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ベトナムでE10ガソリン全面導入へ 専門家がSNS上の「3つの誤情報」を否定

ベトナムでエタノール混合ガソリンE10を給油する市民
(C)THANH NIEN

ベトナムで6月1日からE10ガソリンへの切り替えが進む中、SNS上ではE10ガソリンに関するさまざまな情報が拡散している。これに対し、長年バイオ燃料を研究してきたベトナムバイオ燃料協会会長のドー・バン・トゥアン氏は、現在流布している3つの主な情報について「科学的根拠のない誤情報である」と指摘した。

「長期間放置で水分を吸収し分離する」は誤り

トゥアン氏によると、最も広く拡散している誤情報は「E10ガソリンを長期間車両の燃料タンク内に保管すると、空気中の水分を吸収し、ガソリンと水が分離する」というものだ。

同氏は、ガソリンには常に揮発する性質があり、密閉されたタンク内では内部圧力が外部より高くなると説明。そのため、外部の湿気をタンク内へ吸い込む現象は基本的に発生しないとした。

また、仮にE10ガソリンを長期間使用しなくても、内部から外部へ向かう揮発圧力が働くため、外部から湿気が流入して分離現象を引き起こすことはないという。

一方で、流通・保管段階においてガソリンへ水分が混入する可能性は理論上存在するものの、商工省や関係当局による管理は厳格であり、石油会社も品質維持に努めていることから、その可能性は極めて低いとの見解を示した。

「燃料配管やインジェクターを詰まらせる」との指摘にも反論

2つ目の誤情報は、「E10ガソリンが燃料配管や燃料噴射装置(インジェクター)の詰まりを引き起こす」というものだ。

トゥアン氏は、もしそのような現象が発生した場合でも、原因はE10ガソリンそのものではないと説明する。

従来の鉱物系ガソリンを長期間使用した車両では、配管やインジェクター内部に汚れや堆積物が蓄積している場合がある。E10ガソリンには洗浄作用を持つ溶剤的な特性があり、これらの堆積物を剥がして流すため、初回使用時に一時的な詰まりが発生する可能性があるという。

しかし、その場合は燃料系統を清掃すれば解消され、以後同じ問題が発生することは基本的にないとしている。

同氏は、「E10は故障の原因ではなく、車両内部に存在していた問題を表面化させるだけだ」と述べた。

添加剤やアルコール分離剤の使用は推奨されず

3つ目の誤情報は、E10ガソリンに各種添加剤を混ぜて使用することを推奨するものだ。

トゥアン氏は、「これはおそらく添加剤販売業者による宣伝ではないか」と指摘。自動車業界や二輪車業界の団体、大手メーカーはいずれもガソリンへの独自添加剤投入を推奨していないと説明した。

管理されていない添加剤はエンジン故障の原因となる可能性があり、問題が発生した際に添加剤によるものなのか、燃料によるものなのかを利用者自身が判断することは難しいという。

「アルコール除去動画」にも専門家が警鐘

ハノイ工科大学の動力源・自律走行システム研究センター長であり、E10研究の専門家でもあるファム・フー・トゥエン准教授は、E10ガソリンからエタノールを分離する目的で添加剤や吸水剤を使用する行為には科学的根拠がないと指摘した。

また、こうした製品がエンジンへ与える影響について十分な検証が行われている保証はなく、利用者が独自にエタノールを分離した燃料を使用した場合、エンジン性能や安全性に悪影響を及ぼす可能性があると警告した。

そのため、SNSや動画サイトで拡散されている「E10からアルコール(エタノール)を抜く方法」などの情報を安易に信じないよう呼び掛けている。

商工省「E10による正式な苦情は確認されず」

商工省の通達第50号に基づき、ベトナムでは6月1日から従来の鉱物系ガソリンに代わりE10ガソリンの販売が進められている。

同省によると、2025年8月から一部地域で試験販売を実施し、2026年5月中旬から全国展開を開始したが、これまでにE10ガソリンの品質やエンジン性能、耐久性への悪影響に関する正式な苦情は寄せられていないという。

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