年々厳しさを増すベトナムの夏。記録的な高温と長引く暑熱シーズンの中で、都市部の人々はどのように暑さと向き合っているのでしょうか。当社がハノイとホーチミン市の20~49歳男女200人に実施した調査(2026年5月)から、その実態が見えてきました。
家の中ではエアコン(97%)と扇風機(87%)が二大装備ですが、注目すべきは38%が「複数の機器を同時に使う」と答えている点です。その理由の最多は「涼しく感じるため」(77%)と「冷気を循環させるため」(76%)。
エアコンが作った冷気を扇風機で部屋中に届ける——所得層を問わず約57%がエアコンと扇風機を併用しており、これは節電の苦肉の策というより、ベトナム流の「冷気デリバリーシステム」と言えるでしょう。背景にあるのは、暑さへの不安として最多だった「電気代の上昇」(85%)です。
一方で屋外、特にバイクでの振舞いは日本人の感覚を裏切ります。暑い日でも「肌を覆って」走る人は全体の54%(男性43%、女性64%)。女性の3人に2人が、灼熱の中でも長袖やジャケットを着てバイクにまたがっています。「暑い日は軽装」という日本では当たり前の行動を取るのは、男女合計でわずか26%にすぎません。
街頭で見かける「完全防備のライダー」は特殊な少数派ではなく、むしろ多数派なのです。日焼け対策として女性の76%が日焼け止めを使う(男性は45%)ことも、この行動を裏付けています。
涼しさは「買う」のではなく「設計する」もの。電気代と肌、両方を守るベトナム的合理性が、そこにあります。
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黒川 賢吾 Kengo Kurokawa
Asia Plus創業者兼代表取締役。NTT、ソニー、ユニクロを経てベトナムで起業。ベトナム最大級のオンラインリサーチパネルを利用して年間200以上の調査をこなすリサーチのプロ。