ベトナムの文化・スポーツ・観光省は、インターネットサービスおよびオンライン情報管理に関する政令(147/2024/NĐ-CP)の改正案を公表し、16歳未満の子どもによるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)アカウントの登録を、保護者または法定後見人に限定する方針を示した。
改正案では、SNS事業者に対しても年齢確認や有害コンテンツ対策などの技術的措置を義務付け、子どものオンライン環境の安全性向上を目指す。
保護者による登録・管理を義務化
改正案によると、16歳未満の子どもは自らSNSアカウントを開設することはできず、登録は保護者または法定後見人が行う必要がある。
また、保護者には子どもの利用時間や閲覧コンテンツ、SNSの利用状況を継続的に管理・監督する責任が課される。
さらに、子ども用アカウントについては、
- 投稿
- コメント
- コンテンツの共有
- 「いいね」などのリアクション
- その他の交流機能
の利用を認めず、年齢に適したコンテンツのみ閲覧できる仕組みを導入するとしている。
SNS事業者に年齢確認や安全対策を義務付け
改正案では、SNSサービスを提供する事業者に対し、利用者が子どもであることを判別する技術の導入を求めている。
その上で、
- 年齢に応じたコンテンツの表示
- プライバシー保護を最も高い水準で初期設定
- 有害コンテンツの自動遮断
- 年齢推定システムの整備
- 子どもへの被害が疑われる場合の通報・関係当局への情報提供
などの措置を講じることが義務付けられる。
文化・スポーツ・観光省は、これらの制度により、子どもの安全確保だけでなく、偽アカウント対策や利用者・事業者双方の責任明確化にもつながるとしている。
「規制強化とデジタル経済の両立を」と慎重論も
一方、意見公募では、子どもの保護という目的には賛同しつつも、制度設計には慎重な検討を求める声も上がっている。
商工省電子商取引・デジタル経済局は、16歳未満の利用者が独立してアカウントを作成できず、SNS上で交流機能も利用できなくなれば、EC(電子商取引)事業者やデジタルブランドの若年層向けマーケティングに影響を及ぼす可能性があると指摘。子どもの保護とデジタル経済の発展とのバランスを十分に検討すべきだと提案した。
これに対し文化・スポーツ・観光省は、今回の規制はSNSアカウントのみを対象としており、ECプラットフォーム上のアカウントには適用されないと説明している。
また、同省著作権局からは、海外の制度も参考にしながら制度設計を進めるべきとの意見が示された。
教育現場では、SNSやデジタルプラットフォームが学習や学校活動、創作活動にも活用されていることから、16歳未満の交流機能を一律に禁止することは、デジタル教育やデジタルリテラシーの育成に必ずしも適さないとの見方も出ている。
「目的は利用禁止ではなく安全確保」
7月23日に開催された改正案に関する意見交換会では、TikTokやMetaも子どものオンライン保護の強化には賛同を示した。
その一方で、保護者の責任をより明確化するとともに、年齢に応じた保護措置を導入する形が望ましく、交流機能を一律に禁止する方式には慎重な姿勢を示した。
文化・スポーツ・観光省のファン・タム副大臣は、「目的は子どものSNS利用を禁止したり過度に制限したりすることではない」と強調。そのうえで、「子どもが年齢に応じた適切な環境でサービスを利用し、オンライン上の危険から保護されることが重要である」と述べた。
また、年齢が低いほど保護や保護者による監督を強化する必要があると指摘するとともに、子どもの安全確保における最大の責任はデジタルプラットフォーム側にあるとの認識を示した。
政府は今後、子どもの保護とデジタル社会・デジタル経済の発展を両立させる制度設計を目指し、改正案の検討を進める方針である。



















