6月8日、ハノイの政府庁舎で、ベトナムのレ・ミン・フン首相とタイのアヌティン・チャーンウィーラクーン首相が会談を行い、両国関係のさらなる強化に向けた協力方針で一致した。
両首脳は、1976年の国交樹立から50年を迎える中、ベトナム・タイ関係が過去最高の水準に達しているとの認識を共有した。政治的信頼関係、経済協力、人と人との交流がいずれも大きく発展していると評価した。
首相級協議を軸に包括的な戦略的パートナーシップを推進
両国は既存の二国間協力メカニズムを有効活用し、特に首相級合同閣議や各省庁間協議を通じて、包括的な戦略的パートナーシップの実効性を高めていくことで合意した。
また、防衛・安全保障分野の協力拡大でも合意し、共同海上パトロールの継続や、麻薬密売、人身売買、サイバー犯罪など越境犯罪対策での連携を強化する方針を確認した。
さらに、いずれの国も自国領土を相手国に対する活動拠点として利用させないという原則を改めて確認した。
貿易額250億USD達成、将来的には500億USDへ
経済分野では、両首脳は「3つの接続戦略」を効果的に推進することで一致した。
具体的には、
- 交通・物流ネットワークの接続強化
- 航空路線および観光協力の拡大
- メコン地域を含む陸路・沿岸海運ルートの開発
などを進める。
また、ベトナム・タイ合同貿易委員会の機能を活用し、貿易障壁の削減や市場アクセス改善を図る方針である。
両国はまず年間貿易額250億USDの早期達成を目指し、将来的には500億USD規模への拡大を視野に入れている。
AI・デジタル経済など新分野でも協力
両国は農業や食料安全保障に加え、次世代産業での協力も拡大する。
対象分野には、
- 科学技術
- 人工知能(AI)
- デジタル変革
- デジタル経済
- グリーン経済
- 公正なエネルギー移行
- イノベーション
などが含まれる。
タイ企業の対越投資拡大に期待
レ・ミン・フン首相は、ベトナムが外国投資家に対して開かれた投資環境を維持しており、タイ企業の投資も歓迎すると表明した。
これに対しアヌティン首相は、ベトナムの投資環境を高く評価するとともに、タイ企業が直面する課題解決への支援継続を要請した。
また、タイ政府として自国企業の対越投資拡大を後押しするとともに、ベトナム企業のタイ進出も歓迎する考えを示した。
タイ、ベトナムへのオオヅルの譲渡に前向き
会談では人的交流や文化・観光協力についても協議された。
レ・ミン・フン首相は、タイ国内のベトナム人コミュニティへの支援や、ホーチミン主席関連史跡およびベトナム寺院の保存への協力に謝意を表した。
一方、アヌティン首相は、メコンデルタのチャムチム国立公園で進められているツル保護プロジェクトを高く評価し、生物多様性保全と持続可能な発展のため、タイ国内のオオヅルの個体をベトナムへ譲渡する用意があると表明した。
ASEANの結束と南シナ海問題でも連携
地域・国際問題についても両首脳は意見交換を行った。
両国は、ASEANの結束と中心的役割を維持する重要性を強調し、南シナ海問題については国際法に基づく対応を支持する姿勢を確認した。
特に、国連海洋法条約を基礎としたASEAN共通の立場を推進していくことで一致した。
メコン地域の持続可能な発展へ協力
レ・ミン・フン首相は、タイがエーヤワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)などの地域協力枠組みで果たしている役割を評価した。
両国は今後、インフラ整備、投資、貿易、水資源管理、気候変動対策、デジタル化、グリーン転換などで協力を深め、メコン地域全体の持続可能な発展と繁栄に貢献していく方針である。



















