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ホーチミンの食堂、配達員が店内でバイク待機 狭い路地の混雑対策が話題

店内で方向転換する配達ドライバー
(C)THANH NIEN

バイクごと店内へ、配達員が注文を待つ

昼前になると、ホーチミン市トン・タット・ダム通り76番地の細い路地に、次々とバイクが入ってくる。

向かう先は、一軒の小さな食堂である。

配達員たちはバイクに乗ったまま店内へ入り、注文番号を受け取る。スマートフォンで注文内容を確認する人もいれば、バイクに座ったまま順番を待つ人もいる。

一見すると珍しい光景だが、この食堂が約2年前に現在の場所へ移転して以来、続けている工夫である。

店の中央を「配達員専用スペース」に

食堂は細長い造りになっており、客席は左右の壁沿いに配置されている。

その中央部分はあえて空けてあり、バイクが入って方向転換できるスペースとして利用している。

配達員はバイクで店内に入り、番号を受け取って待機。料理を受け取ると、そのままバイクで路地へ出て次の配達へ向かう。

店員によると、昼食時には配達アプリからの注文が集中し、多くの配達員が料理を受け取りにやって来る。

店の外にバイクを止めると、狭い路地の通行を妨げてしまうため、店内にスペースを設けたという。

幅1メートル余りの路地、路上駐車なら大混雑

食堂が面する路地は幅がわずか1メートル余りで、市場周辺に位置することから普段から人やバイクの往来が多い。

店員によれば、ピーク時に5~10台の配達員のバイクが路地に並ぶと、歩行者やほかのバイクが通行するのが難しくなる。

実際、店内が満員になった際に一部の配達員が路地の外にバイクを止めたところ、周辺住民から通行の妨げになるとの苦情が寄せられたこともあるという。

午前11時半ごろになると配達員の数はさらに増え、店内では注文番号を呼ぶ声とバイクの出入りする音が交錯する。一時は10人近くの配達員が同時に料理を待つこともある。

配達員からは歓迎の声

この店の様子がSNSで紹介されると、多くの人から支持する声が寄せられた。

「狭い路地にバイクが並ばなくなる」「配達員が炎天下で待たなくていい」といった意見である。

配達員にとって、料理ができるまでの待ち時間は仕事の効率にも影響する。

一方、店内にバイクを入れることについては、別の懸念も指摘されている。

店内に排気ガスやエンジン音が入り、食事中の客にとって不快になる可能性があるとの意見だ。

配達員専用の駐車スペースを店の一角に設け、食事スペースから分離した方がよいのではないかとの提案も出ている。

「10年間配達をして初めて」

約10年間、ホーチミン市で配達員として働く36歳の男性は、この店の仕組みに驚いたという。

これまで数多くの飲食店を訪れてきたが、通常は道路や歩道の空いている場所を探してバイクを止め、店の外で料理ができるのを待つ必要があった。

特に暑い日には、10分ほど外で立っているだけで汗だくになる。

スマートフォンを操作しながらも、バイクがぶつけられないか、駐車場所を注意されないかと常に周囲を気にしなければならない。

ある昼時には駐車場所を見つけられず、道路脇に一時的にバイクを止めて約20分待ったところ、交通当局から停車場所について注意を受けたこともあるという。

配達で得られる収入は決して大きくないため、罰金を受ければ一日の収入がほぼ消えてしまうことになる。

この食堂では、バイクに乗ったまま店内で待機できるため、初めて訪れた際には「こんな店は初めて」と驚いたという。

「20~30分待つこともある」

29歳の女性配達員も、店内でバイクに乗ったまま注文を待っていた。

彼女は毎日、朝から午後4時ごろまで配達の仕事をし、その後、学校から帰ってくる子どもを迎えに行くという。

交通量の多い道路や狭い路地では、料理を待つ間にバイクを止める場所を探すこと自体が難しい。

店が混雑していると、注文を受け取るまで20~30分待つこともあるという。

「中で待てる場所があれば、道路に立ってバイクを気にし続けなくていいので助かる」と話す。

デリバリー時代の新たな「待機場所」問題

フードデリバリーサービスの利用が広がるにつれて、飲食店を出入りする配達員の数も増えている。

その一方で、ホーチミン市の古い市街地には、バイクを十分に駐車できるスペースのない狭い路地や小規模な飲食店が数多く存在する。

そのため、料理を待つ配達員がどこにバイクを止めるのかという問題が、都市部の日常的な課題になっている。

今回の食堂の取り組みは、排気ガスや騒音という新たな課題を生む可能性がある一方、狭い路地でのバイクの滞留を減らし、配達員が安全に待機できる場所を確保するという意味では、一つの現実的な工夫ともいえる。

フードデリバリーが当たり前になったホーチミン市では、「料理を届ける仕組み」だけでなく、「配達員が料理を受け取るまでの場所」をどう確保するかも、これからの都市生活を考える上で無視できない問題になっている。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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