APEC控えるフーコック島、排水問題が再燃
APEC関連インフラ整備が進むフーコック島で、深刻な冠水問題が再び浮上している。現地当局は、主要交通路DT.975の工事現場が雨季の浸水で機能停止に陥る事態を防ぐため、排水路の緊急確保を最優先課題としている。
フーコック特区人民委員会(アンザン省)は、3週間以内に排水経路を確保するよう関係機関へ指示しているが、施工業者の間では、今年の雨季は例年以上に厳しいとの予測もあり、不安が広がっている。
背景にある「計画」と「管理」の失敗
フーコック島では長年にわたり冠水被害が問題となってきた。特に2019年8月には、記録的豪雨により島内63km以上の道路が冠水し、8,400世帯以上が被害を受けたほか、被害総額は1,070億VNDに達した。
当時、旧キエンザン省当局は、気候変動だけでなく、無秩序な違法建築や河川・水路の埋め立てによる排水機能の低下を主要因として指摘していた。
その後も冠水問題は解消されず、2024~2025年には比較的少ない降雨でもベンチャム地区や8月革命通り周辺で局地的な浸水が発生。調査では、島内100本以上の自然河川や水路が埋め立て、または大幅に縮小されていたことも判明している。
APEC関連工事にも影響
特に問題視されているのが、リゾート開発が集中するバイチューン地区である。
本来、同地区の都市計画では、貯水空間や緑地帯を活用した排水システムが設計されていた。しかし実際には、開発事業者ごとにインフラ整備がバラバラに進められ、排水ネットワークが分断されたという。
さらに、一部企業が無断で道路を建設し、自然水路をコンクリートで塞いだり、ゴルフ場や観光施設建設のために水路保護区域を侵食したケースも確認された。
その結果、山側から流れ込む大量の雨水が排出できず、慢性的な浸水を引き起こしている。
専門家「島で冠水は本来あり得ない」
都市計画専門家のゴー・ビエット・ナム・ソン建築士は、フーコックの現状について「極めて残念だ」と指摘する。
同氏によれば、バイチューン地区は本来、淡水湖や緑地帯を活用し、海へ自然排水できる極めて優れた地形だった。しかし開発計画変更後、多数の事業者による過度なコンクリート化が進み、排水機能を持つ緑地が失われたという。
同氏は、「海に囲まれた島で深刻な冠水が起きるのは、本来あり得ない。原因は計画ミスか、管理不全のどちらかだ」と厳しく批判した。
当局が緊急対応へ
フーコック特区当局は現在、バイチューン地区の開発事業者に対し、計画に沿った排水路の浚渫と水流確保を緊急指示している。
具体的には、最低12m幅の排水路確保、小規模排水管の大型ボックスカルバートへの交換、障害物撤去などを求めている。
また、ゴー・ビエット・ナム・ソン建築士は、APEC 2027は「国家の威信に関わる重要イベント」であり、空港・道路・宿泊施設など全インフラの一体整備が不可欠だと強調。そのうえで、「誰に責任があるかは後で追及すればよい。今はまず排水機能を回復させることが最優先だ」と述べた。
さらに、恒久的な排水整備が間に合わない場合には、一時的な調整池を設置し、工事継続を可能にする応急措置も必要との考えを示している。




















