前回、「給与を高めれば、人は辞めない」という誤解を掘り下げ、「非金銭報酬」として自社が訴求する魅力を明確化し、動機づける重要性をお伝えしました。
このような組織の現状把握のため、多くの企業では「従業員満足度」を指標に置いています。実際、ベトナムの従業員満足度は東南アジアでも上位ですが、「なかなか変革が進まない」と悩む経営者も多くいます。
なぜなら、「満足度が高い」は「不満が少ない」でしかなく、従業員から自発的な行動が生まれるとは限らないからです。本来、変革に必要なのは、「従業員満足度」ではなく「エンゲージメント」です。
エンゲージメントとは、会社から与えられた環境への満足度ではなく、会社への貢献意欲を表します。エンゲージメントを高める鍵は、従業員の期待を把握し、それに応えることです。ベトナムで最も期待が高いのは、「従業員同士の良好な関係性」を築くことであるため、この期待に応えられないと、会社への貢献が引き出せません。
一方、従業員から会社への期待と、経営から従業員への期待のギャップにも注意が必要です。例えば、多くの日系企業が重視する理念や戦略は、従業員の期待が最も低い項目の一つです。そのため、重要性の伝達や期待のすり合わせが必要になります。
なお、ベトナムの従業員は、自分自身のキャリアを重視する傾向が見られます。だからこそ、「ジョブ型」の人事制度設計が必要だという話になりがちですが、実は、それだけではうまくいきません。
次回は、その誤解を掘り下げます。
著者紹介
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谷原 拓也 Takuya Tanihara
LINK AND MOTIVATION VIETNAM代表取締役社長。大手からベンチャー企業まで様々な業界で理念浸透、人事制度導入、マネジメント育成、新卒採用と幅広く組織人事コンサルティングを実施。2022年よりベトナム事業を展開、2025年1月に現法立上げ。