ベトナム経済について、今後も東南アジアで高い成長率を維持するとの見方が海外メディアや金融機関から相次いで示されている。背景には、外国投資の流入、製造業の回復、株式市場の格上げ、インフラ整備など複数の要因がある。
Bain & Company、DBS Bank、Vriens & Partnersによる予測では、ベトナムは今後10年間で年平均6.2%程度の成長が見込まれており、東南アジアの主要6カ国の中で最も高い成長率になると予測されている。
FTSE格上げで海外資金の流入に期待
ベトナム経済への注目を高めているのが、株式市場の国際的な位置付けの変化である。
9月21日、ベトナム株式市場はFTSE Russellの新興市場指数に正式に組み入れられた。ベトナムは2018年から格上げ候補として注視されており、今回の移行は外国投資家を呼び込むための市場改革を進めてきた成果の一つとされる。FTSE Russellは、指数組み入れによって最大60億USDの資金がベトナム株式市場に流入する可能性があるとしている。
実際、格上げを前に海外投資家の関心は高まり、9月中旬の1週間にはホーチミン証券取引所で海外投資家が約2兆7,000億VND(約1億400万USD)を買い越した。
さらに、世界有数の資産運用会社であるVanguardも、今後数年間でベトナムへの投資額を約25億USDまで増やす方針を示している。
ただし、FTSE Russellの格上げは資金流入を保証するものではなく、実際の資金流入は市場環境や各投資家の判断にも左右される。
製造業の回復も成長を支える
実体経済では、製造業の回復が成長を支える要因となっている。
S&P Globalによる8月のベトナム製造業PMIは53.3となり、景気判断の節目となる50を14カ月連続で上回った。生産量は2年以上ぶりの速いペースで増加し、新規受注も大きく伸びたとされる。
今回の回復で特徴的なのは、企業が単純な人員拡大だけに頼るのではなく、生産工程の効率化や新製品の開発に力を入れている点である。
AIや自動化、デジタル技術の導入によって、同じ人数の従業員でもより多くの生産量を実現する方向へ、ベトナムの製造業が変化しつつあるとの見方も出ている。
サプライチェーンの移転も追い風に
ベトナムの成長を支えるもう一つの要因が、世界的なサプライチェーンの変化である。
米国や中国からの生産・供給網の移転を背景に、ベトナムは製造拠点としての存在感を高めてきた。Bain & Company、DBS、Vriens & Partnersなども、ベトナムが製造サプライチェーンや資本の流れの中で恩恵を受ける可能性を指摘している。
また、ベトナム政府は外国企業による投資を呼び込むため、インフラ整備や制度改革、高度人材の育成などにも取り組んでいる。
世界的な最低法人税率の導入によって従来型の法人税優遇策の効果が低下する中、高付加価値・ハイテク分野の投資を支援するため、ベトナムは投資支援基金も設けている。
インフラ、FTA、人材も競争力に
ベトナムの競争力としては、外国投資だけでなく、インフラ整備や貿易協定、人材なども挙げられている。
高速道路、深水港、国際空港などの整備が進められ、製造拠点と国際市場を結ぶ物流網の強化が進んでいる。また、ベトナムが締結してきた自由貿易協定(FTA)も、国内で生産した製品を海外市場へ輸出する際の競争力を支える要素となっている。
さらに、1億人を超える人口を抱える国内市場も重要である。
外国企業にとってベトナムは、単なる輸出向けの生産拠点ではなく、製造した製品を国内でも販売できる市場となりつつある。そのため、今後は工場だけでなく、研究開発(R&D)、物流、データセンター、部品サプライヤーなどを含む投資の広がりが期待されている。
「量」から「生産性」へ成長モデルが変化
ベトナム経済の今後を考える上で注目されるのが、成長の質の変化である。
これまでのベトナムは、安価で豊富な労働力を背景に、外国企業の生産拠点として成長してきた。しかし今後は、単純に労働者や設備を増やすだけではなく、AI、自動化、デジタル技術などを活用して生産性を高めることが重要になる。
今回の製造業PMIの動きも、こうした変化を示す材料の一つとなっている。
海外からの資本・技術、国内の生産能力、そして1億人を超える消費市場。この3つをどこまで国内企業と結び付けられるかが、今後のベトナム経済の成長を左右する可能性がある。
現時点で「東南アジアで最も高い成長率になる」と断定することはできない。しかし、海外金融機関による成長予測、株式市場の国際的な位置付けの変化、製造業の回復、サプライチェーン移転などを踏まえると、ベトナムが今後も東南アジアの成長市場として注目を集める状況は続きそうである。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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