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【社会】基本給だけでは、生活が送れない労働者たち

(C) VNEXPRESS

故郷を出てホーチミン市で工員として働きだして3年以上が過ぎ、ヒウさんは、COVID-19によって会社が残業を減らすと聞いて、涙ながらに故郷の母から1000万VNDを借りなければならなかった。

フイン・ティ・ミー・ヒウさん(30歳)と夫(32歳)は、どちらもサイゴンハイテクパーク内の工場で働いている。もし、夫婦が12時間シフトの仕事に22日出勤し、毎日2.5時間の残業をすれば、夫婦の収入は約1400万VNDになる。

毎月の家賃と光熱費は約250万VNDだ。また、夫婦が残業している間8歳の娘のお迎えや食事の世話をしてもらっている大家さんに200万VND以上を支払っている。残りは、毎月の学費、食費、ガソリン代などに消えていく。ヒウさんは両手を広げて毎月支払わなければならない項目を10近く数え上げた。毎月、病気もせずに残業をすれば、借金をしなくても生活はできる。しかし、もし残業が無ければ夫婦の収入は1000万VNDに満たなくなる。

「基本給だけでは足りません。政府は2年も最低賃金を引き上げていないので、これ以上は望めません。」とヒウさんは話す。感染第4波の前、工場は労働時間を変更し、夫婦は8時間仕事をすると家に帰ることになった。月末に振り込まれた給料を見て涙が出たとヒウさんは話す。感染が拡大すると、ヒウさんはCOVID-19に感染し、夫婦ともに仕事を休まざるを得なくなった。貯金は無く、多くの請求書を受け取ったヒウさんは故郷の母親に借金を頼む電話を掛けた。それから半年以上が過ぎたが、ヒウさんはまだ母親に借金を返せていない。

収入不足に苦しんでいるのは、ヒウさん一家だけの話ではない。労使関係研究センターのドー・クイン・チー所長は、アンカー・メソドロジーの計算方法に基づけば、労働者が1日8時間の通常労働でホーチミン市で通常の生活を家族と送るためには2020年であれば月に750万VNDの収入が必要になると指摘する。一方で、2年以上のCOVID-19の感染拡大による医療費、感染防止対策費などを考慮すると、現在の生活に必要な収入はさらに高くなるとみられている。

労使関係研究センターの調査によると、各製造業が労働者の8時間労働に対して支払っている基本給は、地域の最低賃金(エリア1が最高の442万VND、エリア4が最低の307万VND)より7~10%高いだけである。つまり、大部分の労働者は通常の生活を送るのに十分な給与が支払われていないことになるとチー所長は指摘する。足りない生活費を補うために、労働者は残業せざるを得ない。

「収入を増やすためには残業しなければなりませんが、それによって子供と過ごす時間や健康が損なわれています。長期的には医療費の支払いも増えることになるでしょう。」とチー所長は話し、これは、殆どの労働者が陥っている悪循環であると指摘した。更に、労使関係研究センターが指摘しているように、生活するのに十分な賃金が支払われていないこととホーチミン市の生活費が高すぎることが、南部地方出身の労働者が感染第4波以降に大量に帰省したことの2つの大きな理由である。

また、今年の初めにホーチミン市労働連盟が公表した縫製業に従事する女性労働者の雇用と生活に関する調査によると、このグループの平均月収は680万VNDしかなく、ほとんどの労働者が残業しなければ生活できない。このうち、20%は、毎月の収入が500万VNDにも満たず、毎月の収入が500万~800万VNDと回答した労働者が60%を占めた。

ホーチミン市労働組合の調査でも、回答した労働者の42%弱が、現在の収入では、自身と家族が標準的な生活を送ることが出来ないと回答している。そのため、労働者には給料から貯金する余裕が全くなく、突発的な事態が起きても、支払うことが出来ない。

そのため、労働者は生活費の不足を補うために、常に友達や親せきから借金をしており、中には反社会的組織から高利で借金しなければならないケースも出ている。多くの女性工員が生活水準が非常に低いために、子供を産むことは難しいと答えている。

労働組合研究所のブー・ミン・ティエン博士は、今年のテトの後、製造業は労働者へ支払う賃金を2021年第4四半期に比べて改善させたが、COVID-19感染拡大前には及ばないと指摘した。

「物価が上昇し、COVID-19感染拡大によって発生した費用と2年間の最低賃金の据え置きによって労働者の生活はますます苦しくなっています。」とティエン博士は話す。現在、製造業の労働者への基本給は、地域の最低賃金レベルに非常に近く、僅か7~10%程度高いに過ぎない。この基本給は、残業、社会保険、各種手当、テトボーナスの基準にもなっている。

「最低賃金の調整が遅れれば遅れるほど労働者の生活は苦しくなります。 」とティエン博士は話し、工員は経済に多大な貢献をしているにもかかわらず、受け取れる利益は殆どないと指摘した。

ティエン博士は、COVID-19の感染と長期の社会隔離措置にも関わらず多くの労働者が仕事を続けていると述べ、彼らこそが、経済全体の成長に直接貢献していると指摘する。

統計総局のデータによると、2021年のベトナムのGDP成長率は前年比2.58%の増加とされている。そのうち、製造業、建設業、食品加工業など多くの労働者を雇用する産業は依然として経済全体の成長を牽引している。

ティエン博士は、労働者への公平性を確保し、労働者が一息つけるようにするために、早急に最低賃金を調整するべきだと指摘する。労働組合研究所が指摘するように、多くの労働者が毎日2~4時間の残業をしなければ生活に必要な収入が得られない。もし、工場が残業を実施しなければ、労働者は、露天販売をしたり、配車アプリのドライバーをしたり、他の会社でアルバイトをする必要がある。

冒頭のヒウさん夫婦は、給料が上がるまでは収入を確保するために毎日残業したいと希望している。ヒウさんはまずは、母親に1000万VNDを早く返したいと願っている。ヒウさんは、苦しい生活が続く中で、将来のことについて深く考えないようにしている。ヒウさんによると、おそらく、数年後には家族で田舎に帰って田舎の工場で働くか、両親の農業を手伝うことになるだろうとのことだ。

出典:01/03/2022 VNEXPRESS
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