ベトナム政府は、行政違反に対する処分を確実に執行するため、強制執行の手段を拡充する法改正案を提示した。
出国の一時停止に加え、電気・水道・インターネットなどのサービス停止、車両の登録・検査の停止、事業所の封鎖など、従来より踏み込んだ措置が盛り込まれている。
一方、国会の審査機関からは、こうした措置の一部について、違反行為を停止させる手段としては理解できるものの、行政処分そのものを強制執行する手段として適切なのかとの疑問も示されている。
電気・水道・ネット停止などを追加
9月23日、国会常務委員会の第6回会議で、行政違反処理法改正案について審議が行われた。
政府案では、行政処分の決定を履行させるための強制執行措置を新たに追加する。
具体的には、以下のような措置が提案されている。
- 出国の一時停止
- 電気・水道の供給停止
- インターネット、通信サービス、デジタルインフラサービスの停止要請
- 車両の検査・登録・運転関連許可の一時停止
- 事業所、施設、生産・営業・サービス拠点などの封印
政府は、これらの措置を無条件に適用するのではなく、適用条件や強制執行の対象外となるケースも法案に規定する方針である。
特に、人権や市民の権利に直接関係する措置については、法律上の根拠を明確にすることで、権利への影響にも配慮するとしている。
「処分の執行」として適切なのか
一方、法務・司法委員会常務委員会による審査では、一部の措置について見直しを求める意見が出された。
例えば、電気、水道、インターネット、通信サービスなどの停止は、違反行為を停止・終了させることを目的とした措置ではあるものの、行政処分の決定を履行させるための強制執行手段としては必ずしも適合しないとの指摘である。
また、車両の検査や登録、運転関連許可の停止についても、違反を行った本人ではなく、車両や資産を対象とする措置になっている。
そのため、違反行為を行った人物を特定し、その人物に対する行政処分を確実に履行させるという観点からは、十分に根本的かつ包括的な手段とは言えないとしている。
審査側は、実際に適用可能な制度となるよう、引き続き内容を精査・修正する必要があるとの考えを示した。
個人の罰金上限を15億VNDに引き上げ
改正案では、行政違反に対する罰金の上限も引き上げる。
個人については現在の10億VNDから15億VNDへ、法人・組織については20億VNDから30億VNDへの引き上げが提案されている。
また、各行政分野における罰金額の上限について、政府が詳細を定める仕組みとする案も盛り込まれている。
ただし、審査側は罰金額を単純に引き上げることについて慎重な検討を求めている。
罰金が高すぎれば、一般の個人や企業の実際の支払い能力とかけ離れ、制度そのものが十分な効果を発揮しない可能性があるためである。
罰金を上げるだけではなく「是正」も重視
そのため審査側は、罰金上限の引き上げと同時に、より根本的な対策を検討する必要があるとしている。
具体的には、違反によって生じた結果を是正する措置や、許可の使用権剥奪、事業活動の停止などの追加的な処分を組み合わせることが考えられている。
また、海外の制度も参考にしながら、違反に対する抑止力や法令順守意識を高めつつ、罰金額だけを過度に引き上げない制度設計が必要だとしている。
さらに、各行政分野における罰金の上限を法律そのものに具体的に規定し、その範囲内で政府が具体的な罰金額を定める方式も検討すべきだとしている。
これにより、制度運用に一定の柔軟性を持たせながら、行政機関が恣意的に罰金額を引き上げることを防ぐ「上限」を明確にできるとしている。
今回の改正案は、行政違反に対する罰則を単純に重くするだけでなく、処分を実際に履行させるための手段をどこまで認めるのかという問題にも踏み込んでいる。特に電気・水道・インターネットなど生活や事業活動に直結するサービスの停止については、今後の審議でその必要性と適用範囲が焦点となりそうである。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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