ベトナム南部で、大気が濁った状態が数日間にわたって続いている。9月16日にはホーチミン市で大気質指数(AQI)が162となり、「不健康」とされる水準に達したほか、カントー市でも172を記録した。
気象専門家は、ホーチミン市で発生している「混合霧」に加え、インドネシアで相次いでいる森林火災から発生した煙や微小粒子状物質が、風によってベトナム南部まで運ばれている可能性を指摘している。
ホーチミン市などで数日間、大気が濁る
9月16日朝のホーチミン市は薄日が差していたものの、午前10時を過ぎても空気は霞んだ状態が続いた。高層ビルも煙霧のような空気に覆われ、視界がすっきりしない状態となった。
IQAirの観測では、同日、ホーチミン市の平均AQIは162で「不健康」とされる水準となり、市内の多くの観測地点でも同様の警戒レベルが示された。
カントー市ではAQIが172を記録したほか、カマウ省、ビンロン省、ドンタップ省など南部各地でも、大気が濁った状態がほぼ一日続いた。
「混合霧」に加えて広域的な煙霧の影響か
気象専門家のレ・ティ・スアン・ラン氏によると、ホーチミン市ではここ数日、「混合霧」と呼ばれる現象が発生している。
混合霧とは、大気汚染によって増加した微小粒子状物質が、低い気温や高い湿度などの気象条件と重なることで、霧のように大気中に滞留する現象である。
ただ、今回のホーチミン市の大気汚染は例年より早く現れ、状態も深刻になっているとみられる。さらに、同様の現象が南部の広い地域で確認されていることから、国内の都市部だけを原因とするものではない可能性がある。
ラン氏は、発生源や風向などの分析から、インドネシアの森林火災による煙や大気中の粒子がベトナム南部に影響を及ぼしている可能性を指摘する。
南部ベトナム、特にホーチミン市は、インドネシアから広がる煙霧の北側の縁に位置しているという。
同氏は、現時点では発生源ごとの影響を正確に分離する観測手段が不足しているため断定はできないとしたうえで、インドネシアの火災による煙霧がホーチミン市の大気汚染を押し上げ、その割合は20~30%に達する可能性があるとの見方を示している。
インドネシアで森林火災が拡大
背景には、インドネシアで発生している大規模な森林火災がある。
インドネシア林業省によると、9月15日には新たに592カ所のホットスポット(高温地点・火災地点)が確認され、累計は1,437カ所となった。火災は主にカリマンタン島とスマトラ島に集中している。
両地域は乾季になると森林火災や泥炭地火災が発生しやすい地域である。
欧州連合(EU)の気候変動監視機関コペルニクスのデータをロイターが報じたところによると、9月1~7日の1週間だけで、インドネシアの火災による二酸化炭素排出量は約1,970万トンに達した。これは同じ週に世界で発生した森林火災による排出量の3分の1以上に相当し、季節平均を273%上回る水準であった。
煙霧はマレーシアやシンガポールにも拡大
インドネシアの火災による煙霧は、すでに東南アジアの複数の国に影響を及ぼしている。
ASEAN専門気象センター(ASMC)によると、南部ASEAN地域では南西モンスーンの影響により、低い高度では南東または南西からの風が吹いている。乾燥した状況では、こうした風によって火災地域から発生した煙が周辺国へ運ばれる可能性がある。
実際、マレーシアとシンガポールでは国境を越えた煙霧が確認されている。シンガポールでは5つの地域すべてで大気質が「不健康」とされる水準となり、マレーシアでも数十カ所で同様の状態が観測された。
ベトナムは両国より北側に位置するものの、この広域的な煙霧の影響を受けている可能性がある。
ASMCが9月15日午前の時点で更新した衛星観測地図でも、国境を越えた煙霧がベトナム南部方面まで達していることが確認された。一方、ベトナム国内でも一部のホットスポットが確認されたものの、大規模な煙の発生は確認されていないという。
ベトナム南部への影響はどこまで続くのか
今回の大気汚染については、インドネシアの森林火災だけが原因と確定したわけではない。ホーチミン市周辺の都市活動による大気汚染に加え、湿度や気温などの気象条件が重なった可能性もある。
ただ、ホーチミン市だけでなく、カントー市やカマウ省、ビンロン省、ドンタップ省など南部の広い範囲で同時期に大気が濁っていることから、広域的な気象・環境要因が影響している可能性は高い。
インドネシアで火災が続くなか、今後の風向や気象条件によっては、ベトナム南部でも大気の状態がさらに変化する可能性がある。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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