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ハノイ、伝統市場のデジタル化を試験導入 スマホ注文や買い物代行で新規顧客を開拓

チョークエンに参加した市場小売業者
(C)THANH NIEN

ベトナムの首都ハノイで、伝統市場の商店が商品をオンラインで紹介・販売できるデジタルプラットフォーム「チョー・クエン(Chợ Quen)」の試験運用が始まった。対象はザンボー地区のリンラン市場とタインコン市場である。従来の対面販売を維持しながら、スマートフォンを通じた注文受付や商品の取り置き、買い物代行などを導入し、商店の新規顧客開拓と利便性向上を目指す。

2つの市場でデジタル化を試験導入、参加店舗は3~4割

ザンボー地区の第2市場管理委員会によると、同地区にはリンラン市場とタインコン市場の2つの市場があり、リンラン市場には76の事業者、タインコン市場には200超の事業者が営業している。

今回の「チョークエン」を活用したデジタル市場モデルは、市場管理委員会とプラットフォームの開発事業者が連携して導入したものだ。事前に商店主への説明会や利用方法の案内を実施し、現在は両市場の商店主の約30~40%が登録し、商品情報を掲載している。

市場管理委員会のホアン・ディン・タイン委員長によると、導入初年度は利用料を無料とし、その後の料金は販売実績などを踏まえて検討する方針だ。今後は各店舗を訪問して利用方法を個別に指導し、参加率100%を目指す。

商品情報をスマホに掲載、従来の対面販売も維持

「チョークエン」は、商店主に販売方法の大幅な変更を求めるものではない。商品画像や説明、価格などをデジタル上に掲載し、これまでの店頭販売に加えて、新たな顧客接点を設ける仕組みである。

開発を手掛けるタイムズメディア社のチン・トゥー・フーン社長によると、各商店主はプラットフォーム上に専用のデジタル店舗を持ち、商品紹介や注文受付を行う。店頭での販売や、顔なじみの売り手と買い手の関係はそのまま維持される。

リンラン市場で食肉を販売するレ・キム・ホア氏も、デジタル市場への参加に期待を寄せる。購入者はスマートフォンで商品を確認して事前注文し、都合のよい時間に受け取ることができる。店側も事前に注文内容を把握できるため、商品を準備・包装して、来店時に速やかに引き渡せるという。

ホア氏は、伝統市場での販売が低迷するなか、商品の写真や情報、価格をオンラインに掲載することで、特に若い世代を含む新たな顧客層への接触を増やしたいと話している。

食品の仕入れ先や安全性は市場管理委員会が確認

デジタル化に伴い、食品の仕入れ先や安全性の管理も重要となる。市場管理委員会は、プラットフォームに掲載される商品について、仕入れ先や食品安全に関する管理を従来どおり直接行うとしている。

例えば、豚肉や牛肉については、ハノイ市の規定に適合する食肉処理施設のリストを商店主に提供し、適法な施設との売買契約を求めている。仕入れた食肉は、獣医・畜産当局による管理や検疫印の確認を受ける。その他の商品についても、同様に必要な管理を行うという。

オンラインで注文できるようにするだけでなく、伝統市場が持つ仕入れ管理や食品安全の仕組みを維持することが、利用者の信頼確保につながる。

商品の集荷や買い物代行も試験運用

タインコン市場では、注文を受けた商品を各店舗から集めて一括で引き渡す「ピックアップ・集荷サービス」と、買い物代行サービスも試験導入されている。

利用者は複数の店舗に商品を注文できるほか、用意された献立などを基に買い物を代行してもらうこともできる。スタッフが各店舗を回って商品を集め、指定の受け渡し場所にまとめる仕組みだ。利用者は受け取り時間を指定でき、希望すれば自宅への配送も依頼できる。

受け渡し場所には、生鮮食品を保管するための冷蔵設備を設置し、冷蔵が不要な商品は棚に陳列する。複数の店舗を回る手間を減らしながら、食品の保管にも配慮する仕組みとなっている。

ハノイ市内の他地域への展開も視野

試験運用で十分な効果が確認されれば、プラットフォーム運営事業者は地方行政機関と連携し、ハノイ市内の他の地区にもデジタル市場モデルを拡大する考えだ。

商品の集荷や買い物代行などのサービスについても、運用方法を改善しながら対象を広げる方針である。

伝統市場のデジタル化は、商店主に新たな販売チャネルを提供するだけでなく、利用者の買い物時間の短縮や注文の利便性向上にもつながる可能性がある。一方、今後の普及には、商店主の継続的な参加、注文・集荷の運用効率、食品の品質管理、利用料の設定などが課題となる。

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