人材紹介会社のHRnaviが日本人求職者向け転職サイト「べとわーく」を立ち上げた。採用難に悩む日系企業に良質な現地採用人材を提供し、今では企業と候補者からの問合せが大幅増加して注目を集めている。その経緯を嶋村拓史氏に聞いた。
日本人登録者が6000人突破
特に製造業からの問合せが増加
ベトナムの日系製造業で日本人の現地採用ニーズが高まっている。大きな理由は採用難であり、「日本本社で海外勤務を希望する自社社員が少ない」うえに、「日本国内で人材会社を使っても見つからない」や「ベトナム現法は人材採用に不慣れ」もあって、駐在員候補を探すのが困難となっている。
「特に中小企業の悩みが深刻です。日本本社の社長がベトナムへ行き来するなど、出張ベースで対応する会社も多いですね」(嶋村)
こうしたニーズに応えて2022年7月に開設したのが「べとわーく(VietWork)」である。サイトの日本人登録者は6000人を突破しており、企業からの問合せや求人依頼も増加中。また、登録者にはベトナム在住者も多く、業種も多彩で、特に今注目されているのは製造業である。
製造現場で10年、15年と経験を積んだベテランも多く、以前にベトナム駐在をして帰任したが、再度ベトナムで働きたいと考える登録者も増えている。新天地としてベトナムを選ぶ方、日本で技能実習生たちと一緒に働いてベトナムに関心を持った方など動機は様々だが、ベトナムを強く希望している。
管理職やマネジャーも紹介
採用のミスマッチを防ぐ
日系の人材紹介会社は担当者の転職が多く、数年で入れ替わるケースが少なくないが、創業から15年以上の実績を持つHRnaviには現地に根付いたコンサルタントが多い。嶋村氏もその1人である。
また、連携するお取引先企業は約1000社で、銀行やコンサルティング会社などともネットワークがあるため、工場長や生産管理の責任者といった管理職候補にも豊富な人脈を持つ。ベトナム人も17万人以上登録しており、こちらでもマネジャークラスを紹介できる。
「今は売り手市場です。ベトナムで無理ならタイやカンボジアを目指す日本人もいます。そこで大切になるのは採用のミスマッチをなくすことで、企業側の努力も欠かせません」(嶋村)
同社では登録者の生の声をできる限り伝える一方、採用後の企業担当者や応募者からの失敗談も数多く収集。製造業のミスマッチの主な理由は情報発信方法と情報収集能力にあり、企業と登録者の双方にアドバイスをしている。