ベトナムビジネスならLAI VIENにお任せください!入国許可、労働許可証、法人設立、現地調査、工業団地紹介などあらゆる業務に対応します!お気軽にご相談ください!

【医療】ベトナムの臓器移植の現状

(C) SAI GON GIAI PHONG

3月22日、ベトナム保健省が現行の法令における臓器の提供と移植に関する問題点を解決するために「臓器移植とドナー登録の普及」をテーマとしたセミナーをホーチミン市で開催した。

医療専門家によると、臓器移植に関する法律は2007年7月1日から施行されているが、この法律にはまだ多くの欠点が残されている。このため、臓器移植の需要が日々増加しているにもかかわらず臓器を提供するドナーの登録は依然として不足したままとなっている。このような状況が臓器売買が横行している一因となっているという指摘もある。

1992年にベトナムは生体臓器移植を認め、2010年からは脳死臓器移植が認められるようになった。国立臓器移植センターのグエン・ホアン・フック医師は、ベトナムの臓器移植のスタートは世界から40年程度遅れたが、医療チームの努力と医療技術の進歩により、ベトナムの臓器移植レベルは世界に近づきつつあると話す。

2020年12月までに、ベトナムでは腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓など5千587件の臓器移植手術が行われた。また臓器提供を希望するドナー登録の普及に関して2020年12月31日現在、全国で4万257人が死後または、脳死後の臓器提供に同意している。現在ベトナム国内には20か所の臓器移植センターがあり、医療技術は世界的な臓器移植とほぼ変わらないレベルに達しているとされている。

しかし、ベトナム保健省のグエン・チューン・ソン副大臣によると、臓器の提供と移植に関する法律には、まだ多くの課題が残されている。脳死による臓器提供を厳格に管理するため、現行の法律では臓器提供は18歳以上からしか認められていない。一方でベトナムでは年間約1万人が交通事故で無くなっており、臓器提供の潜在的な供給源とみられている。さらにベトナムの法令によって定められた脳死判定システムは、非常に厳格で最低でも3人の専門家(法医学者、直接診療した医師、神経内科医)の意見を確認する必要がある。

「臓器提供と臓器移植を推進するためには、まだ解決すべき多くの問題が残されています。我々は臓器移植のドナー登録を普及させるために意見を集約し、法律を改正する必要があります。しかし一方では、臓器の売買を禁じたイスタンブール宣言の内容を遵守する必要があります」とグエン・チューン・ソン副大臣は述べた。

フエ中央病院臓器移植センターのチャン・ティ・カム・トゥ副所長によると、世界では臓器提供の年齢制限はベトナムより緩やかで、ドナー登録の普及につながっていると話す。例えばイギリスの場合、18歳未満であってもドナー登録が可能で、いつでもその登録を取り消すことが可能だ。オランダの場合、臓器提供に関する法律の規定により12歳以上であればドナー登録ができるとされている。また12歳未満でドナー登録をしたい場合は、保護者の許可を得れば可能となっている。

ベトナム国内では、約1万人の患者が腎臓移植を、数千人の患者が肝臓移植を待ち望んでいると推定されている。臓器移植の需要が日々高まっているのに対して、臓器提供のドナー登録は不足する一方だ。しかも病院で脳死判定される患者でドナー登録をしている人は非常に稀で、脳死者全体の0.5%程度に過ぎない。一方で生体移植の件数は5千255件と非常に多い。しかし、生体臓器移植には臓器売買を助長しかねないリスクが隠れている。

ベトナム臓器移植協会のチャン・ゴック・シン書記長は、臓器売買が法律違反であるにもかかわらず、実際にはそのような行為が一般的に横行していると指摘する。


フエ中央病院臓器移植センターのチャン・ティ・カム・トゥ副所長は、同病院でおこなった生体臓器移植ドナーの50%以上が30歳未満であり、これまでにこういった若い臓器提供者からは、臓器売買が疑われる事例が発生していると話す。生体臓器移植手術をおこなうにあたって必要な書類は非常に複雑で確認が難しい。そこで2016年末からフエ中央病院では、臓器移植調査室を設置し、書類審査を厳格にした。これによりフエ中央病院では、書類上に疑わしい部分のある臓器移植に関しては、受け入れを拒否してきたが、そういったケースでは、審査の甘い他の病院で移植をおこなうケースも出ているとのことだ。

チョーライ病院の臓器移植調整ユニットのズー・ティ・ゴック・トゥー医師は、このフエ病院の意見に同意して、あるケースについて説明した。先日、ある夫婦から夫が妻に腎臓を提供するという申請を受け、正規の必要書類一式を受け取った。しかし、ホーチミン市医科大学病院から臓器移植の書類偽造に関する情報提供を受け、再度確認したところ、これらの書類が偽造されたものであることが発覚し、チョーライ病院では、この移植手術の受け入れを拒否した。

「ホーチミン市医科大学病院から情報提供が無ければ、これらの書類が偽造されたものであることを発見することは出来ませんでした。書類の偽造技術は日々進化しており、医療スタッフは充分注意して確認する必要があります」とトゥ医師は、警告した。

出典:23/03/2021 SAI GON GIAI PHONG
上記を参考に記事を翻訳・編集・制作