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ベトナムニュース【社会】ひったくりに引きずられた女性の悲劇

(C) VNEXPRESS

カバンをひったくられて地面で頭を打ったフイン・トゥ・タムさん(38歳)は、生き延びるために4回も頭蓋骨の手術を受ける必要があった。

2022年の5月上旬、ホーチミン市ビンタン区の小さな家でタムさんは松葉づえに寄りかかって震えながら、一歩一歩歩く練習をしていた。時々タムさんは、頭の痛みを和らげるために頭蓋骨の左側に埋め込まれたチタン製のプレート部分を撫でる。タムさんの顔の片側は顎の骨折の後遺症によってへこんでいる。

1年以上前、タムさんは夫と2人の幼い子供たちと元気いっぱいに暮らしていた。しかし、カバンのひったくり事件の後、タムさんは15kg以上痩せ、10歳以上老けたように見える。

2021年3月30日の午前7時ごろ、タムさんは2歳になる息子を保育所に連れて行ってから、2㎞先にある会社に出勤した。タムさんはウエストバッグを付けており、中には携帯電話、IDカードと数万ドンが入っており、その上から上着を羽織っていた。

警察の調べによると、タムさんは、子供を保育所に預けた後、イオンモール・ビンタン店の近くの交差点にさしかかった際に、背後からバイクで近づいてきたファム・テー・クアン(22歳)にカバンを強く引っ張られた。犯人はカバンを奪うことが出来なかったが、タムさんは引っ張られて転倒し、路上で頭を強く打った。

「一瞬悲鳴を上げてすぐに気を失ってしまいました。」とタムさんは当時のことを振り返る。

タムさんは、現場付近にいた人々によってすぐに病院に運ばれた。重度の外傷性脳損傷により、タムさんは1週間ものあいだ昏睡状態となり、医師たちは、非常に危険な状態だと説明した。「剃り落とした頭に包帯を巻いた状態で目覚めたとき、夫の説明を聞くまで何が起きたのかさえ思い出せませんでした。」とタムさんは話す。

損傷した頭蓋骨を取り除くための最初の手術から1か月後に、鏡で自分の姿を見ると頭蓋骨の左側がお椀のようにへこんでいるのが見えて、タムさんは崖から突き落とされたようなショックを受けた。検査の結果、タムさんは身体の89%を損傷する怪我と判定された。「病院に長い間入院し子供に会いたくなったので、ビデオ通話をかけました。その時に息子から『これはお母さんじゃない』と言われて更にショックを受けました。」とタムさんは話す。

タムさんの夫であるジップ・ヴィさん(41歳)は、妻が事故にあった時から妻の面倒を見るために仕事を辞め、幼い2人の子供達は祖父母に預けなければならなくなった。最も過酷だったのは昨年7月ごろにホーチミン市でCOVID-19の感染が拡大した時期だ。ちょうどそのころタムさんは2回目の頭蓋骨手術を受けたばかりで、不運にもCOVID-19に感染してしまった。ワクチン接種を受けていなかったので、タムさんは重症化して健康状態が悪化した。「4日間連続で妻の体温が40℃を超え、痙攣をおこしました。その時は妻はもう助からないだろうと観念しました。」とヴィさんは話す。

チタンプレートを陥没した頭蓋骨に取り付ける手術の後、1年間の闘病の末、タムさんは家に戻ってリハビリを始められるようになった。毎日、夫のヴィさんがタムさんを治療とリハビリのために病院まで連れていく。昼頃になるとタムさんを連れて家に帰り、会社に戻る前にご飯の準備をする。ヴィさんはレストラン、職場、子供の保育所などに行くたびに妻が元気だったころのことを思い出す。

ヴィさんによるとタムさんの治療費は数億ドンに達したが、犯人の家族が補償したのは4500万VNDに過ぎない。「私たち夫婦は工場のワーカーで収入は多くありません。妻が事件に巻き込まれてから、私たち家族の生活は悲惨なものになりました。私は妻の治療費のためにあちこちからお金を借りなければなりませんでした。」とヴィさんは話す。

事件前のタムさんと2人の子供 (C) VNEXPRESS

5月5日、犯人のファム・テー・クアンは強盗の罪でホーチミン市人民裁判所から懲役18年の刑を言い渡された。判決文によると、クアンは、友人と麻薬を使用するために集まったホテルから家に帰る途中でタムさんのカバンをひったくった。クアンは、事件から1週間後に警察によって逮捕された。

「判決の日、私も法廷に行きました。犯人を見たとき、あまりにも若いのでびっくりしました。彼は若者としての18年の歳月を事件の代償として払わなければなりませんが、私は、残りの人生全てを障害を負って生きていかなければなりません。あの事件さえ起きなければ・・・」とタムさんは悲しげにつぶやいた。

出典:10/05/2022 VNEXPRESS
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