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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第03回
SG佐川ベトナム

二度目の赴任で2008年に来越し、SG佐川ベトナムをSGHグループ海外現地法人の中では最大の拠店に育てた島﨑順二氏。新しい事業を重ねて顧客本位のワンストップサービスを目指す中、現在は来期からの中期経営計画を思案中だ。

拡大させてきた多くの事業

―― 会社が大きくなりました。

島﨑 進出時に合弁会社で設立した佐川急便ベトナム、2015年に100%出資で設立したSG佐川ベトナム。この2社で約900人のスタッフがいます。また、2016年にはデリバリー事業強化のために、地場大手宅配企業のPhat Loc Express and Tradingを買収しまして、こちらのスタッフが約900人。3社で約1800人となり、SGホールディングスグループの海外現地法人では最大規模です。2010年以降は売上げも右肩上がりに伸びており、海外現地法人の中でも特に高い成長を示しています。

―― なぜ成長できたと思いますか?

島﨑 ベトナム進出が1997年で、日系物流企業としては古いほうです。また、元々香港や中国で展開されていたお客様の、ベトナム進出に合わせて作られたので、当初からお客様とのお取引を獲得できました。結果的に事業の土台作りが早めにできたと思います。

 また、フォワーディング(航空・海上輸送)でベトナムから日本に輸出した後、日本国内の自社の配送ネットワークにつなげられたのも大きいでしょう。そこはSGホールディングスグループの強みだと思います。加えて、弊社のお客様は9割ほどが日系企業なのですが、多くの方が日本と同質のサービスを求められ、それに応えて新しいサービスを開発してきました。

 そのひとつが2000年から始めた日本向けの国際宅配便で、外資大手のDHLやFedExと遜色ないサービス、リードタイム、価格が実現できたと思っています。

 こうして通関、倉庫、検品・検針業務、引越しなど事業をひとつひとつ拡大してきましたが、それはお客様へのワンストップサービスのためなのです。

―― どのようなことですか?

島﨑 例えば、通関業務を他社に委託すると、自社で管理できないのでサービスの品質が心配ですし、時間もかかります。そのため、貿易代行、代引き、倉庫内での検品・検針業務などもできるようにしています。検品や検針、値札、店舗ごとのアソートなどは物流加工と呼ばれ、倉庫に荷物を運んだ後、倉庫内で荷物の品質チェック、店舗別仕分け、値札の貼付けなどを行っています。

 佐川急便では、海外の工場から日本国内の納品先までの一貫物流サービス「スマートインポート」を積極展開していまして、これもワンストップサービスです。日本の物流センターを通さないダイレクト納品なので、コストダウンやリードタイムの短縮が図れますし、輸入関税での不良品の抑止にもなります。

 ベトナムでのサービス強化の施策の一つとして挙げられるのは、2016年に竣工した、ドンナイ省のニョンチャック3工業団地にある「SG佐川ベトナム・ディストリビューション・センター」(SGVDC)です。冷蔵・冷凍倉庫もあり、日本からの魚介類の一時保管、仕分け、配送などをしています。

 クール便はイオン様のデリバリーサービスで、冷蔵・冷凍配送もしています。保冷ボックスや保冷材は日本製を使用しバイクで配達するのですが、開始当初は珍しがられたもののリピーターが増え、毎月のように利用者が伸びています。冷蔵・冷凍トラックで運ぶコールドチェーンもトライアル中でして、こちらの事業サービスも強化していくつもりです。

―― SG佐川ベトナムを設立した理由は?

島﨑 規制緩和で100%外資での設立が可能になったため、より迅速な経営判断と実践を求めてのことです。設立以降、100%外資で運営できるフォワーディング事業、国際エクスプレス、倉庫事業などを佐川急便ベトナムから移管してきました。この事業再編の最後となるハノイの倉庫事業の移管が9月に終了する予定です。

来年からの3ヶ年計画へ

―― これから何がしたいですか?

島﨑 やるべきことはたくさんあります。主力事業であるフォワーディング、特に日本向けのフォワーディングでは先のスマートインポートを伸ばしたい。また、ロジスティクスでは提案営業のできるスタッフを増やしたい。お客様の悩みは様々ですから、その解決策を一緒に考えられる人材です。

 お客様対応ではデリバリーサービスも同様ですね。ルート配送を効率化・最適化して、リードタイムをできるだけ短くし、同時にコスト削減を目指します。宅配サービスには佐川急便式を導入し、荷物の紛失や破損をゼロにして、お客様への対応やサービスを向上させます。これらにはスピード感を持って取り組んでいきます。

―― 他にもありますか?

島﨑 はい。受注の増えている事業が3PL(サードパーティ・ロジスティクス)です。物流全体を一括して請負うサービスのことで、2016年からビングループのVinMart(スーパーマーケット)とVinMart+(コンビニ)の配送を、南部と北部で担当しています。

 荷物をチェックして倉庫に搬入し、保管して、出荷データに基づいてピッキングをし、配送となります。ビングループ以外でも、今年7月からはフランス系のスーパマーケットAuchanから配送業務を請け負っています。この倉庫作業を効率化することにより、同様なニーズのあるお客様をさらに獲得したいと思います。

 事業が順調なこともあって大きな問題はないのですが、全般的なことでは人事が課題だと思っています。特にベトナム人マネジャーを成長させたい。私が社長になった時に人事制度や給与制度を改革して、スタッフのモチベーションが上がる仕組みに変えました。実際に機能したと思いますが、何年も経っており、時代も変わりましたから、新しい制度に変革する必要性を感じています。労働集約型の事業なので最低賃金の問題も気になりますし、人事と給与の悩みは尽きません。

―― 今後の予定を聞かせてください。

島﨑 SGホールディングスグループでは、海外事業統括会社としてSGホールディングス・グローバルがシンガポールにあり、ベトナムを含めた全世界の法人を統括しています。弊社グループにおいては、ベトナム法人は最重要拠点の一つとして位置付けており、ベトナムでの事業展開については、まずベトナム法人で事業戦略の骨子を作成し、海外統括会社と協議しながら策定します。

 ベトナム事業の現状と市場把握、期待できかつ伸びる分野の抽出、そして、そこに対する戦略的アプローチを考え、投資の必要性を判断していきます。そして、来年4月からは新たな中期経営3ヶ年計画が始まります。まずは現在の中期経営計画の最終年である今期をいい形で終えること、そして現在は来期の戦略を考えているところです。

 先ほどお話ししたようにベトナムでは総合物流会社として、弊社は様々な物流事業を展開しております。そのため事業ごとにプランを考えており、結果として会社全体の規模を拡大させるつもりです。