ホーチミン市人民委員会は、ホーチミン市中心部に残る港湾施設の移転に向け、具体的な計画と工程の策定に着手した。交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減に加え、サイゴン川沿岸の都市再開発を進める狙いで、長年構想されてきた港湾再編計画が新たな段階へ進むことになる。
港湾移転計画の具体化へ
ホーチミン市人民委員会は、ファム・ザー・トゥック副首相と市幹部との会合を受け、2026年後半の重点施策を各部局へ指示した。
この中で建設局に対し、建設省と連携しながら都心部の港湾を市街地外へ移転するための計画と工程を検討するよう求めた。
ホーチミン市は港湾移転によって交通渋滞の緩和を図るとともに、持続可能な都市づくりを推進する方針である。
2008年から続く都心港湾再編計画
ホーチミン市の港湾移転は新しい構想ではない。
2008年に首相決定として示された港湾再編計画では、交通混雑や環境問題への対応、さらにサイゴン川沿岸の都市空間を有効活用することを目的に、都心部の港湾機能を郊外へ段階的に移転する方針が打ち出されていた。
対象には、ニャーロン・カインホイ港、タントゥアン港、バーソン港など、市内中心部に位置する主要港湾が含まれている。
サイゴン川沿岸を公園・商業エリアへ再開発
港湾跡地は、公園や公共空間、商業・サービス施設へ転換するほか、交通インフラ整備にも活用される予定である。
代表的な事例として、ニャーロン・カインホイ地区ではホーチミン博物館を中心とした再開発が計画されており、トゥーティエム4橋の建設とも一体的に整備が進められる見通しだ。
一方、物流機能については、水深が深く大型船の利用に適したカットライ・フーフー港、ヒエップフック港(ニャーベー地区)、カイメップ・チーバイ港湾群へ段階的に移管する計画となっている。
タントゥアン港の移転が今後の焦点
これまでにもバーソン地区では港湾機能の移転が進み、一部の都心港湾では大型貨物船の受け入れを終了している。
現在、最大の焦点となっているのがタントゥアン港である。
同港の移転完了は、トゥーティエム4橋建設用地の引き渡しや、サイゴン川沿岸都市開発計画を完成させるための重要な前提条件と位置付けられている。
港湾機能や貨物取扱量は、今後、タンカン・ヒエップフック港へ順次移管される予定である。
ホーチミン市の都市構造転換を象徴するプロジェクト
都心港湾の移転は、単なる物流拠点の再配置ではない。
交通渋滞の改善、サイゴン川沿岸の再開発、環境負荷の軽減、そして物流の効率化を同時に進める都市再編プロジェクトとして位置付けられている。
ホーチミン市では近年、地下鉄や環状道路、新空港アクセス道路など大規模インフラ整備が相次いで進められており、港湾移転も都市構造そのものを変える重要プロジェクトの一つとして注目される。



















