「インターンを採用したが、午後5時になるとパソコンを閉じて帰ってしまう。その考え方では成長できないのではないか」。
SNS「Threads」に投稿されたこの一文が大きな反響を呼び、定時退社と仕事への姿勢を巡る議論がベトナム国内で広がっている。
「残業する姿勢こそ向上心の表れ」とする意見がある一方、「勤務時間が終われば帰宅するのは労働者の当然の権利」との声も多く寄せられている。
定時退社と責任感は別問題との声
ホーチミン市在住のバイン・グエン・スアン・ギーさんは、社員やインターンを「定時で帰るかどうか」だけで評価する考え方は、現在の職場環境には合わなくなっていると指摘する。
同氏は、重要なのは勤務時間内に仕事を終え、十分な品質を確保できているかどうかだと話す。
「業務をきちんと終えているにもかかわらず、定時で帰宅したことだけを理由に低く評価されるのであれば、その会社は成果ではなく、オフィスにいる時間を重視しているということになる」
一方で、残業そのものを否定しているわけではなく、緊急性の高い業務や自身の成長につながる仕事であれば、時間外勤務にも応じる考えを示した。
また、仕事への貢献はオフィスに何時間いたかではなく、成果や仕事の質によって評価されるべきだと述べている。
「残業を求めるなら採用時に伝えるべき」
ホーチミン市のコー・ハオ・キエットさんも、労働者には契約で定められた勤務時間が終了すれば帰宅する権利があるとの考えを示した。
そのうえで、企業が従業員に自主的な残業を期待するのであれば、それに見合う待遇や福利厚生を整備する必要があると指摘する。
さらに、残業が業務の前提となるのであれば、採用時点で応募者へ明確に説明すべきだと話す。
「努力が正当に評価され、それに見合う対価が得られると感じられれば、社員は自然と会社に貢献しようという意欲を持つようになる」
若い世代はワークライフバランスを重視
この議論はSNSだけのものではない。
人材サービス会社TalentnetがまとめたZ世代の労働市場に関する調査では、62%の若者が仕事よりも家族や個人的な人間関係を優先すると回答しており、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっていることが示されている。
人事専門家「評価すべきは成果」
人事コンサルタントで人事部長を務めるファム・タイン・フン氏は、「勤務終了後に帰宅したいと思うのは、多くの労働者に共通する自然な考え方だ」と話す。
人事評価で重要なのは、何時まで会社に残っていたかではなく、どのような成果を生み出したかであると強調した。
また、現在の若い世代はITツールなどを活用し、以前より短時間で効率的に仕事を終えられるようになっているとも指摘する。
さらに、一部企業では長時間労働を抑制しながら、仕事の成果を重視する評価制度を導入する動きも広がっているという。
職種ごとに評価基準は異なる
ホーチミン市青年就業支援センター(YES Center)のグエン・ティ・タイン・タオ副所長も、定時退社だけで社員を評価することは難しいとの見方を示している。
業種や職種、職場環境によって求められる働き方は異なるため、退社時間だけで人材を評価すべきではないと指摘した。
重要なのは、担当業務を期限内に適切な品質で完了しているかどうかであり、テクノロジーの活用によって生産性を高め、短時間で仕事を終えるケースも少なくないという。
同氏は、「企業は退社時間ではなく、それぞれの職種や業務内容に応じた成果や生産性を基準に評価すべきである」との考えを示した。



















