ベトナム政府のファム・ザー・トゥック副首相は、商工省に対し、建設省および司法省と連携してマンション売買契約の登録手続きを見直し、廃止を検討するよう改めて指示した。
この手続きは、政府が2026年初頭から削減を求めていたものの、現在も継続されている。
契約登録で数か月の遅れも
2026年2月に開催された中央住宅政策・不動産市場指導委員会第6回会議で、首相は商工省に対し、マンション売買契約を「定型契約の登録義務対象」から除外するよう指示し、2026年第1四半期中の完了を求めていた。
しかし、商工省通達42/2025号では、現在もマンション売買契約が、消費者保護を目的とした定型契約登録の対象に含まれている。
TT Capitalのグエン・ディン・チューン社長によると、現行の不動産事業法では、マンション売買契約にはすでに標準契約書式が存在している。
建設省から「将来完成住宅」の販売条件を満たしたとの通知を受けた後、デベロッパーは価格、支払スケジュール、引き渡し時期、使用建材、保証、修繕積立金、駐車場、共用部・専有部面積などを盛り込んだ契約書を作成する。
その後、この契約書を商工省へ登録申請し、承認後に初めて正式契約として顧客と締結できる仕組みとなっている。
「不要な追加手続き」と企業側が反発
グエン・ディン・チューン氏は、商工省での登録自体は「許認可型ではなく比較的容易」としながらも、実際には企業側に追加の行政手続きと数か月の待機期間を生じさせていると指摘した。
同氏は、「標準契約がすでに法律で定められている以上、建設省から販売許可通知が出た段階で、企業は直ちに顧客と契約締結できるようにすべきだ」と提案している。
また、契約締結の遅れは販売スケジュールや顧客対応にも影響するとし、多くの購入希望者は販売条件承認後すぐの契約締結を望んでいると述べた。
「一つの案件を二重管理」との批判
TMC Lawyersのチャン・ミン・クーン弁護士も、この制度について「不要な行政手続きが増えている」と指摘した。
同氏によれば、企業は同一案件について建設省と商工省の双方から管理を受ける「二重管理」の状態に置かれているという。
さらに、不動産事業法に基づく標準契約を商工省へ提出したにもかかわらず、修正を求められるケースもあり、その結果、建設分野の規定に合致しなくなるリスクも発生しているとしている。
こうした制度の重複は、販売開始時期の遅延や企業の資金繰りにも影響を与える可能性があるとの見方を示した。
消費者保護の強化求める声も
一方で、制度廃止に賛成する企業関係者の中にも、「標準契約の内容はより詳細化すべきだ」との意見もある。
特に、デベロッパー側が購入者に不利な条項を契約に盛り込めないよう、責任範囲や拘束条件をより明確に規定する必要性が指摘されている。
政府が登録手続きを廃止した場合、企業側のコンプライアンスコスト削減や行政手続きの簡素化につながる一方、購入者保護とのバランスをどのように確保するかが今後の焦点となりそうだ。



















