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KIZUNA3が完成!新たに2022年に10万㎡へ

ロンアン省のタンキム拡張工業団地内に今年4月、レンタル工場のKIZUNA3が完成した。2012年にKIZUNA1が完成してからわずか6年で3工場目。躍進を続けるKIZUNA JV社副社長のTran Duy Vu氏に今後の計画を含めて話を聞いた。

近年急増するレンタル工場

 ベトナムに進出する製造業において、近年注目されているのがレンタル工場だ。特に初期投資に余裕がない、早く生産を始めたい、広いスペースが不要といった中小企業のニーズに合致したことから、レンタル工場を始める工業団地が増加した。それに応えるように多くの企業がこれらを利用しており、レンタル工場は一過性のブームではなく定着化の様相を見せている。

 また、レンタルの区画がより小さな面積になりつつことが最近の傾向で、大手企業の進出が一巡した日本のような外国企業においては、今後も多様な規模、業種の中小企業進出が期待されている。

 ベトナム南部でそのパイオニアとなったのが、2012年に設立されたKIZUNAレンタルサービス工場だ。名前の通りレンタル工場に特化しており、まさに中小企業を主なターゲットとしている。その第1工場であるKIZUNA1は、ロンアン省タンキム工業団地内に2012年に竣工。工場面積約2万9000㎡内に6棟の32区画で完成した。3年後の2015年には第2工場となるKIZUNA2が、同じタンキム工業団地内に約4万3400㎡で5棟、72区画で完成。既に双方とも入居率は90%以上であり、居抜き物件も含めて数区画に空きがあるので入居が可能だ。

「2017年に10万㎡」を達成

 そしてこの4月、KIZUNA2から約1.3km離れたタンキム拡張工業団地内に、第3工場としてKIZUNA3が完成した。工場面積は約2万5000㎡で4棟、39区画。240㎡が5区画あり、348㎡は14区画、残りは648㎡と、区画の面積はKIZUNA2よりも全体的に小サイズとなっている。

「コンセプトは従来と変わらず中小企業をターゲットとしたレンタル工場です。ただ、より小さな区画を用意して、初めてのベトナム進出企業に小規模で試してもらいたいと思いました」とVu氏は語る。

 2区画以上の組み合わせも可能だが、現状では実質的に5000㎡程度が最大だろうとのことだ。

・G棟:1860㎡(2区画で1セット)、648㎡×6区画
・J棟:918㎡×1区画、648㎡×10区画
・K棟:240㎡×5区画、348㎡×14区画
・L棟:5592㎡×1区画(メゾネットを含む)
※G棟とJ棟には5トンの天井クレーンが設置可能な区画あり

 KIZUNA3には既に日系企業3社、その他外資系企業2社が入居しており、内装などの工事を始めている。この5社を含めて、KIZUNA1~3の入居企業は計78社。日系企業が一番多くて約43%、次が韓国系で24%、他にはローカル企業のほか、ヨーロッパ系、アメリカ系、オーストラリア系など国際的な顔ぶれが揃う。KIZUNA3の賃料は1㎡当たり4.1~6.3USD程度とのことだ。

 KIZUNAレンタルサービス工場の開発・運営管理を行う地場企業のKIZUNA JV社では、設立当初より「2017年に10万㎡の工業団地を設立」を目指していた。KIZUNA3が完成したことで、4ヶ月ほど遅れながらも目標をほぼ達成したことになる。

「目標を達成できたことはやはりうれしく思います。ただ、これで終わりではありませんよ(笑)」

企業を呼ぶ多彩なサービス

 レンタル工場が一般化する中でも、KIZUNAが人気を集める理由は何か。ひとつにはホーチミン市から車で約25分というロケーションの良さであり、もう一つは中小企業向けのサポートに注力していることだろう。最近は日本国内の景気上昇で日系企業のベトナム進出は鈍化しているそうだが、中小企業に資金が限られているのは今も昔も同じで、海外進出のためのノウハウも乏しい。

 そこで同社では本来の事業である生産に集中してほしいと考え、企業登録証明書(ERC)や投資登録証明書(IRC)の発行サポートの他、3ヶ月間の経理代行を無料で行っている。また、各種書類の作成や申請、スタッフの採用支援など豊富なメニューを用意している。

 共有のワークスペースやミーティングルームも完備しており、言葉の問題にも対応。日本語を話せるスタッフが6名、韓国語は4名がおり、英語は基本的に皆ができるそうだ。

「国が違えば法律や行政手続きは異なりますし、現地法人を設立したばかりでは会計や採用のノウハウもまだありません。入居企業からの声に従って、サポートの種類を増やしていきました」

変わりゆく入居企業の業種

「KIZUNA1が完成したのはチャイナプラスワンやTPPが盛り上がっていた時期で、入居企業は縫製関連が最も多くて50%ほど、次は(都市部である)ホーチミン市7区に近いこともあって、セントラルキッチンなど食品関連企業が多かったですね」

 数年を経たKIZUNA2で多くなったのは電子部品関連、その次が食品加工関連で、縫製関係は減少してきたという。「以前は家電は南部、携帯電話(スマートフォン)は北部のように言われていましたが、南部にも大手携帯電話メーカーの関連会社が移転を始めて、そうした企業がお客さんになっていきました」

 そしてこれから始まるKIZUNA3では、食品加工系が増えるのではとVu氏は予測する。理由は特にホーチミン市において、賃金増や生活水準の向上から高品質で安全な食事が望まれていること、レストランのチェーン店が増加していること、クリーンで環境に配慮したKIZUNAがこうした企業の要望条件に合うことなどだ。

 実際に豆腐、キムチ、地ビール、コーヒーといった食品加工業者が入居しており、今後の対応も考慮している。まだ完成していないが、KIZUNA3には特別なレンタルスペースを作る予定で(取材時)、62m×62mの敷地に、床は地面から1mほど高くする。これにより床下に配管を通すことができ、トラックの背部から荷物を出し入れしやすくなるので、上記の食品加工業者向けとも呼べる施設となる。

 他にはベトナムの輸出の柱ともなっている電子部品系企業やEPE企業も、今後の入居企業として期待できるという。

独自の人気サービスを踏襲

 KIZUNA1と2にあった「ひさし」も踏襲される。ひさしの部分も区画面積に含まれるため、実は当初は反発する声もあったそうだ。しかし、「使えば使うほど便利」と入居企業の評判は上昇し、今回も設置されることになった。ひさしは直射日光を防ぐだけでなく、特に雨季には雨や風を防げるので出荷作業が楽になる。また、設備を一時的に置けたり、バイクの駐車場にもなるなどのメリットも多い。

 外壁、セキュリティゲート、セキュリティカメラという三層のセキュリティシステムも健在。セキュリティカメラはインターネット接続されているため、日本からでも工場の様子を確認できる。入居企業が自社でセキュリティ対策をしなくてよいため、同社では月に700USD程度の節約になると試算する。

「中小企業の方々の気持ちを考えた対応には自信があります」とVu氏は胸を張る。

新しく掲げる10万㎡の目標

 念願の「2017年に10万㎡」を達成した今、次の目標を「2022年までにもう10万㎡のレンタル工場竣工」と掲げる。計画は既に進められており、来年の2019年にはKIZUNA4がKIZUNA3と同程度の規模で完成予定で、その後もKIZUNA5、KIZUNA6と増やしていくとのことだ。実際、2017年のロンアン省への投資額は、FDIとして同社が2番多かったという実績を持つ。

 また、KIZUNAの顧客を紹介する企業は、日本企業であれば進出支援企業の他、銀行、NGO、不動産会社などであり、最近ではWebサイトからの連絡も増えてきたという。そんなKIZUNA JVはKIZUNA以外にもホーチミン市のレミンソン工業団地内のエコファクトリーの運営・管理を行ってきたが、こうした工業団地以外の事業もスタートさせる予定だ。

「2022年までに自社工場用などの工業用の土地を提供したいと考えています。合計20万㎡あればレンタル工場はもう十分でしょう。並行して自社工場用のプロジェクトを始めたいと思っています」