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ベトナム、ニントゥアン原発の技術選定へ 安全性・実績・SMRをどう判断するか

SMR(小型モジュール炉)技術に関して講演を行ったベトナム原子力エネルギー研究所のチャン・チー・タイン所長
(C)THANH NIEN

ベトナムが再始動させたニントゥアン原子力発電所建設計画で、今後の大きな焦点となるのが採用する原子炉技術の選定である。

9月21日、カインホア省で「グリーン成長と国家のエネルギー安全保障のための原子力発電」をテーマとする科学セミナーが開かれ、専門家からニントゥアン1、2の技術選定に関する考え方が示された。

現在、両プロジェクトの最終的な原子炉技術や1基当たりの出力はまだ決定していない。ベトナムでは2030~2035年の運転開始を目指して準備が進められており、どの技術を採用するかが今後の重要な判断となる。

2030~2035年に4,000~6,400MWを計画

調整後の第8次国家電力開発計画(PDP8)では、ニントゥアン1、2の原子力発電所を2030~2035年に運転開始させ、合計4,000~6,400MWの発電容量を確保する計画となっている。2050年に向けては、さらに約8,000MWの原子力発電を追加する方向も示されている。

一方、2026年9月時点では、ニントゥアン1、2で採用する具体的な原子炉技術や各原子炉の最終的な出力は決まっていない。

現在の検討では、1基当たり1,000~1,600MW程度の幅を想定して、運転方式や電力系統への接続方法などを評価している。最終的な数値は、採用技術の決定後に更新される予定である。

世界の原発技術は二つの方向へ

ベトナム原子力エネルギー研究所のチャン・チー・タイン所長によると、世界の原子力発電技術は現在、大きく二つの方向で発展している。

一つは、商業用原発の中心となっている第3世代・第3世代プラスの軽水炉である。

もう一つは、より先進的な原子炉技術で、ガス冷却高速炉、鉛冷却高速炉、溶融塩炉、ナトリウム冷却高速炉、超臨界水冷却炉、高温ガス炉など、複数の方式が開発されている。

ベトナムにとっては、最新技術であることだけでなく、実際に建設・運転できる段階まで成熟しているかを見極める必要がある。

SMRは「300MW」だけで判断しない

今回の議論で注目されたのが、SMR(小型モジュール炉)である。

ベトナム政府が2026年3月に承認した原子力エネルギーの発展・利用戦略では、2035年までに少なくとも1件のSMRプロジェクトを展開する方針が示されている。

SMRは一般に、1モジュール当たり約300MWの電気出力を持つ原子炉として説明されることが多い。

ただし、専門家は「300MW」という出力だけをSMRの特徴として捉えるべきではないと指摘する。

重要なのは、設計を標準化し、同じ方式の原子炉を繰り返し製造できること、モジュール単位で建設できること、さらに必要に応じて段階的に発電能力を増やせることである。

SMRはすでに構想段階から実際のプロジェクトへ移行しつつあるが、設計によって技術成熟度には大きな差がある。OECD/NEAが追跡しているSMR設計も129に上り、技術開発、規制認可、建設場所、資金調達、サプライチェーン、燃料など、それぞれ異なる課題を抱えている。

ベトナムは「成熟技術」と「将来技術」を並行して検討

タイン氏は、ベトナムが二つの方向を並行して進めることを提案している。

短期的には、国際協力を通じて技術的な成熟度が高いSMRを導入する可能性を検討する。一方で長期的には、研究開発、技術評価、国内設計能力、規制当局の能力、人材、関連産業の育成に投資するという考え方である。

つまり、海外から完成された技術を導入するだけではなく、将来的に自国で原子力技術を評価・管理できる能力を育てることが重要になる。

原発は「安い・新しい」だけでは選べない

ニントゥアン1、2の技術選定では、安全性、経済性、ベトナムの電力システムへの適合性を総合的に評価する必要がある。

ベトナム原子力エネルギー研究所のホアン・シー・タン博士は、技術を選ぶ際には投資準備、建設、運転、廃止措置までを含めたライフサイクル全体を評価する必要があると指摘した。

評価項目には、原子炉の安全性だけでなく、環境、使用済み燃料、放射性廃棄物、燃料の安定確保、気候変動への耐性、ベトナムの電力系統との適合性なども含まれる。

また、実績のある技術を優先し、設計の標準化、工程・契約管理、総投資額の独立した評価、適切なリスク分担の仕組みを整える必要があるとした。

技術だけでなく「管理する能力」も問われる

ベトナム原子力エネルギー研究所のレ・チー・ズン博士は、海外の原子力発電事業を成功させるためには、原子炉そのものの技術だけでなく、それを管理する国家システムの質が重要だと指摘する。

同氏は、日本、韓国、UAEなど、それぞれ異なる条件で原子力発電を導入してきた国の経験を紹介した。

特にUAEについては、国際的な専門家の支援を受けながら新たな原子力発電計画を構築した経験があり、政策立案機関、規制機関、事業者、運転主体の役割を明確に分けた点などが参考になるとしている。

一方で、UAEの仕組みをそのままベトナムに移植することはできない。海外の資金や人材への依存度を下げ、ベトナム国内の人材育成や産業基盤を整える必要がある。

「何年に完成」ではなく条件を一つずつクリア

ズン氏は、原子力発電計画について三段階の参考ロードマップも示した。

ただし、これは固定された日程表ではない。国際原子力機関(IAEA)が用いる「マイルストーン」の考え方に沿い、各段階で必要な条件を満たしたかどうかを確認しながら次の段階へ進むという考え方である。

原子力発電では、単に「2035年までに完成させる」と日程を設定するだけではなく、安全規制、人材、資金、設計、建設体制など、必要な条件が整ったことを確認しながら進めることが求められる。

原子力発電を「技術導入」だけで終わらせない

セミナーの総括で、中央宣伝部のゴー・ドン・ハイ副部長は、原子力発電がエネルギー安全保障、電力系統の安定、2050年のネットゼロ目標に重要な役割を果たすとの認識を示した。

そのうえで、最新技術へのアクセス、国際的な経験の吸収、安全文化の構築を最優先すべきだと強調した。

ベトナム政府は2026年に入り、ニントゥアン1の投資方針変更に向けた審査を進めるなど、計画の具体化を進めている。政府はニントゥアン1、2について2030~2035年の運転開始を目標としている。

ニントゥアン原発をめぐる今後の焦点は、単純に「どの国の原子炉を採用するか」ではない。

どの技術が安全で、長期的に運用でき、ベトナムの電力システムに適合するのか。そして、その技術をベトナム自身がどこまで管理できるのか。

原子力発電の再始動に向け、ベトナムは技術選定と同時に、規制、人材、産業基盤を含めた国家的な原子力発電能力の構築を迫られている。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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