毎年恒例、ベトナム最大級の国際美容展示会「Vietbeauty & Cosmobeauté Vietnam 2026」が今年もホーチミン市のSECCにやってきた。7月23~25日、25の国と地域から750社以上の出展者、3500以上のブランドが集まった。

外資系が主力の展示会場
華やかでファッショナブルな、女性のための展示会だ。化粧品、スキンケア、ヘアケア、ネイルケアといった完成品から、原材料、OEM、パッケージ、スパや美容サロン向けの専門機器まで幅広く並ぶ。
来場者は圧倒的にベトナムの若い女性が中心で、数年前と比べるとお洒落なファッションの人が増えた。シャツ姿の中高年男性は、まず業界関係者と見て間違いない。メイン通路は先に進めないほどの混雑ぶりだった。
Aホールは、広めのブースを構える韓国、台湾、中国のパビリオンで埋め尽くされる。韓国は今年もピンク基調で存在感を放ち、台湾は化粧をする女性のかわいらしいアイコンを掲げた。出展数ではBホールにも数多く出展する中国が圧倒し、淡い色彩のブースカラーが好印象を与えていた。
日本品質OEMの常連組
日本企業はBホールに集中する。「今年でもう7年目かな」と語るのは、OEMメーカーのコスモビューティーだ。一度出展すると年に3~4件の成約につながるが、商談を重ねて成約に至るまでに1年はかかるという。
顧客となるベトナム企業は、日本品質の化粧品を作りたいスタートアップや、本業は別にありながら新事業として化粧品を始める食品会社など、新規参入組も少なくないという。
「ベトナムには営業基盤があるので、好まれる商品はおおよそわかってきました。幅広い方に見ていただきたくて、今回は約20種類を展示しました」
高温多湿な気候を踏まえ、さらっと汚れを洗い流せるボディウォッシュや、角質除去からその後の保湿までを考えた商品などを展示。日常的にスキンケアをする文化が根付けば、市場はさらに広がると見ている。
ベトナムには現地法人があり、工場も保有する。以前に投資した工場をリニューアルし、今年中に完成させる計画もある。ブースで対応する着物姿のベトナム人スタッフのうち、5人は日本勤務からの出張者だそうだ。

日本企業の橋渡し役
3年連続で参加するBRIA(アジア美容研究所)は、今回も知り合いの企業を引き連れ、約10社が陳列棚で出展した。今回は自社ブランドを持つ美容系メーカーが多く、主にベトナムでのバイヤーや販売先を探すのが目的だった。
BRIAの展示ブースでは自社製品に加え、日本企業4社から預かった化粧品、スキンケア、ヘアケア、アンチエイジング商品などを展示。関心を持ってもらえれば、バイヤーと企業をつなぐ予定だ。
「最近は商品の種類が多く人気もそれぞれなので、珍しいものに興味を持つ消費者が多いですね」

共同出展で販路を広げる
BRIAの一角、OEMメーカーのテルース製薬は、顧客である化粧品メーカー3社と共に4社でブースを構えた。自社開発のスキンケアやヘアケアのオリジナルブランドも展開しており、クリニックやサロンに販売している。
「ベトナムは暑いので、使用感がさらっとした商品や、肌の炎症を抑える鎮静作用のある商品が人気のようです」
海外展開も始めており、ベトナムでは代理店を通じてライセンス登録を進めているという。

異業種から化粧品へ挑戦
テルース製薬に生産を委託するInfini(アンフィニ)は、3年前に起業したスタートアップだ。この展示会への出展は2回目で、代理店が見つかり、ベトナムでの販売を開始した。
「前回展示した美容液とナイトケアクリームに加え、今年はスキンケアも展示しました。トータルケアを強調したいです」
ベトナムの代理店が作ったチラシやカタログも並べた。日本ではEC販売のみだが、フィリピンに法人を持ち、現地でも販売している。
「元々はクルマ購入時のカーナビ取り付けなど、オプション用品の請負業をしていました。化粧品はまったくの畑違いで、ゼロからのスタートでした(笑)」

サロンを狙う高機能美容液
同じくテルース製薬の顧客であるhaving funは、業務用の美容液やエイジングケア製品などをエステサロンに卸している。ベトナムでもエステサロンへの販売を考えており、その代理店を探すのが今回の目的だ。
「出展は初めてです。思ったより美容に詳しい来場者が多く、深い話までできるのがとても助かります」
日本ブランドということで興味を持ってもらえるため、商品の紹介がしやすいという。幹細胞の上清液と高純度エラスチンの独自配合が、一番の売りだ。

OEM需要との新たな出会い
老舗化粧品メーカーのオッペン化粧品は、昨年に続いての出展。前回は社長自らが来越したが、今回は技術統括部長が営業チーム3人を連れてきた。
「BRIAさんのご紹介でベトナム企業から連絡があり、本社と工場を見学いただきました。大型案件となる可能性があります」
化粧品事業を始めたいとOEMメーカーを探していた先方と、「基礎研究からの作り込みが得意」とするオッペン化粧品の方向性が合致したようだ。
「1回の出展で案件を増やすのは簡単ではありません。だからこそ2回目の出展があり、今後も継続していきたいと思います」

商社と代理店と二人三脚
コスメテックスローランドは現地代理店を通じてベトナムで販売しており、その代理店を紹介し同社とつないだ商社のハシモトがブースを運営。手伝うのは現地代理店のスタッフだ。
展示商品は化粧品、スキンケア、ヘアケアなど種類が豊富で、目立つオレンジ色のブースが人目を引いていた。ECと実店舗で販売しており、来場するバイヤーの認知度を上げようと、ベトナムでの売れ筋商品を揃えた。
「やっていることは基本的に日本の展示会と同じですが、インフルエンサーを呼んでライブ配信をしています」
シャンプー、コンディショナー、ボディクリームなどのサンプルが入った手提げギフトに、来場者が次々と手を伸ばしていた。

ヒットのミストに「すごい!」
昨年はテストマーケティングのつもりで出展したところ、来場者の反応が良く商談も生まれた。そこで2回目の出展を決めたというPLAISIR(プレジール)。
ベトナム初となる、サロン専売の美容液ミストを展示した。スプレー後3秒で頬をリフトアップするのが特徴で、日本では2ヶ月で10万本を売り上げたという。体験した来場者の声は皆、「すごい!」。サンプル品として数百本を持参したが飛ぶように売れ、残りは20本ほどになっていた。
「日本でエステを経営しており、ベトナム人を招いて研修し、働いてもらう計画です。ベトナムとの絆をもっと深めたいです」

日本製原料の拡大を先読み
化粧品原料の商社である不二化成は、シリコーンを得意分野とし、日本の大手化粧品メーカーなどに納入している。ベトナムにも現地法人があり、日系の大手企業に日本から輸出している。
今回が初出展で、ターゲットはベトナムのコスメ系OEMメーカー。彼らは中国製や韓国製の安価な原料を使っているが、今後は品質を求めて日本製へのニーズが拡大すると見込む。そこで日本製のシリコーンなどを売り込みたい。
「ブースにはサンプルを用意し、来場者に試してもらえるようにしました。業界のプロなら、その違いを実感できるはずです」
実際、中年男性2人組が自分の腕に塗って確かめていた。対象となる来場者は限られるだろうが、良い原料を探す目にはすぐ留まるようだ。
「品質が大切、価格を下げる気はありません」

高級ヘアケア市場は伸びる
サロン向けのシャンプーやコンディショナーなど、ヘアケア商品を展示したULTOWA。パッケージの高級感もあって関心は集まる一方、その場で効果を実感してもらいにくいのがもどかしいと語る。
「ベトナムのトリートメント市場はまだ小さく、商品はあっても高いようです。参入のチャンスはあります」
いきなり人だかりができたと思ったら、シャンプーなどのサンプルを求めて女性たちが集まってきた。近くのブースでサンプルを配布していた流れで、このブースにも気づいたようだ。
「本当は配りたくないんです。すぐになくなってしまうので(笑)」

「自社商品」で海外市場へ
主に家庭用品の卸業を営む菅野は、自社製品による海外進出を考えた。そこで、刃を使わず削って整える「切らない爪切り」のOEM生産をメーカーに委託し、商品化した。海外販売の第一歩となったのが、今回の展示会だ。
「ネイルで薄くなった爪は割れたり折れたりしやすいので、この商品が役立ちます」
9月にはマレーシアへの出展を予定しており、テストマーケティングを兼ねながら東南アジアで代理店を探す。今年1月にハノイとホーチミン市で行ったテストマーケティングは好評で、9割以上が「類似商品がない」と回答したとか。
「コンテナ輸出は考えていません。EMSで1ケースから送るような、スモールビジネスから始めたい」






















取材・執筆:高橋正志(ACCESS編集長)
ベトナム在住11年。日本とベトナムで約25年の編集者とライターの経験を持つ。
専門はビジネス全般。