、Sim Ba Tradingは日本酒「久保田」をアピールし、SOJAは洗顔クリームだ。
面白かったのがMeiji Foodのブース「The Chocolate House」。ベトナム人の女の子3人がDJ風にトークをしながらサンプルのチョコを提供するスタイルで、話すテーマを書いた予定表も設置。若者向けだと思うが楽しく、飽きさせない試みに、若い来場者が集まっていた。
ベトナム人を呼び込むには?
キッコーマンは輪投げでのギフト、ロートベトナムは無料の眼科検診で、こうしたブースには人が並ぶ。アンジメックスキトクは米とふりかけの、QBBはチーズの試食、糀フードベトナムの甘酒と団子には手が出そうになった。アイスのガリガリ君プレゼントには長い列で、制服姿の女性警備員も受け取っていた。
この後の「金魚すくい」等でも感じたことだが、ベトナム人は「無料」かつ「充実」に引き付けられるのだと思う。無料の前提としてゲームが必要ならチャレンジする(やってみたい人もいるはず)。そして、その対価は大きい・楽しいほうがより良い。だから、ゲームが不要で、商品の一部などではない丸ごと1本のガリガリ君が人気となる(暑い気候も影響しているだろうが)。
その隣は「JICA / JETRO / JCCHエリア」で、Hachi HachiやAKURUHI、ファミリマートなどが日本の食品や日用品を販売。JCCHは野球やラクロスなど球技スポーツの体験で、野球のピッチングマシンを使ったバッティングは、意外と(?)ヒットが続いていた。
マンガとアニメに夢中です!
公園の西端から南に下ると紅白の天幕に覆われたメインステージがあり、その手前が「マンガ・アニメエリア」だ。入口の看板にアニメの主人公たちが描かれたキャラクターストリートは高い屋根のある展示会場で、中ではドラえもん、名探偵コナン、ワンピースなどのぬいぐるみ、Tシャツ、食器、菓子などが販売され、通り抜けた先には巨大なドラえもんのオブジェが登場!
このストリートに向かい合う形で並ぶブースの中には、ベトナム⼤⼿出版社Kim Dongのスペースが広く取られている。若者の列が折り返して伸びるほどの人気で、日本のマンガのベトナム語版が約800冊あり、読み放題だったようだ(激混みで入れなかった)。栞、カード、バッジなど小物のプレゼントにも列ができていた。
今年は来場者が多くて人の少ないエリアはほぼなかったが、特に公園中央のフードエリアとこのマンガ・アニメエリアは大盛況だった。ベトナムの若者は本当に日本のマンガやアニメが大好きとわかったし、ステージではコスプレ世界⼤会のベトナム予選もあってコスプレ姿の若者が多かった。
今後は新鋭のマンガ家やアニメ作品の紹介、日本人コスプレイヤーとの共演(?)など、工夫次第でもっと若者が集まるはずだ。
旅行、友好、ロータスも盛況
既に場所は公園の南側であり、西側に「ジャパントラベルエリア」、東側は「ジャパン・ベトナム・フレンドシップエリア」が伸びる。前者はJNTOをはじめベトナムのツアー会社、新潟県、宮崎県、福島県、大分県などの自治体といった観光関連のブースで、通年よりも人通りが多かった。
ここでの人気のアトラクションはJCBによる金魚すくいやヨーヨーすくい。遊び方がシンプルで子どもでも参加できるからだろう。実際、大人も小さな子も失敗しながら楽しんでいた。
フレンドシップエリアではカフェや軽食、わたがし、ステージにも上がった徳島県の阿波踊りチームと一緒の記念撮影も人気で、珍しいコスチュームに皆が笑顔だった。
ホーチミン市・ベトナム・日本友好協会のブースはいくつもに分かれ、アオザイや小物の展示、竹細工の工房、日本和装による着物の着付けなど様々な試みがあり、住友商事はMOREプロダクション製作の絵本の販売や読み聞かせをしていた。
東端を南北に貫くのが「ロータスグループエリア」で、ロータスグループ関連の日系企業が20社ほど出展した。丸亀製麺、吉野家、CoCo壱番屋といったレストランチェーン、フランクフルトや餃子の屋台、業務用チーズの紹介まで飲食系が中心で、今回も中央のステージでイベントを開催。安定の集客力を誇るストリートだ。
日本の屋台に酔いしれろ!
公園中央に位置するのが「ジャパンフードエリア」で、いわば縁日の屋台群だ。レタントン街やファンビッチャンでお馴染みの飲食店が続々参戦! 食事時でない15~16時でも人が全く絶えず、押し合うような状態で、ランチとディナータイムの混雑ぶりが予想できると思う。
最も広くスペースを取ったのはエースコックベトナム。「ラーメン広場」として入口には真っ赤な鳥居とベトナム人が書いた絵馬を飾り、広場中央に飲食用のイスとテーブルを並べ、周囲に新商品「絶品」の無料試食、ヌードルショップ「Tram Mi」の料理の提供、子ども向けの射的ゲームもあり、ベトナムに根差した企業と改めて実感。
一般の個人店も負けていない。Nikutaroが煮込み、満月が唐揚げと大学芋、FUJIROがカツサンド、花美が薩摩芋天ぷらアイスパフェ、GYUMARUはハンバーガー、桜々がデミグラスオムライス、京いちがお好み焼きなどで、ほかにも寿司、串焼き、たい焼き、たこ焼きなどあって目移りする。
しかも、大抵の店では実店舗よりも価格を下げて、食べやすいメニューを開発していた。ジャパンフードパラダイスだ!
ステージそして盆踊り!
メインステージでは2日間に渡って、⽇本からはHKT48、史上最年少童謡歌⼿のののちゃん、世界優勝もしたビートボクサーのSO-SO、ベトナムからはベテラン⼈気シンガーのDong Nhiとその家族、若い世代からはシンガーソングライターのTHỊNH SUYやポップグループのNGỌTなどが出演した。
お馴染みの⽇本のアニメキャラのショー、徳島県の阿波踊り、三味線や和太⿎、ベトナム伝統芸能なども健在で、日越ジャズステージなどが加わり多彩な内容となった。
24日の18時からは好例の⽇越友好平和ぼんおどり⼤会。メインステージ前に特設のやぐらステージを組んで、やぐらの周囲を関係者が踊りながら回り、その外の会場を来場者が一緒に回るというもの。
盆踊りを知らないベトナム人のために練習からスタートして本番へと移る。全部で30分程度の時間だがすぐに笑顔になれるし無性に楽しい。踊らにゃソンソン!
高評価を得て次の50年へ
人の多さもあって、昼時から来ると盆踊りが終わる頃には疲れが出る。しかし、この時間帯からやってくるベトナム人も多く、「夜の部」は既に始まっている。先ほどまで人通りは多かったものの購入者は少なかった屋台街に人々は群がり、料理を受け取っては近くの芝生へと散っていく。20時で閉場のはずだがまだまだ祭りは終わらない。
JVFは第6回(2019年1月)の来場者が過去最高の32万9000人となり、新型コロナで2度延期となった後の第7回(2021年4月)はオンラインを含めたハイブリッド開催で22万8000人。そして日越外交関係樹立50周年記念の第8回(2023年2月)は48万5000万人となった。
JVF実行委員会のベトナム事務局で会場の設営全般を担当したAAB Vietnamは「ステージの内容、ブースではキャラクター、食、日本旅行、文化交流、日本企業とエリアを分け、様々な層の方が楽しめる会場を作った」とのこと。来場者のアンケートやSNSのコメントでも高評価を得たそうだ。
来年は新たな50年に向けた日越関係が始まる。新時代のJapan Vietnam Festivalに期待大だ。