ベトナム公安省は、国内に拠点を持たない外国企業や外国人であっても、ベトナム国内で行政違反に該当する行為を行った場合には処分対象とする法改正案を公表した。越境電子商取引(EC)や海外のデジタルプラットフォームが急速に普及する中、現行制度では対応が難しいケースへの対策を強化する狙いである。
現行法では国外事業者への対応に課題
現行の行政違反処理法では、ベトナム国内で行政違反を行った外国人や外国法人は処分対象となる。
しかし公安省は、ベトナム国内に法人登記や営業拠点を持たない海外事業者が、インターネットを通じて国内利用者へサービスを提供し、行政違反を行った場合の取り扱いが明確ではないと指摘している。
特に、
- 越境EC
- デジタルサービス
- SNS・動画配信サービス
- オンラインメディア
などでは、国内に拠点を置かず事業を展開するケースが増えており、法執行上の課題となっている。
「ベトナムに存在しない企業」も処分対象へ
今回の改正案では、
「ベトナム国内に所在するか否かを問わず、ベトナム領域内で行政違反を行った外国人・外国法人」
を行政処分の対象として明確化することが提案されている。
これにより、物理的な拠点を持たない海外企業についても、法的な処分対象に含めることを目指す。
財務省は執行の実効性に懸念
一方で、財務省は法改正の趣旨には理解を示しながらも、実際の執行には課題が残ると指摘している。
例えば、
- ベトナム国内に資産がない
- 国内に事務所が存在しない
- 行政処分通知を送達できない
といったケースでは、罰金徴収や行政命令の執行が極めて困難になる可能性がある。
これに対し公安省は、法改正だけでなく、各国との二国間・多国間協定を締結し、国際的な協力体制を構築する必要があるとの考えを示している。
越境ECや海外プラットフォームへの新たな対応も
文化・スポーツ・観光省は、映画配信など海外プラットフォームについても規制強化を提案した。
実際には、ベトナム国内に拠点を持たない海外動画配信サービスが、
- 映画の年齢区分表示を行わない
- コンテンツ警告を表示しない
- 年齢確認機能を設けない
といったケースも確認されているという。
公安省は、今回の改正案で「ベトナム国内に存在するか否か」という規定を盛り込むことで、こうしたインターネット上の違反行為も包括的に対象にできるとしている。
EC分野ではアクセス遮断なども検討
商工省も、電子商取引は国境を越えて行われることが一般的となっており、従来型の行政処分だけでは十分な効果が期待できないとの見解を示した。
そのため、
- ECサイトへのアクセス遮断
- 取引機能の一時停止
- 違反アカウントの停止・削除
- 違法コンテンツの削除命令
など、新たな行政措置の導入も提案している。
公安省はこれらの意見を踏まえ、専門法に基づく新たな行政措置を追加する方向で法案を修正したとしている。



















